サムスン電子の株価だけ急騰した結果、相場全体が上昇しているかのような錯覚を与えるため、韓国総合株価指数(KOSPI)へのサムスン電子の組み入れ比率を見直すべきではないかとの意見が浮上している。
金融投資協会のパク・チョンス会長は「フィンランドでノキアの時価総額が市場全体の60%を超えた際、組み入れ比率を減らし、指数を見直した例がある。韓国でも株価指数に占めるサムスン電子の割合を調整する必要がある」と指摘した。その上で、サムスン電子の組み入れ比率を10%前後に減らすか、サムスンを除外した新指数を設けることを選択肢として挙げた。サムスン電子はソウル株式市場の時価総額の18.5%を占め、KOSPIの変動にも相応の影響を与えている。
しかし、KOSPIを算定、発表している韓国取引所の関係者は「指数は連続性が求められるため、KOSPIの算定基準を修正する計画はない。仮に今後市場の状況が著しくゆがめられた場合には、サムスン電子を除外した参考指数を発表することも検討可能だが、現時点でそういう計画はない」と述べた。
サムスン電子の株価が上場来高値の143万7000ウォンを付けた先月23日、KOSPIは1911.33で引けた。しかし、本紙がKDB大宇証券に依頼し、サムスン電子を除いて算出したところ、KOSPIは1811.64にとどまった。年初来のKOSPIの騰落率を見ても、サムスン電子を除くと0.8%の下落だが、サムスン電子を含めると4.8%の上昇だった。
大宇証券のキム・ハッキュン投資戦略チーム長は「KOSPIだけ見ると、サムスン電子という単独銘柄で指数を100ポイント、5%以上引き上げた計算になる。サムスン電子とそれ以外の上場企業785社の間で二極化が深刻化していることを示している」と述べた。
株価の二極化進行は、欧州財政危機など世界経済の低迷で韓国の輸出企業が苦戦する中、世界のスマートフォン(多機能携帯電話端末)市場で首位を独走しているサムスン電子の株価だけが独歩高となっているためだ。その上、株価が上昇し、時価総額が増加すればするほど、株価指数に与える影響が高まる。
サムスン電子の時価総額に占める割合は昨年末の15.3%から26日現在で18.5%まで上昇した。同割合は2003-04年に20%を超える水準まで上昇した後、07-08年には9-10%まで低下していた。
問題点は、実際にはサムスン電子の株価だけが上昇しているにもかかわらず、投資家が市場全体が好転していると錯覚する可能性があることだ。また、資産運用業界ではファンドの収益率を評価する基準としてKOSPIなど株価指数を活用しているが、サムスン電子に投資していないファンドは運用益が低いと評価される可能性がある。
ドリーム資産運用のイ・ジェヒョン専務は「サムスン電子の株式を買うと、(サムスンの株価変動による)影響を受け過ぎる。かといって、買わなければ収益率が低下するのではないかと心配だ」と述べた。