Updated: Tokyo  2012/11/29 01:07  |  New York  2012/11/28 11:07  |  London  2012/11/28 16:07
 

日本の造船業界、円高で打撃-韓国勢にはウォン安が追い風

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  5月16日(ブルームバーグ):国内造船2位のツネイシホールディングス は、韓国や中国勢が市場シェアを高めている中で、ここ5年間で対ドルで50%上昇している円高の下では、国内の造船所は利益を確保できなくなる可能性があるとの見方を示した。

ツネイシの伏見泰治会長兼社長は先月、本社のある広島でブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「今の為替相場の水準だと、恐らく国内のどの造船所にとっても収益が出ない状況になってくる」と指摘した。

ツネイシは人件費の低いフィリピンや中国に生産の大半を移管することで円高に対応している。他社も同様の円高対策を取らざるを得なくなりそうだ。円は対ドルでの上昇率が全通貨で最大。これに対し、人民元は22%上昇にとどまる一方で、ウォンは20%下落しており、中国や韓国の造船業界には追い風となっている。

世界最大の船舶ブローカーのクラークソンによると、昨年の造船受注高は、韓国が508億ドル(約4兆840億円)、中国は211億ドルだったのに対し、日本は61億ドルにとどまった。韓国の東洋綜合金融證券によると、現代重工業サムスン重工業大宇造船海洋 といった韓国の造船会社にはコスト競争力があり、これらの株を買う価値があるとする理由の一つとなっている。

例外的なウォン安

円高の痛みは造船所以外にも広がり、戦後の日本の発展を支えてきたホンダソニー などの輸出企業にも打撃を与えている。円高の進行を受け、デフレ脱却との闘いが深刻化したほか、バブル崩壊後の景気が低迷。円高抑制に向け、今年に入り、国会議員からの日本銀行に対する追加緩和圧力も強まっている。

モルガン・スタンレーMUFG証券のロバート・フェルドマン経済調査部長は、「アジア通貨の大半が円に対して下落しているが、韓国ウォンはその中でも下落が大きいため例外的だ」と指摘。同氏は国際通貨基金(IMF)の元エコノミスト。「日本がやらなければならないことは2つある。経済全体の生産性向上と、名目為替レートのずれの是正だ」と述べた。

原題:Hyundai Heavy Gains as Surging Yen Squeezes Japan Yards:Freight(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 アンディ・シャープ asharp5@bloomberg.net;東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net

更新日時: 2012/05/16 13:16 JST
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