ジャズプレーヤーを題材にした映画には、古くはベニーグッドマン物語、グレンミラー物語、ドーシーブラザース物語、ジーンクルーパ物語などスイングジャズスターのものが上映されていますが、この作品は、レッドニコルスというコルネットプレーヤーを題材にしたもので、レッドニコルス自身は、良いバンドを率いていましたが決してスーパースター的な存在ではありませんでした。映画の中では、ダニーケイがレッドニコルスを演じ、とても素晴らしい演技と歌を聴かせていますが、実在のレッドニコルスはボーカルはやりませんでした。ですが、この映画でダニーケイに歌わせたのは、一番の魅力になっており、五つの銅貨、聖者の行進など色々な曲を個性豊かに楽しく歌っています。私は特にバンドのメンバーとスキャットコーラスで歌う「インディアナ」が気に入っています。ルイアームストロングと掛け合いで歌う「聖者の行進」は、ジョークや駄洒落の連続で実に面白いパフォーマンスです。黒人に生まれたニューオルリンズジャズが、白人のディキシーランドジャズに変貌する様子も分かるし、ストーリーもほのぼのしたハッピーエンディングでお子さんにも楽しんでもらえる良い映画です。