幼い頃は、クリスマスイヴが一年で一番好きな日であった。
クリスマスソングが流れると胸は高鳴り、ツリーの飾り付けは私を別世界
に誘ってくれた。
だいいち、この日は、私の誕生日なのだ。

images昼間は友だちを招き、料理の得意な母が、手料理で誕生パーティーを開いてくれた。大きなお皿に山のように盛ったチラシ寿司の頂上に日の丸の旗を立て、そこまでうさぎとカメが競争している色鮮やかな光景は、５０年以上経った今でも鮮明に想い出せる。

友だちとさんざん楽しんだ後は、生家の裏にあった教
会の招待を受ける。私は姉と二人で毎年出かけた。教会のクリスマス
は、幼い私には幻想的で夢の世界のようだった。帰りには必ず西洋のお
菓子をくれた。実は私はこのお菓子が目当てで教会に行ったのだ。戦後
間もない物のない時代のことである。

お菓子を貰って帰ると、今度は母の手作りのケーキで家族四人のクリス
マスなのである。そして、サンタさんである。母は幼い私に、サンタさんは
大きな声で欲しいものを言うと願いを叶えてくれる、と教えてくれたので、
随分前から寝る前に布団の上に正座して、欲しいものを大声でお願いし
て眠った。

翌朝、目覚めると、母の言ったとおりサンタさんはいつも私の願いを叶え
てくれた。今から考えると、本当に最高の日であった。

父の死後、私の預けられた家は、田舎の農家だったのでクリスマスを祝う
習慣はなかった。当時の田舎はどこでもそうだった。サンタさんがいない
ことも初めて知った。その時の悲しい気持ちは、今でも想い出すたびに切
なさとともに甦る。

田舎ではクリスマスよりそのすぐ後に来るお正月なのである。いつしか私
も、お正月を楽しみにするようになった。大晦日になると、友だちと紅白歌
合戦の話題で盛り上がり、お正月を待ち望んだ。子どもの適応力はすご
いものだと我ながら感心する。

長じて内観研修所をするようになると、クリスマスもお正月も関係ない生
活になった。この時期が内観研修所は一番忙しい。毎年多くの内観者さ
んのお世話で季節感も感じられないほどである。

そして、それは今年も例外ではない。今週、来週と満員の内観者さんをお
迎えしている。

そんなわけで、今年のブログはこれで終わりにしたい。４月より始まったこ
のブログだったが、なんとかここまでこれた。

ご愛読くださった皆さまには心よりお礼を申し上げます。
また、来年もよろしくお願い申し上げます。

それでは、よいお年を！