福井・大飯原発:再稼働容認、計画停電「責任持てず」 知事、停止より協定に軸足 /滋賀
毎日新聞 2012年10月17日 地方版
嘉田由紀子知事は16日、関西電力大飯原発3、4号機の限定再稼働を容認した今夏前の判断について「計画停電の責任は一知事では持ちきれない。あの判断しかなかった」と振り返り、改めて即時停止は要求しない意向を示した。関西広域連合のプロジェクトチーム(PT)が行った今夏の電力需給の検証を受け、同日の定例記者会見で答えた。
PTの試算によると、大飯原発再稼働がなかった場合、7月2日〜9月7日の節電要請期間のうち、今夏の需要実績では計画停電に至る日はなかった。一方、昨年並みの節電では電力使用率が100%を超える日が11日あり、計画停電レベルに達したと考えられる。
これを受け、嘉田知事は「(再稼働が注目された)5、6月時点では夏の節電の見通しに見えない部分があった」と語り、「再稼働させないと突っ張って結果的に計画停電になったら、責任は持ちきれないと判断した。代わりのエネルギーを供給できるわけもなく、大変無力感を感じながらも、あの判断しかなかった」と述べた。
その上で、稼働している大飯原発3、4号機の即時停止を求めるより、関電との原子力安全協定締結を優先するのが「現実的な対応」とした。【姜弘修】
◇大阪府・市と違い鮮明に
また、松井一郎大阪府知事と橋下徹大阪市長が10日、政府と原子力規制委員会に大飯原発3、4号機の停止を申し入れたことについて、嘉田知事は「現実的判断として大飯3、4号機に関して声を上げるのはかなり無力感がある。そこにエネルギーを注ぐことと、安全協定を結ぶことと、どちらが今必要か」と述べ、立場の違いを鮮明にした。
さらに「原発は早くやめてほしいというのが一番の望み」と強調しつつ、大阪府・市の申し入れには「もう少しはっきり言うと、どうせ受け入れられないんだから言っておけ、という政治的立場もあるかもしれない」とも述べた。【姜弘修】