「エンパワーメント」がキイワード
佐藤 日本の国を生き残らせるためには日本の資本主義を強化しないといけない。社会を、労働者を強化しないといけない。もちろん、人間、生まれながら才能や適性の差がある。だからといって、モラル・ハザードを起こして、新自由主義批判とか、格差批判とかに走るのは駄目なんですよ。
竹中 「エンパワーメント(empowerment=実力を身につけること)」するというのが、私はキイワードだと思います。ひとりひとりの構成員が強くならないと。
佐藤 それは一昔前まではいわずもがなでした。国家や人生には山もあれば谷もある。いまは谷なんです。この谷の時期を有意義に過ごすために、GQの読者には本を読むことをススメたい。飲み会の数を減らしてでも本を読む。人間関係が円滑に続かなくなるんだったら、飲み会を中座する技法を覚える(笑)。読むなら偉人伝がいい。必ず役に立つ。それは代理経験を増やすことだから。僕はそう思います。
竹中 私、若い頃、宴会を抜ける名人で、その方法を書いたことがあります(笑)。絶対に遅れるな。早く行って、出口のそばに座れ。冬でもコートは持っていくな。トイレに行くような顔をして、こっそり出ろ。カラオケに行ったら最初に2曲歌え。いた、というのはわかるから。それは冗談ですけど(笑)。
佐藤 いまの情報をお金で取ろうと思ったら1000万円以上かかりますよ。タダだから、これは贈与です。
竹中 GQだけ買っていただければ(笑)。先ほど佐藤さんがいわれたスマイルズの『自助論』に出てくる言葉ですけど、「人生に必要なのは勤勉さと快活さである」。一所懸命やることと、明るくやることだと。それにつきますね。
──本日は、ありがとうございました。