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魚形の醤油入れ図鑑出版…兵庫・三田の昆虫学者

「醤油鯛」を集め、分類した沢田さん。「形の変遷など奥深さが魅力」と話す(兵庫県三田市で)=枡田直也撮影

 兵庫県立人と自然の博物館(三田市)の研究員・沢田佳久さん(52)が、弁当などに入っている魚形の調味料入れを25年かけて約1000個収集、形や用途で分類して、図鑑にして出版した。専門は昆虫学だが、昆虫採集に匹敵する楽しみだという。

 20歳代の頃、妹の圭子さん(50)が集めているのを見て、「うろこやキャップの形がいろいろあるんだ」と気づき、興味を抱いた。

 「醤油鯛(しょうゆだい)」と名付け、知人らにも協力してもらい、コンビニ弁当や駅弁、機内食などに入っているものを集め、標本箱にピンで留めていった。長さ7センチの大型のものや、アユのようにスリムな珍種もある。

 装飾や形から「カザリショウユダイ科」「コイ(鯉)ガタショウユダイ科」など六つの「科」に分け、形状からさらに「ダルマ」「ツツ」など21の「属」、「那覇ファミリーマート醤油鯛」「大韓航空醤油鯛」と、入手場所にちなんで76の「種」の名前を付けた。

 「醤油鯛」は食品包装メーカーが1957年に製造したのが始まりという。現在は業界大手3社の製品がほとんど。その3社に頼んで入手すればすむことだが、フィールドで発見することにこそ醍醐(だいご)味はある、らしい。

 沢田さんは「醤油鯛の根底には、魚をごちそうと尊ぶ文化がある。小さなものに細工を施す繊細さも、日本ならではです」と語り、新種との出会いに期待を膨らませる。

 図鑑のタイトルは「醤油鯛」で、四六判144ページ、1785円。問い合わせはアストラ社(03・3288・3946)。

2012年11月24日  読売新聞)
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