ご購読はこちら
  新着情報    山陰経済ウイークリー    中央フォト    広告案内    さんさん    出版案内    政経懇話会    サイトマップ
HOME山陰のニュース全国・世界のニューススポーツコラム特集写真
| 論説 | 明窓 | 談論風発 |
催し遊ぶ買物・グルメ住まい生活健康・医療学ぶ・働く文化センターいわみ情報局
 論説 :  国際まんが博閉幕へ/成果を地域活性化に生かせ
 「まんが王国とっとり」建国記念として8月4日に鳥取県で開幕した国際まんが博が、114日間の会期を終えて25日、閉幕を迎える。

 期間中、日本をはじめ世界の漫画家約400人が参集した「第13回国際マンガサミット鳥取大会」を中心に水木しげる、青山剛昌、谷口ジロー3氏ら県出身漫画家の原画展など139事業が県内各地で展開された。

 「まんが王国とっとり」は各種メディアに取り上げられ、今や全国で認知されたと言ってもよいだろう。その意味では「漫画を通じて全国に鳥取を発信する」という当初の目的は遂げたと言えよう。

 しかし国際まんが博は、県が約10億円を投資した大事業だ。「まんが王国とっとり」として上がった知名度をそのまま維持しようとするなら、情報発信だけで事足りたとは言えない。仮に、そんなことになれば、それこそ王国は一夜城と化してしまい、将来の発展が望めない。

 まず建国記念事業としての国際まんが博を総括し、王国の礎を堅固にする必要がある。そういう観点から気になるのが「なぜ漫画なのか」という疑問だ。

 マンガサミットの誘致は、東南アジアを中心に活躍する漫画家が、漫画について議論しようというのが趣旨だった。サミット開催を好機と捉え、期間前後に鳥取県で国際まんが博を催して全国の耳目を鳥取に集めようという意図があった。その目的と成果に異存はない。

 だが、それは手法の問題だ。「なぜ漫画なのか」という疑問への解答ではない。

 サミット会場では、この疑問を解く鍵ともなる「漫画の可能性」を示唆する場面にいくつか出合った。

 その一つが世界の漫画家による原画展。作家の個性を別にすれば、約700点の作品を並べ替えた場合、どの国に属するのか分からなくなる。吹き替えの言語を替えれば、どの国でも通用する。漫画作品に国境はないということだ。

 台湾の代表が「乳製品のラベルを写真に替えて漫画にすると売り上げが伸びた」と話したことはヒントになる。韓国の代表は「富川市は漫画家の住む街として発展を遂げた」と紹介し、「まんが王国とっとり」の将来に夢を膨らませてくれた。

 台湾代表のヒントに、サミット運営本部代表で漫画家の里中満智子さんは「(漫画の持つ)大きな効果をあらためて考えさせられた」と発言していた。

 しかし残念ながら「漫画の可能性を探る」ための深い議論がされることがなく、問題提起に終わってしまった。それなら「まんが王国とっとり」が、このテーマをもっと深く掘り下げてもいいのではないか。

 漫画は、表現したい対象の特徴をデフォルメして簡単で分かりやすく提示してくれる。その特性を利用して、地域の観光地や特産品などをキャラクターで表現し、PRなどに活用できないか。

 そういう漫画の可能性を探る方法は、地域活性化に効果を発揮すると同時に、国境を越えて鳥取を世界へアピールすることにも役立つはずだ。

 鳥取県が、国際まんが博が残した成果を編成作業中の2013年度一般会計当初予算案にどう生かすか、注目したい。

('12/11/24 無断転載禁止)

関連記事

powered by weblio


ロード中 関連記事を取得中...

購読のご案内
HOME | 山陰ニュース | 全国・世界ニュース | スポーツ | コラム | 特集 | 写真 | 催し | 遊ぶ | 買物 | 生活 | 健康・医療 | 学ぶ・働く | △上に戻る
本サイト内の記事・写真・イラスト等の無断掲載・転用を禁じます。すべての著作権は山陰中央新報社に帰属します。
Copyright(C)2000 The San-in Chuo Shimpo All Rights Reserved.
  
47NEWS 参加社一覧
北海道新聞  | 室蘭民報  | 河北新報  | 東奥日報  | デーリー東北  | 秋田魁新報  | 山形新聞  | 岩手日報  | 福島民報  | 福島民友新聞  | 産業経済新聞  | 日本経済新聞  | ジャパンタイムズ  | 下野新聞  | 茨城新聞  | 上毛新聞  | 千葉日報  | 神奈川新聞  | 埼玉新聞  | 山梨日日新聞  | 信濃毎日新聞  | 新潟日報  | 中日新聞  | 中部経済新聞  | 伊勢新聞  | 静岡新聞  | 岐阜新聞  | 北日本新聞  | 北國新聞  | 福井新聞  | 京都新聞  | 神戸新聞  | 奈良新聞  | 紀伊民報  | 山陽新聞  | 中国新聞  | 日本海新聞  | 山口新聞  | 山陰中央新報  | 四国新聞  | 愛媛新聞  | 徳島新聞  | 高知新聞  | 西日本新聞  | 大分合同新聞  | 宮崎日日新聞  | 長崎新聞  | 佐賀新聞  | 熊本日日新聞  | 南日本新聞  | 沖縄タイムス  | 琉球新報  | 共同通信