特集ワイド:第三極 「信頼できる政策提示なければ、単なる選挙互助会」 右傾化し支持集め、「脱原発」勢力結集も

毎日新聞 2012年11月27日 東京夕刊

日本維新の会の全体会議に出席した橋下徹氏(左)と石原慎太郎氏。「第三極」として政権奪取を目指す=長谷川直亮撮影
日本維新の会の全体会議に出席した橋下徹氏(左)と石原慎太郎氏。「第三極」として政権奪取を目指す=長谷川直亮撮影

 何ごとも選択肢は多いに越したことはない。多様な意見こそが民主主義の命。それにしても、だ。民主、自民の2大政党がだらしないからと注目される「第三極」のこの有り様。政策二の次、「選挙区調整はじゃんけん」発言まで飛び出し、国民はぼうぜんだ。そもそも「第三極」って何なの?【瀬尾忠義】

 「『第三極』の定義? 政治学的には、そのようなものはありません」。野中尚人・学習院大法学部教授(比較政治学)が即答した。なんだ、そうなのか。こちらが拍子抜けした顔をしていると「まあ、あえて言えば」と言い添えて、こう話してくれた。

 「現在ある二極に取って代わる可能性を持ち、信頼できる政策を提示している勢力ということでしょうか。『信頼できる政策の提示』というところが肝心で、それができなければ『三極』ではなく単なる『選挙互助会』ということになるでしょうね」

 しかし現状は、ますます「選挙互助会」の様相を強めていないか。石原慎太郎前東京都知事が率いる「太陽の党」と、橋下徹大阪市長の「日本維新の会」は、合流するにあたって維新が看板政策としてきた企業・団体献金の全面禁止を撤回した。一方、旧太陽との合流をほごにされた減税日本の河村たかし氏は、亀井静香前国民新党代表らと新党「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(脱原発)を結成。衆院議員45人(解散前勢力)を抱え「10年後の原発ゼロ」を掲げる「国民の生活が第一」(小沢一郎代表)が合流を模索する。有権者はもう何が何やら、である。

 政党が「極」の字を使った例としては、自民、社会の2大政党による「55年体制」下、中道路線を歩む公明党が1990年に自らを「三極(自民、社会、中道=公明)の中の一極」と打ち出したことがある。その後、公明党は自民党との協調路線に踏み出し、湾岸戦争への90億ドル支援や国連平和維持活動(PKO)協力法案で積極的な役割を果たすなどキャスチングボートを握った。

 「90年代前半、日本新党や新党さきがけがリベラル勢力の受け皿的な動きを見せ『第三極』と言われた」と指摘するのは、自治労全北海道庁労働組合連合会の井上昭弘・政策情報室研究参事だ。日本新党は細川護熙氏の人気や政治改革を主張したことで無党派層の支持を集め、さきがけは皇室や憲法9条を尊重する「尊憲」を掲げた。自民、社会という対立軸が鮮明で、有権者は新党を2大政党の補完的な存在と受け止めた。

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