大島優子が『悪の教典』途中退出！ 誰もが得する炎上マーケティングとは!?
伊藤英明扮する高校教師が教え子たちを殺しまくる映画『悪の教典』。その試写会にAKB48のメンバーが呼ばれたが、上映後にメンバーの一人にして現センター、大島優子が途中退席。理由は「人の命が簡単に奪われていくこの映画が嫌い」というもので、号泣していたという報道も。
ウェブ等で世間の声を見ていくと、「宣伝のために呼ばれたのに退場するとはプロ失格」という意見もあれば、「人気のAKB48だからこそ言える感想」だという声、かと思えば「落ち目のAKB48はああいうことをしてまで話題作りか」といううがった見方もある。もちろんファンを公言する漫画家小林よしのり氏のように、「大島優子は正直で偉い」とする絶対的な擁護派もいて、人気か落ち目かにかかわらず、相変わらずAKB48が話題になりやすいのは間違いない。
では、肝心の映画『悪の教典』自体にとってこの騒動はどうだったのか。大島優子の発言内容は映画にとってマイナスっぽく見えるが、結果としては完全にプラスだったと言っていいだろう。『悪の教典』は、国会議員による上映規制運動まで起こってかえって話題になった中学生殺し合い映画『バトル・ロワイヤル』と同じく、意図的にある種の人々の神経を逆撫でするモノを狙って作っているのは明白で、そういう映画にとってみれば「嫌い」と言われるのはむしろ大成功の部類だ。
こうした事情からか、今回の大島発言もハプニングではなく仕掛けられたものという、いわゆる「炎上マーケティング」のひとつでは、と疑う向きもある。
「炎上マーケティング」というのは、あえて批判を浴びるようなことをして注目を集め、広告費をかけずに知名度を上げる手法。ウェブでしばしば起こるネガティブな「祭り」を利用してしまおう、というわけである。
これまでに炎上マーケティングとして話題になったものには、例えば自分の楽曲のPVをYouTubeにアップして著作権的に問題視された宇多田ヒカルや、学生に学費を支援できるサービス『studygift』、物騒なTwitter発言でプチ炎上を繰り返す、北海道長万部町のゆるキャラ「まんべくん」、あたりだろうか。
しかしながらこれらがすべて本当に炎上マーケティングだったのかは疑問が残る。たとえ本当にそうだったとしても関係者は普通はそのことを公にはしない。なにせリスクが大きい。上記のまんべくんは最終的に謝罪をしてサイト閉鎖しているし、一時期は炎上マーケティングの第一人者と自称し、炎上コンサルティングの請け負いサービスもしていたホットココア社長のえがちゃんこと永上裕之も、後に「炎上マーケティングを行ったとしても継続的な収益にならない」と発言している。
とはいえ他人ごとの炎上が面白いのも事実。『悪の教典』についても、映画の怖さの宣伝になったし、大島優子は正直だと株を上げたし、我々はそれに関するあれこれを楽しんだし、結果オーライだ。下世話であることは承知で、今後もあれこれ炎上してくれることを期待したい。もちろん自分に火の粉が降りかからない範囲で。
（田中元）
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