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【コラム 私は見た!】

苦しみの中から新しい希望を見い出そう

2012年11月26日

 昔から江戸の下町や千葉の漁師町など、独特の通用圏がある社会で「人(にん)ではない」という言葉が通用する場所があった。今はどうなのだろう。方言や地方色が色濃く反映されている言葉がどんどんなくなっていることを考えると、「人」が現在も有効な社会をもっているとは思えない。

 言葉が仮に力があるものとすれば、その意味はある社会層、年齢などに使われているはずだ。それに相当するものとして、日馬富士は白鵬の相手として適当かどうかといわれた場合、「とんでもない」という返事が返ってくると思う。そんな相手に過剰な期待を寄せたのは、愚かな考えであったと言わざるを得ない。日馬富士は惨たる成績に引き込まれて、そこからはい上がるにはひどく苦しむことになるだろう。

 厳しい批判になるようだが、現在の大関陣にも同様なことが言える。先日『新しき波の始まり』と書いたが、それは力士たちの自覚を促すことであって、楽な道を思っても、それはないのだと考えざるをえない。むしろ、こうした苦しみの中から新しい道を見つけ出すしかないだろう。

 ひとつの希望として、客足が元気な方向に向かっていると思える。そこからさらに、希望を膨らます要素を見つけ出すべきだろう。 (作家)

     ◇    

 高橋治先生の「私は見た!」は今場所で終了いたします。長い間のご愛読ありがとうございました。

 

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