12月16日の総選挙で政権獲得が有力視されている自民党の安倍晋三総裁が、憲法改正により自衛隊を国防軍と位置づけると主張したのに続き、他国との戦闘に際して必要になる交戦規定も整備すべきだと主張した。また与党・民主党内でも、憲法改正を支持する勢力と反対派に分かれるなど、国防軍問題が今回の総選挙の中心的争点に浮上している。
安倍総裁は25日、テレビ番組に出演し「自衛隊をきちんと軍として認め、そのための組織も作り、海外と交戦するときには交戦規定にのっとって行動する。シビリアンコントロール(文民統制)も明記する」と主張した。毎日新聞が26日に報じた。現在の自衛隊には、武器使用基準を定めた「部隊行動基準」はあるが、交戦規則はない。これに対し野田佳彦首相は25日「名前を変えて中身が変わるのか。大陸間弾道弾を飛ばすような組織にするのか。意味が分からない」と語った。
民主党の細野豪志政調会長も「自民党の中に、普通の国になって戦争もできるようにするんだという声はある。相当、考え方はそちらの方がいる」と語った。一方、前原誠司・国家戦略担当大臣は26日の記者会見で「(憲法の)9条2項を子どもが読めば、自衛隊は憲法違反だと思ってしまう。自衛権を明記し、平和主義を前提として2項は変えるべきだ」と語った。さらに前原大臣は、民主党が憲法改正に反対していることをめぐり「民主党のために(政治を)やっているわけではない。日本の政治を進めるため、同じ志を持つ人と一緒になるときが来るかもしれない。そのタイミングをどう考えるかに尽きる」と語り、政界再編の可能性を示唆した。