中国人組織によるインターネットバンキングの預金不正送金事件で、県警は１４日、会社員の尚洋被告（３２）＝福岡市博多区＝と無職の薛娟被告（３１）＝川口市中青木４＝の中国籍の男女２人を犯罪収益移転防止法違反（通帳等の譲渡・譲受）の疑いで再逮捕した。

　捜査関係者によると、薛容疑者名義の少なくとも１９銀行口座が昨年７月から翌８月にかけて、尚容疑者へ渡ったという。いずれも不正送金先に使うためだったとみられる。

　再逮捕容疑は、尚容疑者が中国籍の男性（２２）＝福岡地裁で有罪判決＝と共謀して昨年７月４日午後１時３５分ごろ、川口市西川口１で、薛容疑者から都市銀行のキャッシュカード１枚を有償で譲り受けるとともに暗証番号を教えてもらったとしている。県警によると、尚容疑者は容疑を認め「この時、１０口座ぐらい受け取って２０万円ぐらい渡した」と供述。薛容疑者は黙秘している。

　この都市銀行の口座には１週間後の昨年７月１１日、東京都内の男性名義のネット銀行口座から２００万円が不正送金され、同日中に全額が引き出された形跡があったという。

　県警は、薛容疑者が不正送金先の口座を用意し、尚容疑者が現金の引き出しを指示したりするなど、中国人組織内で明確な役割分担があったとみて調べている。【田口雅士】