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あいまいで国の針路みえぬ民主の公約

2012/11/28付
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 あつものに懲りてなますを吹くとはこのことか。民主党が発表した衆院選のマニフェスト(政権公約)は何をいつまでにどれだけやるのかが分かりにくい。前回選のような帳尻の合わない公約は論外だが、国の針路がみえないのも困る。

 「教訓と反省」。野田佳彦首相の発表会見はその言葉から始まった。財源の裏付けのない子ども手当や高速道路の無料化など、3年前の公約はことごとく破綻した。おわびなくして選挙戦にならないのはその通りだろう。

 首相の言葉を借りれば、今回の公約は「実現性が高い、現実的なマニフェスト」なのだそうだ。

 自民、公明両党との協議を経て撤回した子ども手当はもう書けない。「新児童手当の給付」。目立たない小さな字だ。

 目玉とされる環太平洋経済連携協定(TPP)参加への前向き姿勢も玉虫色だ。日中韓自由貿易協定(FTA)などと「同時並行的にすすめ、政府が判断する」。この言い回しが何を指すのかを理解できる有権者はいるだろうか。

 原案になかった「日本の農業は必ず守る」との注釈も加わった。党内の意思統一なしに「実行性重視」というのは説得力に欠ける。

 もう1つの看板である「原発ゼロ社会」も読み方が難しい。反原発票はほしいから見出しはそう書いてある。だが、新エネルギー開発でどれだけ代替するかの目標はない。原発維持の人からも、なくしたい人からも不信感を招く。

 民主党政権のもとで日米関係は大きく揺らいだ。その立て直しを掲げるのは当然だ。だが、不協和音をつくった米軍普天間基地の移設問題は「在日米軍再編に関する日米合意」という表現に集約され、普天間という単語はない。

 首相は自民党の選挙公約を「できないことも書いてある」と評した。だからといって中身を薄めることで批判を避けるのも邪道だ。

 今週は各党首による討論会もある。TPPはどうするつもりなのかなどを首相自らの言葉で明確に説明してもらわなくては、投票の判断材料にならない。

 嘘の公約は許されないが、無意味な美辞麗句の羅列もよくない。公約は何のためにあるのか。それを政党も有権者もよく考え直す選挙にしなくては日本の政治はよくならない。

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