Updated: Tokyo  2012/11/27 14:35  |  New York  2012/11/27 00:35  |  London  2012/11/27 05:35
 

日銀総裁:金融政策は為替に相応の影響-介入と併せ円高に歯止め

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  11月26日(ブルームバーグ):日本銀行の白川方明総裁は26日午前、為替相場について「これだけ金融のグローバル化が進行している中で、中央銀行の政策だけで決まるものではない」としながらも、政府の為替介入と併せて、日銀の金融政策は「為替レートに相応の影響を与える」と述べた。名古屋市内での講演後の質疑応答で語った。

白川総裁は円高への対応について「介入という形で政府が責任を持って行う体制になっている。今月開かれたG20(20カ国・地域の財務相・中央銀行総裁会議)でも、為替レートの無秩序な変動は、経済の安定に悪影響を及ぼすということが共通の認識になっている」と指摘。その上で「こういう認識の下で、政府は必要かつ有効な局面で適切に対応されている」と述べた。

日銀の金融政策に関しても「金利を通じて為替レートに影響を与える」と指摘。「強力な金融緩和政策を1%の物価上昇を見通せるまで継続するという約束が為替レートの円高化を抑制する1つの要因になっている」と語った。総裁は講演でも、日銀が行っている金融緩和策が「政府による為替介入などと相まって、円高への一定の歯止めとしても作用している」と述べた。

総裁は「この1年間に限ってみれば、円の為替レートは対ユーロで2%の円高となった一方、対米ドルで4%、対韓国ウォンで8%の円安方向の動きとなっており、それらの動きを貿易額で加重平均した為替レートは4%の円安となっている」と指摘。

その上で「もちろん、最近1年間の動きはともかくとして、輸出製造業の多い当地の企業経営者の皆さまの実感としては、為替レートはリーマン・ショック以降、急速に円高化した水準で高止まっており、引き続き厳しい状況に直面しているというものであることは十分承知している」と述べた。

着実に1%に近づいていく

白川総裁はまた、「日銀としても、現在のように海外経済の先行きをめぐる不確実性が大きい局面において、円高が輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じ、わが国経済に負の影響を与える可能性があると懸念している」と指摘。「企業の海外シフトの加速や中長期的な成長期待の低下につながる恐れという観点からも注意が必要と考えている」と語った。

足元の景気については「弱含みとなっている」と指摘。先行きも「当面は弱めに推移する」としながらも、「その後は、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと判断している」と述べた。

生鮮食品を除く消費者物価の前年比については「当面、ゼロ%近傍で推移する」としながらも、「景気の持ち直しに伴い需給バランスが改善するにつれて、徐々に緩やかな上昇に転じる」と言明。2014年度には「1%へと着実に近づいていく」との見通しを示した。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net

更新日時: 2012/11/26 12:34 JST
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