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中国人留学生にある高学歴神話
2011年3月の東日本大震災の後、日本で学ぶ中国人留学生の殆どが一斉に帰国、その数は激減したと言われていました。しかし、日本学生支援機構(JASSO)が発表した2011年在日外国人留学生在籍状況調査の結果(表1)によると、2011年に日本に留学した中国人留学生は8万7,533人で、前年比1,360人増(増加率1.6%)で、震災から1年後は、中国人留学生の数は減少するどころか、むしろ小幅増加しています。日本政府による留学生受け入れ推進策に加え、震災で却って証明された「日本国民の質の高さ、建築物や道路の質の高さ、防震防災対策の万全さ」など(人民網日本語版)が相まって、日本留学は依然、中国人学生の間では人気が高いようです。
日本に来る外国人留学生総数の63%を占めるまでに至った中国人留学生。その多くが4年制を卒業するだけにとどまらず、修士課程に進み、修士学位を取得しようとします。不景気が続く今の日本では、一般的に年をとればとるほど就業に不利になります。就職を目指すなら、4年制を卒業後、すぐに入社をしてしまったほうが得策のはずです。それでも中国人留学生は修士課程を目指します。私は職業紹介業にも携わっていますが、以前、登録者の方から「(日本の)大学院の半分以上は外国人、そのうち7~8割が中国人」と聞いたことがあります。ヘタに上海で日本人留学生の多い大学に留学するよりも、日本の大学院に通ったほうが中国語を学べるかもしれません。では、何故そんなに中国人留学生は“高学歴”に拘るのでしょうか。
今年の5月、上海に出張した時のことです。上海浦軟匯智人力資源服務有限公司の羅峻副総経理によると「中国は学歴重視社会」であるといいます。重点大学(中国の名門国立大学)の合格者であることが最重要視され、尚且つ重点大学の卒業生でも短大(大専)卒、4年制大学卒、大学院卒(修士卒、博士卒)で大きく評価が異なるとのことでした。その状況は羅副総経理が教えてくれた上海での学歴別コンピューター技術者の給与水準(表2)を見れば一目瞭然でした。
つまり、この表からすると、短大卒のプロジェクト・マネージャー(PM)の年収は修士卒以上のプログラマー(PG)に敵わないこともあり得るというのです。私は「本当にここまで学歴偏重なのか?」と疑問に思い、中国の最大のSNS『新浪微博』上で110名の中国人フォロワーに「中国社会は本当に学歴を偏重するのか?」についてアンケートを実施しました。すると、やはり7割近い68.2%もの人が「中国社会はやはり学歴偏重している」と回答したのです。
つまり、この「高学歴神話」が日本に留学する中国人にも根付いてしまっているのでしょう。「丸尾さん、大学院卒の給与がもらえる求人はありませんか?」そんな質問メールが今日も中国人登録者から舞い込みます。中国の大学を卒業して22歳。日本語学校(あるいは大学の別科)に二年通って24歳。専攻を変える場合は研究生となり二年通って26歳。そして大学院を二年通って修士学位を取得して28歳・・・。弊社登録者の中には修士課程を卒業して30歳を超えるケースが少なくありません。そして、彼等は日本での就業歴はアルバイトを除いて「無し」の状況。これでは、30歳を超える人材に対しては一般的に“経験”を求める日本企業のニーズとは合致しません。かくして、中国人留学生の「高学歴神話」は日本社会では通用しないこととなるのです。