全国民注目!原発ポチたちの「やらせマニュアル」をスクープ入手 中国電力の内部文書に書かれた呆れた中身 まだこんなことやってんのかよ

2012年08月28日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 福島第一原発事故の影響について研究する、福島大学の後藤忍准教授は、この内部文書を一読した上でこう指摘する。

「中国電力は現在山口県に上関原発を建設中ですが、ゼロシナリオや15シナリオが選択されれば、新しい原発を建設する必要がなくなるため、上関原発は無用の長物となる。それでは経営上大きな損害を被るということで、なんとしてでもゼロもしくは15シナリオを阻止したいのでしょう。経済的利益を優先して、事故のリスクなどについてはフタをしてしまうその姿勢は、3・11以前となにも変わっていませんね」

 中国電力の呼びかけによって、社員やオピニオンリーダーがパブリックコメントに意見を寄せても、国民の多数が「ゼロシナリオ」を支持しているなら、さほど影響はないのでは---。普通はそう考えるが、後藤准教授は「政府は国民の声とは関係なく、原発を残すシナリオを選択するのではないか」と危惧を示す。

「政府が国民に提示した資料を読むと、原発依存度が低くなった場合の経済的ダメージばかりが強調され、〝原発を維持するにはどれくらいのコストがかかるのか〟〝再び原発事故が起きた場合、日本全土でどれぐらいの被害が想定されるのか〟についての説明がまったくないのです。『原発ゼロだと、国民経済が台無しですよ』と言って、『だから15シナリオにしましょうよ』ともっていきたい思惑が透けて見えるのです。公正な議論をする気など、ハナからなかったのかもしれません」

 たしかに政府は「多数決で決める」とは言っていない。それどころか、

〈寄せられた意見をもとに、有識者会議を開いて分析する〉

〈統計学に詳しい専門家を呼んで、寄せられた意見を分析する〉

〈8月中には決められないので、9月まで検討する〉

 などといくつもの要件を「後出し」し、さらには枝野経産大臣が「2030年ではなく、2050年を目標にしてもいいのではないか」とまで言い出す始末である。

 さまざまな意見を分析した結果、「原発が必要という意見が少なからず存在し」、「有識者にもそう考える人がいるので」、やっぱり原発は必要です、という結論を導きだす可能性は十分にある。原発ポチたちが必死に叫び続けているのは、そうなるのを望んでのことなのだ。

 ゼロシナリオか、15シナリオか、20あるいはそれ以上か。はたして政府はどんな結論を出すのだろうか。その選択次第では、政府に対する国民の信頼が「ゼロ」となることを、覚悟しておかねばなるまい。

「週刊現代」2012年9月1日号より

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