驚くべき「上から目線」
この文書ではまず、
〈政府のエネルギー・環境会議は、「エネルギー・環境に関する選択肢」を決定し提示しました。
政府は、この選択肢に基づき国民的議論を展開し、国民各層の意向を総合的に把握した上で、今後のエネルギー・環境政策を8月中に決定するとしています。
今般の国民的議論は、我が国のエネルギー・環境政策の決定内容を大きく左右するものであり、当社としても、電力の安定供給という責任を担う当事者として、自らの意見を表明していくことが重要と考えています〉
と現状を説明した後で、
〈今般の選択肢の内容・問題点、選択肢に対する当社の考えについて理解を深めていただくため、職場会議等を通じて資料1~3を全所属員に周知してください〉
という指示が書かれている。その資料1~3には、原発の比率を下げれば下げるほど、電力会社の経営が窮地に陥っていくことが丁寧に説明されており、「ゼロシナリオ、15シナリオ」が選ばれた場合、電力会社も国民も厳しい規制と負担に直面するとして、次のように「中国電力の見解」がまとめられている。
〈今回の選択肢のうち、「ゼロシナリオ」は、エネルギーの多様性確保、実現可能性、およびエネルギーコストの抑制といった観点から、選択肢たり得ないと考えます。提示された選択肢の中から、あえて一つを選ぶとすれば、原子力の安全確保を大前提に、「20~25シナリオ」は選択肢となり得ると考えます〉
これが「社としての考えを社員・職員に周知徹底する」だけの文書ならば、そこまで問題視することはない。
しかし同文書には、見逃してはならないこんな記述がある。
〈政府は国民全体での議論を呼びかけており、社員が自分の意思で意見聴取会への応募やパブリックコメントへの意見提出等を行うことは自由です。各人の選択肢に対する考えについて、意見提出等をしていただければと考えています〉
このように、社員にパブリックコメントの提出を呼びかけるような文言があるのだ。
文面上は「どんな意見を提出してもいい」とされているが、膨大な資料を使って原発の必要性を説明し、さらに「社としては最低でも20~25シナリオ」と表明した上で「意見提出を」となれば、社員に「原発賛成の意見を送るように」と指示しているようなものではないか。
中国電力広報部門は本誌の取材に対して「あくまでも社員個人の考えを出すことは自由で、応募を働きかけたということではない」と回答するが、ジャーナリストの大谷昭宏氏はこう呆れる。
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