
西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は新聞・雑誌などの各媒体で執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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ニュースの理解に必要な「?」の意識
11月22日、ミクシィとディ・エヌ・エーが、ソーシャルゲームで提携すると発表した。笠原社長と守安社長ががっちりと握手をかわす写真が出ていた。
提携の目的は、プラットフォームの共通化のようだ。mixiのユーザは友人との交流を目的としている人が多く、Mobageのユーザはゲームをすることが目的だ。両者は異なるユーザ層を持っており、お互いが会員数を伸ばす可能性を持ち合わせており、提携すれば相乗効果がはかれるということらしい。果たして、本当にそうなのだろうか?
インターネットが登場してから、多種多様なサービスがリリースされ、個人の時間の奪い合いになっているのではないだろうか? Mobageのユーザーがmixiに目覚め、毎日日記を書くようになって友人との交流を始めれば、それだけゲームをする時間を削る事になるのではないだろうか? 反対に、mixiで毎日日記を書いたり友達の日記を読んでいたユーザが、恋愛シミュレーションゲームの方が面白くなってしまい、あまりmixiの日記を書いたり見たりしなくなってしまうのではないだろうか? お金は稼げばどんどん増えるが、時間は24時間しかない。その有限な24時間をどう割り振るかで、1日に使える限界が決まってしまう。
また提携のもう一つの目的として、開発環境を共通化することで、ゲームの開発会社の開発工数が削減できる、ということが挙げられている。確かにそうかもしれない。しかし、これもまた難しいところで、より多くのゲームが乱立する可能性が高くなる。そうなると、その中でヒット作を生み出すのはより難しくなるのではないだろうか? さらに、簡単には提携とはならないだろうが、グリーも共通プラットフォームになれば、より開発工数が下がるだろう。ニュースを肯定して読むだけではなく、「?」を意識して読む事は大事かもしれない。最新号では、そんなIT企業を「?」を意識して分析している。
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