政党を問う:衆院選(その1) 「橋下流は大都市有利」 戸惑う地方自治体
2012年11月26日
◇「中央集権打破」維新VS過疎地
「自民党の公約は業界団体の要望が並んでいる。民主党はいろいろ言っているが机上の空論。経済を成長させるのは政治家の役割じゃない。みなさんに切磋琢磨(せっさたくま)してもらわないといけない」
日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長は25日、衆院選に向けた高知市内の街頭演説で、数百人の聴衆を前に、自由競争と既得権打破による日本再生を訴えた。
その維新が、政策の中核に据えるのが「中央集権打破」「統治機構改革」だ。東京都の石原慎太郎前知事らが率いる太陽の党と合流した際の基本政策でも、「地方交付税の廃止」と「消費税の地方税化」による「中央集権体制の打破」を最初の柱に掲げた。
全国的に一定の行政サービスを提供するため、消費税などの一部を原資とする地方交付税が、国から財政力の弱い自治体に配分される現行制度は、地方の自立を縛る、配分基準が複雑で不透明、など問題点が指摘される。
これを見直し、消費税の全額を地方の自主財源にして自立した道州制を目指すのが、橋下氏の主張だ。しかし、地方交付税に頼る自治体には懸念がある。
人口10万人弱で過疎化が進む秋田県横手市。今月7日に政党設立あいさつにやってきた維新の小熊慎司参院議員らを迎えた鈴木信好副市長は、こうクギを刺した。「橋下さんが言っているのは大都市の意見で、中小都市、農村はほとんど頭にないようにみえる。税源移譲と言っても、税収は上がらない。地方交付税や財政調整機能はしっかりやってもらいたい」。維新側は「税収格差を調整する制度は設ける」と説明したが、鈴木氏の疑念は払拭(ふっしょく)されない。
鈴木氏は取材にこう語る。「今の仕組みを変えなければとの思いは共感するけれども、大都市が有利な変え方にみえる」
大阪都構想法案の策定作業などで橋下氏とやり取りした経験のある民主党の逢坂誠二元総務政務官(元北海道ニセコ町長)は、「橋下氏には新自由主義的な発想で税収を上げられる自治体は上げればいいという考えと、もう一つは現行の地方交付税制度がどんなに頑張って税収を増やしてもメリットがなく、地域差が出ないことへのジレンマがあるのではないか」と話す。