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改憲秒読みの選挙戦でヘラヘラ笑っている社民と共産
自民党が政権公約で改憲を明記、9条を改定して自衛隊を国防軍とすると発表した(11/21)。安倍晋三は、「できることしか書かない」と会見で豪語しており、選挙で政権を得れば必ず断行すると言い切っている。予想どおり、改憲の是非が今度の選挙の争点になった。もし自民党が勝って過半数を得れば、9条改定を国民が支持した結果となり、その民意を得て安倍晋三は確実に発議するだろう。週末(11/25)のテレビ番組でも、この問題が取り上げられたが、マスコミ報道では改憲が現実に迫ったことについて全く危機感を示していない。淡々と受け止められていて、改憲反対の切実な声が、論者からも、「街の声」からも、発せられることがなかった。ネットを見ても、マスコミが演出する第三極の劇場報道に興じて戯れている様子は見えるが、改憲が秒読みになった事態について深刻に悩んでいる気配がない。社民や共産の党首の映像を見ても、いつものようにヘラヘラとしているだけで、これを阻止しようとする真剣な表情が見られない。5年ほど前、辺見庸が著書の中で、社民と共産は本当に改憲阻止に動くのだろうかと疑念を漏らしていたことがあった。それを読んだときは、辺見庸の過剰な心配性と猜疑心を感じたものだが、今となっては辺見庸の予感の正しさを痛感させられる。改憲を抑止する3分の1の勢力を院で作ろうと誰も動かない。


改憲の公約と意思については維新も同じであり、今回、改憲を強行しようとする極右勢力が衆院の過半数を占めるのは確実な情勢だ。選挙前の現段階は、マスコミ報道は、改憲に慎重な公明(山口)や民主(野田)の映像を流し、この論議をイーブンに扱っているため、視聴者であるわれわれは、改憲をめぐる世論が賛否相半ばであるような気分を覚える。しかし、それは錯覚であり幻想だ。選挙結果が出れば、明確にマスコミは改憲を民意だと判定して報道するし、そのことを安倍晋三も繰り返して強調し、既成事実化の地固めを行い、発議と国民投票へ向けて政治日程を敷いて行く。おそらく、7月の参院選が正式に改憲を争点にした選挙になり、ここで衆参を固めて、参院選の結果が出た直後に発議となるだろう。1月から6月の半年間は、改憲の中身を埋める調整の期間であり、9条の条文の改定と96条の改正手続に絞られて合意が纏まるはずだ。合意に乗るのは、自民、維新、民主、公明で、生活も加わる可能性がある。参院選前の半年、特に予算を編成して審議する3月までの1Qは、安倍晋三は、リフレ策と公共事業に全力を傾注すると思われる、それをしないと3Qでの景気判断で消費税増税にゴーサインを出すことができない。「景気が上向き」あるいは「景気後退に歯止め」のマスコミ世論を醸成するべく、指標のいじくりに躍起になるだろう。

リフレ策(インフレターゲット)を遂行し、同時に社会保障の給付削減で合意形成するため、安倍晋三は連合の協力を得るべく民主と組むに違いなく、経済政策を自公民で回しつつ、同時に自公民で改憲後の憲法の成案も得ようとするだろう。私の予想では、衆院選後の民主は自民の3分の1から4分の1の少数勢力になっていて、二大政党の一つではなく、発言力や影響力も公明と同じほどでしかなくなっている。また、党内に護憲を主張する議員や改憲に慎重な議員もいなくなっている。現在、野田佳彦が安倍晋三の改憲強硬論に抗う素振りを示しているのは、極右台頭に不安を感じている有権者の票を取るための疑似的な「対立軸」演出のポーズであり、選挙後に経済政策で事実上の連立を組めば、自動的に改憲についても積極的な態度に切り変わるはずだ。選挙後は、世論の大勢が改憲支持という環境になっている。現在でもそうだが、護憲はすでに異端であり、14党乱立の中の端数である2党しかその立場にない。不思議なことに、政権獲得が確実視されている自民党が改憲と国防軍を堂々と公約に据えたのに、9条の会から何の発信も聞こえて来ない。社民と共産に選挙協力を促すとか、院内で3分の1の9条防衛勢力を確保する政治設計の提案とか、そういった声が何もない。掛け持ちの反原発をやりすぎて疲れたのだろうか。それとも、会員たちは単に共産党のロボットなのだろうか。

マスコミ演出の第三極劇場を面白がって見ている観客は、石原慎太郎と橋下徹が、政策そっちのけで接着する理由について真面目に考える必要がある。そもそも、二者の間に基本政策の違いがあるのか。橋下維新と石原太陽が野合したのは、安倍晋三と一緒になって憲法を改定するためであり、改憲勢力を最大化するためだ。大阪で行っているところの、教育基本条例や組合潰しや赤狩りを全国に拡大するためである。動機と目的はイデオロギー政策にある。原発も、TPPも、石原慎太郎が言っていたとおり、彼らにとっては些末な問題であり、「中央集権の打破」とか「統治機構の改革」とか「官僚主導からの脱却」とかが主眼であって、それらの言葉の意味は、現行憲法を変えるということに他ならない。原発やTPPは、それらが国民が関心を持つ政策争点だから、自身の本音を言ってみたり、票に阿る素振りをしているだけでしかなく、第三極における各政策の差異のバリエーションは、本音と欺瞞と個性のグラデーションでしかない。選挙の後は、橋下徹は原発推進に変わるし、石原慎太郎もTPP推進になる。渡辺喜美も同じだ。現在、第三極の中で政策が不一致であるように言っているのは、マスコミの演出であり、彼らの見え透いた演技にすぎない。「政策が不一致」のはずの橋下徹と石原慎太郎が組むのは、彼らにとってもっと重要な改憲という目標があるからだ。核保有と徴兵制を実現し、中国と戦争するためだ。

日本は極右が支配する国家となる。7月の参院選でリベラルを結集して勝利することができなければ、改憲の国民投票がされ、首相と天皇の靖国参拝が公式行事化されるようになるだろう。安倍晋三や橋下徹が、憲法改定の発議条件を3分の2から2分の1に規制緩和しようとするのは、まさに、国家が自分を縛る縄を解いてゆくためであり、国民に保障している権利、言論の自由とか、思想信条の自由とかを少しずつ奪い取ってゆくためだ。そんなことは、外から日本を見ている者なら誰でも理解できる。しかし、当の日本人は、そうした正論を口にすることもないし、念頭に置くこともない。9条をめぐる議論は、これまでさんざんやってきたことで、90年代以降の脱構築と右翼の説教が支配的となった時点で、もう押し返す思想的な力が失われていた。昨日(11/25)、関口宏のテレビ番組を見ていたら、この改憲をめぐる動きに中国と韓国が神経を尖らし、警告を発している問題が話題に出た。そうすると、出演者の田中秀征が、中韓からの日本右傾化批判に対して「余計なお世話だ」と憤慨していた。ネット右翼と同じ言葉を感情を荒げて怒鳴っている。今の日本のマスコミでは、外からの右傾化批判に対しては、田中秀征のように反応するのが標準となっている。右翼的政治人格が標準で、NHKの大越健介も、その標準を想定して報道をやっている。われわれが小中学生の頃に教室の社会科で習った憲法や平和主義のプロトコルは、一切否定されて消えてしまった。

衆院選の報道を見ながら、政治の問題として思うのは、政党を作ることの難しさである。リベラルの勢力を一つに結集しようとする動きが出ず、どれもこれもが、(1)反消費税、(2)脱原発、(3)反TPPと言いながら、それを一つの政党にして自公民・極右と対抗する政治を設計しようとしない。われもわれもとマスコミの前で端数政党を立ち上げ、180議席の比例ブロックで3議席とか4議席を取ることを目標にして調子のいいことを言っている。第三極劇場の幕間のコントである、退屈しのぎの新党ブーム劇場で遊んでいる。要するに、(1)-(3)は口先だけで本気ではなく、国民から票が欲しいだけであり、自分が比例で当選すればいいだけだ。肝心の300小選挙区は最初から民自と極右に明け渡している。(1)-(3)が政策的に実現されるはずがない。話にならない。それについて常識的な小言を言う論者もいない。無名の者がネットで声を涸らしてひせくっても、誰も見向きもしようとしない。劇場を愉悦して群れる愚か者ばかりだ。政党を作ることは難しい。われもわれもと雨後の筍のように出て来て、脱力する国民の前でハシャいでいるのは、議員や首長や名の売れた者たちである。例えば、反原発のデモなら、27歳の介護士が呼びかけて数十名から立ち上げることができた。しかし、政党はそうはいかない。志のある無名の者が思い立って、そこから選挙で風を起こすということができない。これほどの平和と国民生活の危機の中で、政治家の生き残り目的の政党が泡沫のように生まれては消え、マスコミが失笑する茶番があるだけ。

市民には直接行動しか残された政治の道はないようだ。そしておそらく、その運動が盛り上がったとしても、極右化した政権がそれを暴力で弾圧することを始めるのだろう。


by thessalonike5 | 2012-11-26 23:30 | Trackback | Comments(1)
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Commented by haku at 2012-11-26 21:42 x
この時期に憲法改正なんて暇つぶし!と茶化したいですね。
そんな場合じゃないでしょう・・・内憂外患、やるべき仕事のすべてを忘れ、総選挙まで使って趣味に走っていますよね、自民党。これがつい数年前まで政権を担っていた政党かと思うと、情けないを越えている・・・
私は今回初めて投票に行かないでしょう。投票率を10%位にまで下げて、候補者にあっかんべーしたい気持ちです。
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