自然エネルギーや省エネの拡大に向けた政府の取り組み方針を掲げる「グリーン政策大綱」案の骨格が２６日、分かった。家庭内の電気やガスの消費量を管理するホームエネルギー・マネジメントシステム（ＨＥＭＳ）を２０３０（平成４２）年までに全世帯に普及させる目標を盛り込んだ。
ただ現在、ＨＥＭＳはほとんどの家庭にない上、数万円から２０万円程度もする商品を買ってもらうのは至難の業で、実現性は未知数だ。
２７日に開く政府のエネルギー・環境会議で案の骨格を示す。野田佳彦首相は「グリーン政策大綱に思い切った施策を盛り込むよう指示したい」との方針を示し、早期の取りまとめに意欲を示している。衆院選に向けて３０年代の「原発ゼロ」と自然エネへの転換を目指す現政権の政策をアピールする狙いもあるとみられる。
案では、積極的に取り組む５分野として「自然エネルギーの最大活用」や「省エネの深化」などを指定。電力システム改革や税制改正などを通じて、普及基盤を整える。
家庭向けではＨＥＭＳのほか、次世代自動車の新車に占める普及率を３０年までに最大７割まで拡大する。だがＨＥＭＳの国内普及率は１％未満（１１年水準）にすぎず、商品普及には補助金拡充の財源も必要となる可能性がある。
また、自然エネルギーの利用では、風力発電の導入促進のため１８年度までに北海道や東北で地域内送電線を建設することを案に盛り込む。
【用語解説】ＨＥＭＳ（ヘムス）
通信機能を備えた家電などをネットワークでつなげ、どこで何が使われているかをパソコンなどを使って確認できるほか、電力使用量などに応じて制御できるシステム。家庭内の節電を進める装置として、家電メーカーなどが販売している。