平成24年5月15日
石綿による大気汚染の現状を把握し、今後の対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供していくため、大気中の石綿濃度の測定を平成17年度より毎年実施しています。今般、平成23年度の測定結果を取りまとめました。
平成23年度は全国54地点、161箇所を対象に測定を行いましたが、石綿以外の繊維も含む総繊維は特に高い濃度は見られませんでした。
なお、引き続き石綿による大気汚染の状況を把握するため、平成24年度も大気環境モニタリングを行う予定です。
本調査は、平成17年12月27日付け「アスベスト問題に係る総合対策」(「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」決定)に基づき、石綿による大気汚染の現状を把握し、今後の対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するために実施しているものです。
旧石綿製品製造事業場等、廃棄物処分場等及び建築物の解体工事等の作業現場を始め全国54地点161箇所を対象に、大気中の石綿及びその他の繊維も含む総繊維数濃度の測定を行いました。
このうち、岩手県、宮城県、山形県及び福島県における継続調査地域の調査については、別途、「東日本大震災の被災地におけるアスベスト大気濃度調査」として年4回実施し、「東日本大震災アスベスト対策合同会議」でも報告しています。本紙では、他の地点と同一期間に実施した調査結果を取りまとめました。
なお、平成23年度は東日本大震災の被災地における大気濃度調査を優先させたため、実施期間が限られたことから、これまで年2回測定を実施していた地域については年1回の調査としました。
試料の採取及び分析は「アスベストモニタリングマニュアル(第4.0版)」(平成22年6月 環境省水・大気環境局大気環境課)に基づいて行いました。これは、光学顕微鏡を用いて石綿以外の繊維も含む総繊維数濃度を分析し、総繊維数濃度が1本/Lを超過した場合は、電子顕微鏡で石綿を同定する方法です。
測定結果についての測定者間のばらつきを少なくするため、測定者に対する講習会やクロスチェック等の精度管理を実施しました。
また、調査の方法、調査結果の評価等については、「環境省アスベスト大気濃度調査検討会」(座長:神山宣彦/東洋大学 客員教授)にて専門家の助言を得ました。
調査結果の概要は、表1及び表2のとおりです。これらには、大気中の調査結果のほか、解体等現場の作業現場内の排気口等における調査結果も併せて示しています。
また、表1の地域分類の下段は、「東日本大震災の被災地におけるアスベスト大気濃度調査」として実施した地域の結果です。
なお、各調査地点の地域名、調査期間、石綿以外の繊維も含む総繊維数濃度等は、別添1に記載したとおりです。
発生源周辺地域及びバックグラウンド地域ともに、東日本大震災の被災地以外の濃度の範囲内でした。
今回の調査のうち29地点60箇所については、過去の調査(平成7年度及び平成17年度〜平成22年度)と同一地点において調査を実施しました。当該地点について、調査地域分類別に集計・整理した平成23年度の結果は、表3のとおりです。
平成7年度及び平成17年度〜平成23年度の調査結果を比較した表を表4に、グラフを別添2に示しました。総繊維数濃度は、低いレベルで推移していると考えられます。
環境省では、引き続き石綿による大気汚染の状況を把握するため、平成24年度も大気環境モニタリングを行う予定です。
なお、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の被災地においても、継続調査地点大気濃度調査を実施しています。
添付資料
連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通 :03-5521-8293
代表 :03-3581-3351
課長 :山本 光昭(6530)
課長補佐:栗林 英明(6533)
担当 :磯崎 勇太(6534)