「発がん・神経毒性物質といった有害物質が含まれる廃水を、長い所では30年以上も無断で垂れ流していた」として、湖南石油化学(ロッテグループ)やコーロン・プラスチック(コーロングループ)など大手企業系列会社を含む44社が環境部(省に相当)に摘発された。このうち28社については、検察告発や工場閉鎖・許可取り消し措置が行われる見通しだ。
■八堂湖にも有害物質放流
環境部は8月から9月にかけて、廃水を出す全国約4万7000社のうち60社を無作為に選び「特定水質有害物質」の管理実態を調査、この結果「44社(73%)が発がん性物質のベンゼンやテトラクロロエチレン(PCE)などのほか、フェノール、四塩化炭素、シアンなどの特定水質有害物質が含まれた廃水を無断で垂れ流していたことが分かった」と22日、発表した。特定水質有害物質とは、水質汚染物質のうち微量でも人体や生態系に悪影響を与える可能性があるため、法で特別に規制されている汚染物質25種類のことだ。
本紙が取材したところ、麗水産業団地にある湖南石油化学(1976年から稼動)の廃水中からはベンゼン、PCE、フェノールなど特定水質有害物質7種類が検出され、コーロン・プラスチック(金泉工場)や麗水産業団地内のヒューケムス、韓国シリコンなどが垂れ流している廃水からも1,4-ジオキサン、シアン、ヒ素などの有害物質4-7種類が検出された。これに対し、湖南石油化学では「環境部の調査では特定水質有害物質が微量検出されたが、その後、第三者的な専門機関に依頼・分析した結果、全く検出されなかった」としている。
特に今回摘発された44社のうち、セムピョ食品、DSテクノ、テジェエナジーなど19社は、八堂湖水質特別対策地域(京畿道広州市・南揚州市・利川市)などの「工場立地制限区域」でフェノール・銅を含む特定水質有害物質を垂れ流していたという。環境当局では「首都圏住民の飲料水にもなる水源地、八堂湖の水質を悪化させた一因」としている。
■全国の工場、廃水管理ずさん
関連法上、特定水質有害物質を排出する企業は地方自治体に有毒物質を排出することを事前に申告した後、許可を受けてから水質基準内に廃水を浄化して流さなければならない。環境部の関係者は「今回摘発された44社は、有毒物質を排出していないと虚偽の申告をしていた。法で定められている通り、検察告発や工場閉鎖命令などの行政措置が徹底的に行われるようにする」と述べた。検察告発と行政制裁の権限は、企業所在地の地方自治体にある。環境部は速やかに全国の各自治体に今回の調査結果を通知し、今後の措置を取るよう求める方針だ。
このため、44社のうち湖南石油化学など28社は関連法規に基づき工場閉鎖(または許可取り消し)と共に、7年以下の懲役または5000万ウォン(約380万円)以下の罰金刑を受ける可能性がある。銅やフェノール、セレンなど1-2種類の特定水質有害物質が微量含まれていたセムピョ食品(利川工場)など残りの14社は今後追加調査を実施、具体的な制裁の程度が決められる。
長いケースで数十年間にわたり企業廃水が無断で垂れ流されていた主な原因は、その企業が自治体と環境当局に対し虚偽の申告をしていたためだ。しかし、取り締まりの権限を持つ自治体のずさんな管理もそれを助長していたと言えるだろう。