ドタバタ劇続く維新 公認候補辞退続出に「ガラクタ市のようだ」の声… 

2012.11.27


米沢市で応援演説を行う橋下徹・日本維新の会代表代行(杉浦美香撮影)【拡大】

 次期衆院選で「第三極」の核とされる日本維新の会で、立候補予定者の差し替えや公認辞退者が相次ぐなど、擁立準備作業が混乱している。変更は「選挙資金が用意できない」といったことが理由だが、太陽の党との合流もあり、政策のすり合わせをしながらの擁立作業。あまりのドタバタぶりに、内部からは「次の心配は、公示日に公認候補がちゃんと立候補届け出をしてくれるかどうか」という声すら上がっている。

 ■公認は大幅減

 「もうその地域での擁立はないと思っていいです」

 24日、大阪市中央区の日本維新本部で開かれた第5次公認発表。地方紙記者の質問に、東徹総務会長は力なく答えた。

 維新幹事長の松井一郎大阪府知事は当初、候補者擁立目標を350程度と明言していたがトーンダウン。その後、「過半数の241人」、「全国の『1区』はすべて擁立」と、徐々に下方修正してきた。

 これまで候補者を明らかにできていない維新の空白区は7県。東総務会長は「どこでも、という人がいれば空白区に立てる」と話すが、空白区はなかなか埋まらない。「努力しているが時間がない。もう無理でしょ」とため息をついた。

 ■相次ぐ差し替え

 公認候補の発表は17日から始まり、計153人を公表。28日の7次公認で終了する見通しだが、すでに5人が辞退を申し出ている。京都1区では別の候補者に差し替えたが、26日に辞退が発表された埼玉6区、東京11区、香川1区はまだ代わりの候補が見つかっていない。27日には新たに静岡7区の辞退も判明した。

 維新によると、京都1区の元候補は発表翌日、「選挙資金の用意ができなくなった」と辞退。他の候補者は「急な選挙になり、対応できない」などと時間不足を理由にあげている。

 維新の候補者はもともと、公募が原則。竹中平蔵元総務相を長とする候補者選定委員会で選抜、1泊研修を経て決めるとしていたが、そうした仕組みも崩壊し、京都1区は辞退者の穴埋めのため、公募を経ずに京都府議を選定した。

 ある維新の地方議員は「公募のルールを無視してだれでもいいから擁立しろという状態。選考基準がわからず、ガラクタ市のようだ」と語った。

 ■日程変更も続々

 地域政党「大阪維新の会」を母体とする日本維新は、大阪の党本部の常勤スタッフがまだ4、5人しかいない。

 公認候補の半数にあたる約80人はこれまで選挙運動にゆかりがない「完全に選挙の素人」(維新関係者)だという。大阪維新所属の地方議員らを総動員するなどして、選挙態勢を組んでいるものの、膨大な事務作業に追われ、発表資料のミスや手違いも多い。

 例えば、公認候補発表の際のリストで性別や氏名の漢字を間違っていたり、記載していた候補者の携帯電話が別人の番号だったことも。公約発表の日時も変更が相次ぎ、広げた大風呂敷の対応に追われる格好となっている。