大津・中2自殺:「情報開示、大津基準に」 鹿児島の遺族と訴え−−父親会見 /滋賀
毎日新聞 2012年11月07日 地方版
大津市で昨年10月に自殺した市立中学2年男子生徒の父親(47)が6日、大津市内で記者会見し、学校がいじめに関する全校アンケート結果を口外しないよう求めた確約書を巡る民事訴訟の第1回口頭弁論で、市側が不適切な情報開示の違法性を認めた点を「過去にない対応」と評価。「大津の例(アンケート開示)が全国で当たり前にならなければならない」と強く訴えた。
会見には、鹿児島県出水市で昨年9月に自殺した中2女子生徒の遺族と支援者が同席。学校がいじめの有無を調査したアンケート結果が自殺から1年以上たった今も開示されていない実情を訴えた。
大津の問題発生後、初めて地元で会見した父親は「出水市はアンケートの非開示によって遺族が裁判を起こすことを阻止している」と批判。学校でいじめなどの被害を受けた子の保護者に対して調査結果を原則開示する「親の知る権利」が確立されるよう求めた。
大津市の越直美市長は口頭弁論後の取材に対し「遺族への積極的な情報開示に努める。情報公開条例とは別の条例が必要なら、進行中の第三者委の調査結果を踏まえ(制定を)検討する」と述べた。
出水市の女子生徒の祖父、中村幹年さん(62)は会見で、情報開示を求めて3824人分の署名を提出し、遺族独自に集めた生徒へのアンケートでいじめ情報を把握したと語り、「孫の死の真相を知るために情報開示を」と涙ながらに訴えた。大津市の第三者調査委員も務める教育評論家の尾木直樹法政大教授とも面会し、協力を要請した。出水市教委は「調査を尽くした上、開示によって在校生に二次被害が出る恐れがある。アンケート結果を開示できないとの判断は変わらない」としている。【千葉紀和、村瀬優子、村山豪】