危機の終わり遠い、緊縮で30年代型恐慌も-クルーグマン教授
10月3日(ブルームバーグ):ノーベル経済学賞受賞者で米プリンストン大学教授のポール・クルーグマン氏は3日、米国と欧州連合(EU)の金融危機の終わりは遠いとし、ドイツ主導の緊縮政策が1930年代のような経済恐慌をもたらす恐れがあるとの見方を示した。
同教授はベオグラードでの講演で、米国には「もう一弾の景気刺激」が必要で、金融当局は成長回復を支援するために「できることを全て」する必要があると指摘。欧州では単一通貨を救うため、財政同盟が必要だと述べた。
「欧州は緊縮には限界があること、これ以上の緊縮は社会を崩壊の縁に追いやるだけだということを認識しなければならない」とし、「各国に余りに多くの苦痛を与え過ぎたとドイツと欧州中央銀行(ECB)が気付くまで、いかなる国も繁栄しないだろう」と語った。
ECBも米連邦準備制度理事会(FRB)も危機対応策を打ち出している。ドラギECB総裁は無制限の国債購入の計画を示し、バーナンキFRB議長は量的緩和第3弾(QE3)実施を表明した。
クルーグマン教授は欧州について、「困難な状況にある国々への金融面の脅威を直ちに取り除き、借り入れ金利を安定させることが必要だ。それには結局、ECBが最後の貸し手となり国債を購入することが必要だ」との見解を示した。
景気回復になかなか弾みが付かない米国については、財政面での新たな刺激策を企業よりもむしろ「家計の苦しい個人を対象に」すべきだと説いた。
欧州で過激な緊縮策が長引けば「政治的な混乱と急進化」を招き「恐ろしいことが起こる」として、「1930年代に似た10年間が繰り返されることは容易に想像できる」と話した。
原題:Krugman Says U.S., Europe Are ‘Nowhere Close to EndingCrisis’(抜粋)
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更新日時: 2012/10/04 00:45 JST