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温故知新
廃線跡 1.7キロの遊歩道に
2012年11月05日
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全長76メートルの通称「3号トンネル」。入り口の壁柱には凝った装飾がされている=愛知県春日井市 |
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トンネル群の谷の下を庄内川(土岐川)が流れる。近くの定光寺は紅葉の名所で、例年11月20日ごろが見ごろだ=愛知県春日井市 |
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周辺で見つかった当時の釘や絶縁板など。お茶を入れる「汽車土瓶」もあった=愛知県春日井市 |
◆JR中央線旧トンネル群(愛知県春日井市、多治見市)
「達人の見どころ」
◆重厚なれんが造り 技術史上でも貴重
愛知、岐阜両県にまたがる高蔵寺―多治見両駅間のJR中央線は、1966(昭和41)年、従来の単線非電化の旧線から複線電化の新線に付け替えられ面目を一新した。
旧線は土岐川沿いの谷間をカーブしながら13のトンネルをくぐって走っていたが、山腹を貫く長い新トンネル(愛岐トンネル〈約3キロ〉など)で直結し、トンネル数も6となり所要時間も短縮された。
このトンネル群は歴史的、文化的価値が高いとして経済産業省から「近代化産業遺産」に指定され、今も保存されている。風光の優れた4トンネルを含む1・7キロの区間は遊歩道として整備された。
そしてNPO法人愛岐トンネル群保存再生委員会によって、毎年春秋季にトンネルウオーキングのイベントが開かれ、毎回1万人の参加者でにぎわっている。
明治時代建造のれんが造りトンネルは技術史上も貴重なものとされ、紅葉や新緑とよいコントラストをみせて美しい渓谷に彩りを添えている。
(須田寛・JR東海相談役)
「記者が見ると」
◆「半世紀前」保存へ 手弁当で100人活動
真っ暗なトンネルを歩いた。蒸気機関車はどんな汽笛を響かせたのだろう――。砂利に足を取られながら、あれこれ想像する。車窓から乗客が放り投げた「お茶」と書かれた土瓶を見ると、半世紀前の時代がぐっと身近に感じられる。
こうした「小旅行」も、産業遺産を後世に残そうと手弁当で集まる人がいてこそだ。NPO法人愛岐トンネル群保存再生委員会。60〜70代の会員約100人が週2回、下草を刈ったり、崩落防止のネットを張ったりする。夢は、未踏の岐阜県側(1・8キロ)を整備して愛知県側とつなげることだという。
22〜27日は特別公開でトンネル内を歩くことができる。中央線鉄道唱歌の合唱やアルプホルンの演奏などもある。施設整備費として小学生以上100円。午前9時半〜午後2時。
《メモ》 JR中央線定光寺駅で下車、北へ徒歩3分。周辺に駐車場はない。特別公開の問い合わせは同委員会(080・9492・5458)。(志村英司)
◆次回は「明知鉄道」=恵那市、中津川市=です。
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