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温故知新

「住民鉄道」に向け快走中

2012年11月26日

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キノコづくしの料理が味わえる「きのこ列車」

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急勾配日本一の区間に設置された飯沼駅=中津川市飯沼

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明知鉄道岩村駅で実験走行をするDMV。線路では鉄輪、道路ではタイヤを出して走る=恵那市

◆明知鉄道

「達人の見どころ」
◆歯科医院・温泉…主要駅に施設誘致
 JR中央線恵那駅と駅舎がつながった恵那駅と明智駅を結ぶ25・1キロの鉄道で、国鉄明知線として1934(昭和9)年に開通した。二つの小分水嶺(ぶん・すい・れい)を越える急勾配と曲線の多い典型的な地方交通線である。国鉄改革時に県、沿線市の出資する第三セクター鉄道となり、「住民鉄道」として脱皮すべく、地域をあげてその活性化に努めている。
 まず主要駅に、要介護・看護の高齢者専用住宅を備えた複合福祉施設、歯科医院、温泉などの施設を誘致した。とくに近くにスーパーが開設されたのに伴い、極楽駅(一般公募で命名)を新設した。縁起の良い駅名が人気を呼び、極楽(駅)行きの切符を求めて多くの人が訪れる。
 郷土料理が楽しめる専用運行のグルメ列車が好評だったので、昨年からこれを食堂車扱いにして一般車両1両を連結した急行列車(大正ロマン号)に格上げした。車内でキノコや自然薯(じ・ねん・じょ)、寒天など工夫のグルメ弁当が味わえるとあって、乗客増につながった。この食堂車つき急行は、民鉄唯一のものである。
 飯沼駅は最急勾配(33/1000)区間中の駅として話題を呼び、案内標識もあるので撮影に来る人も多い。このように沿線の緑に囲まれた田園風景とともに見どころいっぱいの楽しい路線である。(須田寛・JR東海相談役)

「記者が見ると」
◆車窓の景色眺めて 旬の郷土の味堪能
 グルメ列車で最も人気のある「きのこ列車」に乗った。マツタケ入りご飯、土瓶蒸し、焼きマツタケをはじめ、シメジやロージ、イクチなど何種もの旬のキノコを調理したキノコづくし。地元の仕出し料理の3店が競ってメニューを工夫しているそうだ。
 「急行」でも列車はガタンゴトンと緩やか。車窓に広がる山や田園の景色も眺めながら約50分で終点の明智駅に。ここでは「日本大正村」観光が楽しめる。
 国鉄明知線の廃線を懸念した沿線の住民らが運行継続を望んだ三セク鉄道の経営は厳しい。だが、数年後には、線路と道路の両方を走ることができる車両「デュアル・モード・ビークル(DMV)」の導入も計画中だ。住民のマイレール意識が消えない限り、運行の灯は守られるだろう。
 《メモ》 グルメ列車の問い合わせ、予約は明知鉄道本社(0573・54・4101)。沿線の観光案内は恵那市観光協会(0573・25・4058)。(紅谷暢章)

◆次回は「トヨタテクノミュージアム 産業技術記念館」=名古屋市西区=です。

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