ダイキン「光速ストリーマ」
「光速ストリーマ」とは、業務用空気清浄機メーカーの最大手、ダイキン工業の誇る、イオンをつくるためのプラズマ放電技術の名称です。
普通のプラズマ放電技術は "グロー放電" というようですが、ダイキンの技術 "ストリーマ放電" というのは、どうやら英語の "STREAMER" のことのようで、嵐のように広域に放電する技術を指しています。
"光速" というのは、要するに高性能だと言いたいのでしょう。以前の機種では何と "電撃ストリーマ" と名乗っていました(⇒光速は電撃の1.5倍の放電量)。(笑)
仮にその放電技術が極めて優秀だとしても、ダイキンの光速ストリーマでは、シャープのプラズマクラスターや、パナソニックのナノイーのように機外にはイオンが飛びません。なので、イオンの活用は、空気清浄機の本体を通過中の空気と、フィルターに引っ掛かった室内の浮遊物質に対してということになります。
その長所としては、、、イオンなどという妙なものを吸いたくないという人には、丁度良いのではないでしょうか。他社の方式だと、安全性に問題はないと言われても、「これはウィルスや菌を抑制する技術です!」、と言われれば、気分が悪くなる方々もいらっしゃるのではないでしょうか。
…それ以外には特にないはずです。
短所としては、部屋の中の付着菌(カビ)や付着ウィルスにはイオンは絶対届かないということです。そこまで気にしなければ問題はありませんが。
ただ、実のところ、フィルターで浮遊ウィルス・菌は濾せますし、通常そのフィルターにはそれらの抑制技術が盛り込まれていまして、抑制されますので、よほどの悪環境でない限りは、この光速ストリーマはあまり意味がないのではないでしょうか。(もちろん、機外にイオンを飛ばしても、浮遊ウィルス等の大部分はそれで抑制されるより、空気清浄フィルターに引っかかる方が早いので、そちらも大して意味がないと言えばそうですが)
ダイキンの空気清浄機類には、オプションで "バイオ抗体フィルター" というものがあるのですが、これは引っ掛かったウィルスを約1分で抑制するという特殊フィルターです。これは、光速ストリーマは勿論として、他社のどのイオン技術よりも対ウィルス性能が遥かに高いですので、それがあれば、このダイキンの本体機内だけで使用するイオンは役割が被り、実のところ特に必要ないと言えるでしょう(抗生物質が効かないような特殊ウィルスは別ですが)。ちなみに、そのフィルターは、1年ごとの交換が必要となりますが、ネット価格・送料別で最安値は1,400円前後と悪くない価格です。
例外的な事情としては、加湿のための吸水フィルターや、2010年度型からは給水トレイ内の水にも、この光速ストリーマ放電は当たりますので、部屋に拡散して行く加湿水やフィルターはいつも清潔に保たれます。
なので、加湿機能付きの製品(「うるおい光クリエール」or「クリアフォース」)をお買いになる方には、かなり魅力的なのではないでしょうか。
また、イオンはニオイに対しても(というかニオイに対して主に)効果がありますので、ウィルスというよりニオイ対策としては良いかもしれません。しかし、それなら機外にイオンを飛ばして、付着臭にも効果を及ぼした方が良いだろうと思われますが。
ちなみに、この光速ストリーマのみが、新型インフルエンザを100%分解に成功したと宣伝しています(⇒「世界初、ヒト由来の鳥ウイルスを100%分解したダイキンの技術とは?」)。しかし、それは恐らく、他社のイオンは空気や水をイオン化して空気中に飛ばしてウィルスを抑制させますが、この方式のみ殆ど直接(直近)ウィルスに放電しているからです。…強引に見えて、そもそも確かにそういう方式なんですが・・・。※それに加えて、他社製イオンが酸素ラジカル(OHラジカル)を主とするのに対し、ダイキンのストリーマ放電技術では、窒素ラジカル(励起窒素分子)もが生じるためらしいです(⇒「空気清浄機は花粉にどれくらい効くか?放電、励起窒素、アレル物質不活性化の関係を探る〜」)。
また、最近テレビCMで、「光速ストリーマは花粉を芯まで分解!!」と大々的にやっていますが、花粉は表面の水素をイオンで抜き取ってしまえば、それでもうアレルギーを誘発することはない、つまりもう人には無害のはずです。なので、ダイキンは自社の利益のために、花粉は芯まで分解しなければダメであるかのような誤解を日本中にばら撒くことで、日本人の花粉症に対する理解に悪影響を与えていると思えます。
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