米戦闘機の機体に採用される炭素繊維は、ミサイルやロケットの複合材に使われる恐れもあるとして、外為法で輸出が厳しく規制されている。東レによると、このベンチャー企業は実際に炭素繊維を使用するとした工場を準備する周到さ。サンプルを渡した後に社員が行くと、跡形もなくなっていたという。
田中副社長は「フェイクの工場は水素発生装置も準備され、よほど仕組まれていたようだ。これほど巧妙に偽装されると今後も危ないかもしれない」と打ち明ける。
日本企業で語学講師を装い情報盗む
約10年前、中国による日本の先端技術情報の流出工作を取材したことがある。兵庫県警が別容疑で逮捕した中国人の関係先を家宅捜索したところ、中国の政府系企業にファクス送信された中国語のメモを押収、半導体の生産時に排出される廃液の処理薬品を売り込む内容で、「この種の薬品は税関に申告すると面倒なことになるため、実物を手荷物として持ち込む」と書き込まれていたという。