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2012年11月13日(火) 東奥日報 ニュース



■ マダラの全量検査望む声高く

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八戸港に水揚げされたマダラ。全量検査を求める声が上がっているが、測定時に誤差が出やすいなど、実現には課題もある=6日、同港第2魚市場
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 東京電力福島第1原発事故後、本県沖太平洋産マダラから2度にわたり基準を超す放射性物質が検出され、一時出荷制限を受けたことから、マダラの全量検査を求める声が県内の水産関係者の間で高まっている。他県ではコメの全量検査や、シラスなど一部の水産物で実証試験が進められている。水産関係者は全量検査で基準超過の魚の流通を完全に防ぎ、出荷制限による漁業や流通の停滞回避を期待しているが、マダラでは測定に誤差が出やすいなどの課題も。「実現はまだ先では」との見方も根強い。

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 10月末に出荷制限が解除されたマダラについて県は週1回のモニタリング調査を継続。八戸港では地元業界が水揚げごとに販売前検査を行っている。しかし、検査するのはあくまでも一部。2回目の基準超過は、検査をすり抜け、流通先の岩手県で発覚した経緯もあり、水産関係者からは「全量検査でなければ抜本的な対策にならない」との声が上がる。

 県水産局の宝多森夫局長も2日の知事定例会見で「全量検査ができれば漁業もストップしない。機械をメーカーに開発させるよう(国に)お願いした」と期待感を示した。

 茨城県の大津漁協は7月、古河機械金属(東京都)の協力で、水産物の全量検査の実証試験を始めた。放射線を受けると発光する結晶の製造技術を持つ同社が開発した機器を利用。ケース詰めのシラスやイナダをベルトコンベヤーに乗せ、ゲート状の測定器を通す。魚を傷つけず、短時間での測定を目指す。

 同県出身で、試験の実施に尽力したデザイン会社「トライポッド・デザイン」(東京)の中川聡代表は「漁業者が誇りを持って安全な魚を消費者に届けられる仕組みをつくりたい」と期待を込める。

 一方、8月からコメの全量検査を行っている福島県では、30キロ袋を1分間に3、4袋の速さで測定している。「精密検査で使う機器にかなり近い数値が出る」(同県水田畑作課)という。

 しかし、マダラでの全量検査の実現には課題がある。10月中旬、古河機械金属側が八戸市を訪れ、開発状況などを説明した。同社広報IR課によると、形状が複雑な水産物の測定は、ケース内にできる隙間で放射線が乱反射し誤差が出るため、魚体が小さく、隙間なく箱詰めできるシラスに比べて、大きなマダラなどの測定は誤差が出やすい。魚の種類や大きさに応じて補正する必要があり、精密検査の結果と照合しながら、最適な測定方法を慎重に検証しているという。

 マダラがコメやシラスに比べ測定が難しい−などと説明を受けた同市の水産関係者の一人は「(全量検査の)ハードルは高い」と感想。別の関係者は「(実現は)まだまだ先だろう」と話した。

 また、水産物を詰めるケースが統一されていないことも円滑な測定・出荷の壁となる。八戸港に水揚げされるマダラは現在、木箱や発泡スチロールなど3種類のケースで出荷されている。大津漁協の坂本善則参事は、実証試験では、魚を測定用ケースから出荷用ケースに入れ替える場合もあるとし「時間的に限界がある」と話す。

 こうした課題を克服して、精度の高い全量検査が可能になれば、1検体でも基準超過が出ることで出荷が止まる現在の検査体制が変わる可能性もあるという。厚生労働省監視安全課の担当者は「機器ができれば、性能や管理方法を踏まえ、自治体や漁業者と協議して対応していくことになる」と話している。

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