『09年4月からフェーズ2に移行したため、現在、新たな記載内容を作成中です。』

メタンハイドレートは石油・天然ガスに代わる可能性のある次世代資源として脚光を浴びており、エネルギー資源に乏しい我が国の周辺海域にも、多く存在すると推定されています。
このメタンハイドレートを資源として開発するため、2001年7月に経済産業省によって「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」(以下「開発計画」)が策定されました。開発計画は2001年度から2018年度の18年間に及ぶ長期計画(当初計画では、2016年度までの16年間であったが2008年度の中間評価時に変更)であり、次の6つの目標が設定されています。
- 日本周辺海域におけるメタンハイドレート賦存状況と特性の明確化
- 有望メタンハイドレート賦存海域のメタンガス賦存量の推定
- 有望賦存海域からのメタンハイドレート資源フィールドの選択、並びにその経済性の検討
- 選択されたメタンハイドレート資源フィールドでの産出試験の実施
- 商業的産出のための技術を整備
- 環境保全に配慮した開発システムの確立
上記目標を達成するために、開発計画は3段階のフェーズ・アプローチを提案しています。2001年度から2008年度までの8年間をフェーズ1として、上記1.2.3.の目標を達成しました。2009年度から2015年度までの7年間のフェーズ2.では、4.の目標を達成するために研究に実施していく予定です。
JOGMECは、開発計画を実行するために結成されたメタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21研究コンソーシアム)の一員として研究に取り組んでいます。
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| わが国におけるメタンハイドレート開発計画 |

東部南海トラフ海域において、2001年に2次元地震探査(2802km)、2002年に3次元地震探査(1960km2)を実施し、これら地震探査データに基づき2004年に基礎試錐「東海沖〜熊野灘」を実施し、同海域の16地点で詳しい調査を行いました。これらの調査の結果、東部南海トラフ海域におけるメタンハイドレートは、主に砂泥互層(タービダイト成堆積物)における砂層の砂粒子の孔隙を満たして存在していることや、場所によっては、メタンハイドレートを含む厚い砂泥互層(メタンハイドレート濃集帯)が存在していることを明らかにしました。
JOGMECでは、東部南海トラフ海域におけるメタンハイドレート資源量を評価するため、同海域で得られた上記地震探査および坑井データの詳細な地質解釈および高密度速度解析等の地震探査記録の解析手法を統合することにより、メタンハイドレート濃集帯を摘出する手法を構築しました。この手法を用いて、東部南海トラフ海域におけるメタンハイドレートの原始資源量(経済的・技術的に回収可能、不可能を問わない、地殻に自然に存在している資源量)を算定した結果、確率論的手法による平均値として約40TCF(約1.1兆m3)、このうち濃集帯については20TCFとなりました(以上の数値は、天然ガス換算)。このような地震探査、坑井データに基づく詳細なメタンハイドレート資源量評価は世界で初めて実施されたものです。
東部南海トラフ海域の調査マップ

地層内に存在するメタンハイドレートは固体であるため、熱を加えて温度を上げる方法や圧力を下げる方法等によりメタンハイドレートを分解し、メタンガスを採取する新たな技術の開発が必要です。この技術を検証するためカナダ北極圏マッケンジーデルタ地域において産出試験を実施しています。
第1回陸上産出試験として、2002年にJOGMECの全身である石油公団が温水循環法によるメタンガス生産を世界で初めて成功させています。
第2回陸上産出試験は、カナダ天然資源省との共同研究の形で、より効率的な生産が期待できる減圧法を新たに適用し、その効果を検証することを目的とし、2冬季での実施が計画されました。極寒・脆弱な極地環境に最大限の配慮を行いながら、2007年1月〜4月に第1冬目の試験を実施し、その結果、世界で初めて減圧法によってメタンハイドレート層からメタンガスの産出を確認しました。しかし、メタンハイドレート層は未固結堆積物のため、メタンガスや水とともに砂も出てきて(出砂現象)、その砂がポンプを停止させてしまったため、試験は12.5時間で終了せざるを得ませんでした。
2008年3月、出砂対策を行い、減圧法による生産試験(第2冬)を再チャレンジしました。その結果、世界で初めて減圧法による連続生産に成功(生産期間6日間、累計生産量13,000m³)し、減圧法がメタンハイドレート生産に対して有効な生産手法であることを実証しました。
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| 左:第2回陸上産出試験サイト全景、右:第1冬目のガス産出のフレアの様子 |