東シナ海を挟んだ近隣国との外交関係の悪化に起因して、国民感情がとげとげしくなる悪循環を、深刻に受け止めねばならない。
内閣府の「外交に関する世論調査」で「中国に親しみを感じる」とした回答が18・0%となり、昨年より8・3ポイント落として過去最低となった。2010年9月の中国漁船衝突事件後の20%を更新した。「親しみを感じない」は80・6%に上り、これも過去最悪である。
日中双方が情理を尽くして関係を改善し、「戦略的互恵関係」の価値を見詰め直す大局的判断を発揮すべきだ。
尖閣諸島の領有権をめぐり、日本が9月に国有化に踏み切ったことで、中国内の反日デモが激化し、日本企業が襲われる事態が起きた。
その後も、断続的に尖閣近海で領海侵犯や監視船の航行が続く。経済や文化、スポーツ交流でも対抗措置が取られ、日本企業や選手らが不利益を被る事態も続いた。
10年の中国漁船衝突事件、尖閣国有化をめぐる応酬で露見したのは、日中の安全保障面の対話不足による信頼関係の希薄さだ。中国は日本のバックにいる米国への警戒感を隠さない。
友好親善を重ねることがもたらす相互理解、相互尊重と懸け離れ、日中双方でナショナリズムにあおられて力と力の対決で外交問題の解決を促す強硬論が台頭することは何としても避けねばならない。
中国との歴史的なつながりを基に、東シナ海を平和の海とし、沖縄が日中友好の懸け橋となる。沖縄社会はこう望んでいるが、現実はかなり厳しい。
日中が国交を回復した後、「親しみを感じる」日本国民が約7割を占めていた1980年代とは隔世の感がある。
こうした状況を打開するには、日中関係の内実を冷静に分析することが先決だ。両国の経済は相互依存を強め、観光、ゲームや小説などを通した文化的交流も強まっている。
日中双方が、国際社会に正当性を喧伝(けんでん)している尖閣諸島の領有権問題は、あらためて「棚上げ」し、冷却期間を置いた方がよい。
その上で、まず安全保障面での信頼関係の弱さを克服し、東シナ海のガス田の共同開発やさらなる文化交流など、日中双方に利益をもたらす営みを強めたい。それこそ、東アジア全体の平和と安定に寄与する近道となるだろう。
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