関西電力の株主として発言せよ!
たけなか・へいぞう
1951年和歌山県生まれ。慶應義塾大学教授(博士・経済学)。小渕内閣の経済戦略会議の委員に就任。その後、小泉内閣で経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣兼郵政民営化担当大臣を歴任した。2004年参議院議員当選。06年9月、公職を辞し、同年11月より現職。
竹中 なぜ、私がこんなことをいうのかというと、インドに、ビル・ゲイツより資産をたくさん持っている人がいて、1年に1回か2回、必ず5人ぐらい世界から彼の家に集めるんです。それで、1日中会議をやる。彼の会社は大組織だけれど、最後に判断するのは自分だと。だから自分の〝頭〞をつくっておきたい。そのために、アメリカからサマーズ(クリントン政権時代の財務長官)、日本からは私が呼ばれて行ったわけです。日本の経営者でそんなことをやっている人はいないと思いますよ。こういうCPUを組み込んだ資本主義は、政治に似ている。それをこれからどう制度化していくのか、新しいニーズになってくると思う。
佐藤 ドイツやロシアでは、「魚は頭から腐る」といいます。世の中おかしくなるときはエリート層からおかしくなる、と。ポピュリズムと民主主義の違いは、ポピュリズムは大衆に迎合するけれども、民主主義ではリーダーが国民を説得しないといけない。そのためにはリーダーを支えるエリート、専門家が必要です。
竹中 そうなんです。専門家といえば、大飯原発の再稼働問題で、橋下(徹・大阪)市長がやったらいいと思うのは、純粋に関西電力の株主として発言すること。「専門家」の判断がわからないんだから、「株主の利益を最大化してください。関電が東電みたいになったら私たちの株価はどうなるんですか」といえばいい。
佐藤 そう思いますね。
竹中 もうひとついえば、「なんかあったら保険金が出るように、ともかく保険に入ってください」という方法もある。これは何を意味するかというと、マーケットが原発のリスクをどう評価しているか、保険の料率でわかるじゃないですか。こんな保険を引き受ける人は絶対にいないですよ。無限大のリスクがあるわけですから。株主から見てとんでもないことを(野田政権は)やろうとしているんだと思いますよ。資本主義はそういう多重のチェックができるシステムになっているんですね。そういう意味ではよくできている。
佐藤 橋下さんは頭のいい人だから、CPUも含めて、すぐに実行しますよ。