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【エネルギー選択の視点】(中)原発再稼働し、技術温存を 慶応大教授・阿川尚之氏
--政府が開いた意見聴取会などでは「脱原発」を求める意見が目立った
「あれだけの事故を受けて原発が嫌だという感情はもっともだと思う。ただ、原発を大幅に減らしたりゼロにすると決断するなら、その覚悟が必要だ。これまでのようには電気を使えず、産業活動は低下、失業率も上昇するだろう。化石燃料への依存度も高まる。日本の国際的地位が低下するといった可能性も高い」
--原発ゼロの主張についてどう考える
「ゼロの主張にも、中長期の目標として掲げる人と、今すぐゼロにすべきで再稼働も許さないという原理主義的な意見がある。後者は観念的で危険だ。日本がすべての戦争を放棄して軍隊を一切持たなければ、戦争は起こらないという、憲法9条の基底にある完全非武装の考え方に似ている。ほとんどすべての国が軍隊を有し続けるなか、日本だけが軍隊をなくしても戦争はなくならず、安全にもならない。だから自衛隊や日米同盟が必要なのだ」
--原発ゼロなら事故は起きないという意見もある
「本当だろうか。北東アジアではこれから飛躍的に原発が増える。その一つでもし大規模な事故が起こったら、風下の日本は深刻な被害を受ける。国内の原発をゼロにしても安全は保障されない。日本の優れた原発技術や管理ノウハウ、事故の経験を世界に提供することが日本の使命であり、安全への貢献となる」
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