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2012-11-10

[][]「慰安所」は強姦を防止した人道的な制度? 「慰安所」は強姦を防止した人道的な制度?を含むブックマーク 「慰安所」は強姦を防止した人道的な制度?のブックマークコメント

あるブログ従軍慰安婦についてこんな主張がされていた。

慰安所を設置していたのは戦場で兵士が現地の女性を強姦することがないようにするためのいわば人道的な制度です。


Blog「真実が知りたい、真実を知って欲しい」http://nomorepropaganda.blog39.fc2.com/blog-entry-63.html

ここまで歴史オンチで全肯定的ではないにしても、軍慰安所を強姦防止に役に立ったと「必要悪」として容認したり、正当化する言説はこれまで何度も見たことがあるので、こうした見方の誤りを批判しておきたい。


そもそもなぜ日本軍慰安所」は設置されたのか?


慰安所」はなぜ設置されたのか。その目的の1つに強姦防止があげられてきたのは周知のことである。よく知られている北支那方面軍参謀長岡部直三郎の1938年6月27日「通牒」ほか、当時の軍関係資料にもそれは示されている。これら公表された資料に見られるように、日本軍による強姦防止という目的は、女性の人権保護という普遍的な価値観にもとづくものではなく、反日感情の醸成を防ぎ、かつ兵士を性病から守るという、軍の作戦遂行のためであった。


『黄土の村の性暴力−大娘たちの戦争は終わらない』創土社 、2004年、p241より

第二部:論文山西省日本軍慰安所」と盂県の性暴力」石田米子・内田知行


引用で言及されている1938年6月27日の北支那方面軍参謀長岡部直三郎の「通牒」とは有名な文書で「軍人軍隊の対住民行為に関する注意の件」という通牒のことである。そのなかでは指揮下の数十万の各部隊に慰安所設置を次のように指示している。

「……諸情報によるに斯の如き強烈なる反日意識を激成せしめし一原因は各所に於ける日本軍人の強姦事件が全般に伝播し実に想像外の深刻なる反日感情を醸成せるに在りと謂う……古来軍隊の略奪強姦行為に対する反抗熾烈なるが特に強姦に対しては各地の住民一斉に立ち死を以て報復するを常としあり……従て各地に頻発する強姦は単なる刑法上の害悪に留らず治安を害し軍全般の作戦行動を阻害し累を国家に及ぼす……右の如く軍人個人の行為を厳重取締ると共に一面成るべく速に性的慰安の設備を整え設備の無きため不本意乍ら禁を侵す者無からしむを緊要とす」


政府調査「従軍慰安婦」関係文書資料』第二巻

歩兵第9旅団中日誌「軍人軍隊の対住民行為に関する注意の件」

PDFページ番号23〜26/349

http://www.awf.or.jp/pdf/0051_2.pdf


もう少し補足しておくと、日本軍の「慰安所」が一気に大量設置されるようになるのは1937年末頃からである。主な理由のひとつは上記で指摘されてるように、1937年7月に日中戦争が開始され皇軍将兵が大量に動員されたことで強姦が多発し軍の占領政策に支障をきたすと判断したためである。


慰安所」が設置され現地の女性への強姦は減ったのか?


1939年中国から帰国した精神科医陸軍の軍医だった早尾乕雄中尉は軍医部と軍法務部から依頼され『戦場に於ける特殊現象と其対策』(1939年6月)という報告論文をまとめ提出している。

そのなかの「私欲と強姦」という項目には次のように書かれ、慰安所設置が強姦防止に役に立っていなかったことが示されている。

『戦場に於ける特殊現象と其対策』1939年6月

「出征者に対して性欲を長く抑制せしめることは、自然に支那婦人に対して暴行することとなろうと、兵站は気をきかせ中支にも早速に慰安所を開設した。その主要なる目的は性の満足により将兵の気分を和らげ、皇軍の威厳を傷つける強姦を防ぐのにあった。……それでも地方的には強姦の数は相当にあり、亦(また)前線にも是(これ)を多く見る。……内地では到底許されぬことが、敵の女だから自由になるという考えが非常に働いているために、支那娘を見たら憑(つ)かれたようにひきつけられて行く。従って検挙された者こそ不幸なんで、陰にはどれ程あるか解らぬと思う。……部隊長は兵の元気をつくるに却(かえ)って必要とし、見て知らぬ振りに過ごしたのさえあった位である。……日本の軍人は何故に此の様に性欲の上に理性が保てないかと、私は大陸上陸と共に、直ちに痛嘆し、戦場生活1ヶ年を通じて終始痛感した。然(しか)し、軍当局は敢(あえ)て是を不思議とせず、更に此の方面に対する訓戒は耳にしたことがない。……軍当局は軍人の性欲は抑える事は不可能だとして、支那婦人を強姦せぬ様にと慰安所を設けた。然し、強姦は甚だ旺(さか)んに行われて、支那良民は日本軍人を見れば必ず是を怖れた。 将校は率先して慰安所へ行き、兵にも是をすすめ、慰安所は公用と定められた。心ある兵は慰安所の内容を知って、軍当局を冷笑して居った位である。然るに、慰安所へ行けぬ位の兵は気違いだと罵(ののし)った将校もあった。」


吉見義明従軍慰安婦岩波新書、1995年、p45.46より


さらに歴史学者の吉見教授は慰安婦制度の問題点をこう指摘している。

慰安婦制度とは、特定の女性を犠牲にするという性暴力公認のシステムであり、女性の人権をふみにじるものである。一方で性暴力を公認しておきながら、他方で強姦を防止するということは不可能であり、当然ながら、強姦事件を防止する本質的解決に結びつくはずもなかった。


吉見義明従軍慰安婦岩波新書、1995年、p44より

そして次の指摘も鋭いだろう。

慰安所」と強姦とは単に、「兵士の性欲処理」のために相互に補完し合ったというものではない。軍紀によっても抑止できない強姦があるから「慰安所」ができるのであり、「慰安所」があることによってさまざまなかたちの強姦が蔓延するという関係にあった、と見るべきであろう。


『黄土の村の性暴力−大娘たちの戦争は終わらない』創土社 、2004年、p263より

第二部:論文山西省日本軍慰安所」と盂県の性暴力」石田米子・内田知行より


参考文献


 

保守右派さん保守右派さん 2012/11/11 07:09  日本版ポリティカルコンパスドラ3で保守右派に分類された人です。1.8 2.78だったかな?中央に近い偏り少なめな人みたいですね。どうもはじめまして。こちらを色々拝見して、結構楽しんでおりました。
 ただ、正直、吉見氏のことを盲信しすぎているんじゃないか、と感じるところが多かったです。ほかの論客も参照したほうが良いのではないかと思います。秦郁彦氏は、吉見氏の多角的でない分析と比較するには、大変良いかと思います。秦氏は入念な調査を行なって書くので、慰安婦には否定的です。それがもとで慰安婦がないと困る方々からは、見向きもされていません。しかし、けっして盲目的な愛国者といったわけなく、調査の末に駄目とわかったことについては、とことん追求する方です。実際南京については、慰安婦同様おそらく日本国内でももっとも入念な調査の末、肯定していらっしゃいます。
 私は、吉見氏については、毒ガス研究において、あまりに感情的で邪推レベルの曲解が酷すぎる為、この人は結論が先にあって、考察はその後につくタイプだと見做しました。以来、話半分と受け取ることにして、対立意見をみるまではけっして真に受けないようにしています。

 では、戦場に於ける特殊現象と其対策をどのように歪めているのか、一例を。

 出征者に対して性欲を長く抑制せしめることは、自然に支那婦人に対して暴行することとなろうと兵站は気をきかせ、中支にも早速に慰安所を開設した。其の主要なる目的は、性の満足により将兵の気分を和らげ、皇軍の威厳を傷つける強姦を防ぐのにあった。
 慰安所の急設は確かに其の目的の一部は達せられた。然しあの多数の将兵に対して慰安所の女の数は問題にならぬ。上海や南京などには慰安所以外にその道は開けてるから、慰安所の不足した地方へ、或いは、前線へと送り出されるのであったが、それでも地方的には強姦の数は相当にあり亦前線にも是を多く見る。
 是は尚、女の供給の不足していることに因るは勿論のことだが、やはり留学生が西洋女に興味持つと同様で、支那女という所に好奇心が湧くと共に、内地では到底許されぬ事が敵の女だから自由になるという考が非常に働いているために、支那娘を見たら憑かれたように引きつけられていく。
 従って検挙された者こそ不幸なんで、蔭にはどれ位あるか解らぬと思う。憲兵の活躍のなかった頃で而も支那兵により荒らされず、殆ど抵抗もなく日本兵の通過にまかせた市町村あたりは支那人も逃げずに多く居たから相当に被害があったという。
しかのみならず部隊長は兵の元気を作るに却って必要とし、見て見ぬ振りに過ごしたのさえあった位である。
 然るが故に支那土民は日本兵を見ると娘は何処かへ隠されてしまう。上海に残留した日本人は支那人、西洋人の前に日本の軍人は非常に礼節を重んずるから支那婦人を冒すなんて事は断じてないと予め吹聴したものだった。然るに事実は是に相違したので支那良民の日本兵を怖るること甚だしく若い女は悉く隠されて影もない様になったと言われる。
 然るに一方南京の避難民区からは糊口の道を得るために昔の夜鷹の如くに若き支那婦人が枕になるもの下敷になるものだけを携えて昼夜兵の宿舎に現れる様になったので風儀を紊された事もあった。こうなると憲兵の方も強姦か和姦かの区別を考えねばならなくなりもし其の場所に敷物代用品があったり支那婦人が日本貨幣を持っていた事実が認めれれたら和姦として取り扱って見る様になり強姦の数は実際よりは少なくなったと言う。
 敵国人という感の働くために無償にて行い要求された時に是を追い払ったりする為に自治委員会からの告訴に会って恥をかく例も少なくないのである。勝利者なるが故に金銀財宝の略奪は言うに及ばず敵国婦女の身体まで汚すとは誠に文明人の為すべき行為とは考えられない。
 東洋の礼節の国を誇る国民として慚愧にたえぬ事である。

 全て読んでいただければお分かりになる通り、ここに記されているのは、当時の混乱です。強姦があったり、望んで抱かれに来る女性も居たり。強姦を取り締まろうとしても、一部しか検挙出来ない程度に手が足りなかったり。慰安所に女が足りなかったり。
 都合の悪い部分をカットしたせいで、まったく効果がなかったと読めるように誘導されていただけです。吉見氏は本の収入がメインなので、時にセンセーショナルな文をもとめてこうしたことを頻繁に行います。
 「慰安所の急設は確かに其の目的の一部は達せられた」や「女の供給の不足していることに因るは勿論のこと」のあたりには、慰安所の女性の数が足りなかったことが一因であることがはっきりと記されています。
 また支那兵によって荒らされず、という部分も重要です。中国で有名な戦術の中には、焦土戦術があります。紀元前に生み出された後、中世まで時々行われました。みすみす敵に渡すくらいなら、焼いてしまえというあれです。
 そこまで大仰なことはやらなくとも、中国では他にもいろいろ手立てがあります。自領の民間人を、武力で脅し退去させ、残された施設だけを徴発して篭ることはよくあることです。日本の戦国時代にもありました。しかし、あえて、退去を許さぬまま市街地に篭り。敵に民間人と軍人を区別つかなくして、敵の戦闘効率を下げるということを多用しているのは中国位なものです。戦場では一瞬の判断が命取りというのは、何も銃が登場してからだけのことではありません。こうすれば、民間人の誤殺を誘発でき、戦闘に負けた後、占領地の民心を低下させる事も可能です。負けたら通りすがりの村や街を襲い、略奪をして、続く敵勢の兵站に負荷を与えるということも積極的に行います。
 こうした戦術は、残りの自領を守るために、敵の兵站に負荷を与えるために行われます。実際、不穏な空気がたちこめる都市などを占領したら、そこの維持に手間がかかり、進軍は鈍ります。こうした遅滞は貴重な時間を稼げるわけです。
 中国がこうしたことをやらないと思いますか?私は思いません。現代においても虐殺を行なっている証拠が、ネット上にあふれている国です。近代でも自国民の虐殺もした程ですから、もっと情報通信技術が低い時代にはさらに酷かったであろうと考えています。

 私は秦氏の著作のほうが、中世の戦術等に、吉見氏よりもはるかに詳しい分、信ぴょう性があると思っています。その足までもしっかりと使い、単なる引用ばかりでおわらせるのではなく、聞き取り調査も吉見氏が遠く及ばないほどの多人数を行なっている方です。彼の著作にこそ、嗅ぎとるべき何かがあると思います。

 尚、私は慰安婦については、軍の強制性は否定派ですが、一部軍人の暴走などにより強制された事案は確実にあっただろうと考えている派です。秦氏の考えに同調している派ですね。また慰安婦の効果はあったと考えています。

 現地の兵のメンタルを目の当たりにした早尾氏が、効果があったと記されているわけです。しかも、現地にいた専門家です。記述を故意とも取れる形でカットする歴史家よりは、信用がおけます。

 *投稿失敗したようなので再投稿。重複してたらすみません。

dj19dj19 2012/11/11 14:34

>保守右派さん

>まったく効果がなかったと読めるように誘導されていただけです。
>早尾氏が、効果があったと記されているわけです。
> 「慰安所の急設は確かに其の目的の一部は達せられた」や「女の供給の不足していることに因るは勿論のこと」のあたりには、慰安所の女性の数が足りなかったことが一因であることがはっきりと記されています。

そうでしょうか。たしかに前半に「慰安所の急設は確かに其の目的の一部は達せられた。」と書かれていますが、その後に「上海や南京などには慰安所以外にその道は開けてるから、慰安所の不足した地方へ、或いは、前線へと送り出されるのであったが、それでも地方的には強姦の数は相当にあり亦前線にも是を多く見る。」と書かれています。

これは、慰安所が急設された上海や南京などでは強姦防止の目的の一部は達せられたように見えたが、そこにいた日本軍将兵が前線へ送られると、そこでは強姦が多く見られるということです。

つまり、慰安所設置が強姦防止に役に立っていなかったということです。

これは吉見教授が書いているように「一方で性暴力を公認しておきながら、他方で強姦を防止するということは不可能であり、当然ながら、強姦事件を防止する本質的解決に結びつくはずもなかった。」ということでしょう。

そしてさらに後半部分で「軍当局は軍人の性欲は抑える事は不可能だとして、支那婦人を強姦せぬ様にと慰安所を設けた。然し、強姦は甚だ旺(さか)んに行われて、支那良民は日本軍人を見れば必ず是を怖れた。」とも書かれていますので、この報告論文を、慰安所の急設は「効果があったと」紹介してしまうのはミスリードだと思われます。

また、「女の供給の不足」についても、足りないからもっと増やすべきだとは書かれておらず、早尾軍医の問題意識は後半部分の「日本の軍人は何故に此の様に性欲の上に理性が保てないかと、私は大陸上陸と共に、直ちに痛嘆し、戦場生活1ヶ年を通じて終始痛感した」や「心ある兵は慰安所の内容を知って、軍当局を冷笑して居った位である。」という部分に強く出ているのではないでしょうか。

保守右派さんは「都合の悪い部分をカット」して「歪めている」と言われますが、200ページ前後の岩波新書サイズに引用する資料の全文を掲載するのはそもそも無理な話であり、私にはとくに「都合の悪い部分をカット」しているようには思えませんでしたけど。

それと秦郁彦氏については一定の評価をできる分野の研究もありますが、慰安婦問題の分野に関しては相当にずさんな資料解釈をしている人だと理解しています。(秦氏の「慰安婦と戦場の性」は以前に購入済みです。)

一応紹介しておきます。
秦郁彦『慰安婦と戦場の性』批判
http://www.geocities.jp/hhhirofumi/paper44.htm
他にもコチラなどで秦郁彦氏への批判がされています。
http://d.hatena.ne.jp/Stiffmuscle/20070730/p2
http://d.hatena.ne.jp/Stiffmuscle/20070717/p1

保守右派さん保守右派さん 2012/11/11 16:46  丁寧な御回答有難うございます。真剣に検証をなさっているように見受けられたのでコメントを書いてみたら、とても為になりました。ただ、やはりお互い相容れない部分があるように思えます。

 慰安所があった中央近辺では、効果があったと書いるのも早尾氏です。そこを軽視するわけにはいかないと思うのです。地方(前線)には慰安所がなかったというのは、資料からも明らかです。まあ前線に後方向きの慰安施設なんて立てる馬鹿な軍隊はありえませんが。さておき、効果がなかったのは、早尾氏の言う、女の数が足りなかったという点にあると思うのです。
 更に言えば、早尾氏は、他国の軍に従軍経験はないのですから、日本の軍人は何故に此の様にという件も真に受けすぎるのは禁物と思われます。
 他国の、といえば、ライタイハンなどは、その数からみても、受精に至る確率を係数としてかけるだに、ベトナムにおいて韓国軍による、十万件規模以上の強姦が行われたことが明白です。しかし、日系中国人というのは然程数もおらず、ベトナムに派兵された韓国軍の数と、日中戦争時の日本の派兵数をみれば、やはり驚くほど少なかったようにも思うのですよ。もっとも、中国は基本漢民族の単一民族国家というスタンスですから、単に勘定してくれないだけかもしれないので、結局仮説の域を出ずに大弱りなのですが。
 まあ、こういった考えもあるので、やはり慰安所を完全に無意味と否定するのには、私はまだ至りません。

 秦氏についての指摘は、なんとなく理解ができます。しかし、ずさんというよりも、入念な聞き取りを中心に行うので、証言が二転三転して一定せず、といったものをそぎ落としている印象があります。学術的に信憑性があるとみなしたもののみ資料とするには、聞き取りは重要ではないでしょうか。とくに彼は実体験談の多くを、整合性なしとして資料としていませんが、こうして採用しなかったものは、被害者のみならず、その周辺において強制連行の目撃があったかを調査で行なっていらっしゃいます。一方吉見氏は強制連行の目撃者をまるで用意できていないのですよね。このあたりが私が吉見氏を疑いの眼差しで見る理由です。

 っと前置きはここまでにして、実は私はdj19様となら、これからの戦時に、強姦事件が起こらない予防策を話し合えないかということを期待してここにきました。過去の事をいくら検証していても、正直不毛極まりなく。携帯などの情報ツールが充実した今と当時とでは、まるで違うので、私の本来の現代の戦争犯罪の低減のための研究には、最早役に立たないものでして。話をガラっと変えて申し訳ないのですが、よろしかったらお付き合い願えませんか?

 イラクにおけるアメリカ軍の蛮行は、やはり携帯型のカメラなどの普及によって白日の元にさらけ出される事となりました。ただ、アメリカ軍はあれでも、戦闘薬物などで、ストレスをできるだけ兵士にかけないだけの取り組みをしています。それでもやはり出てきてしまいます。
 将来の戦時強姦の根絶を企図した場合、何が必要かと思われますか?
 私は、軍人による強姦犯罪を一律、強姦が成立した時点で、即刻略式軍事法廷でもって死刑にし、即日処断。情状酌量はなしとして、信賞必罰を徹し、多少非人道的なれども、こうするより他に、軍人、軍属による強姦や、略奪の低減を効果的に行う手はないと考えています。これは、早尾氏の「戦場神経症竝に犯罪について」や孫氏にならった考えです。
 違う意見をなさる方の意見を、今後の修学の上での参考としたいので、是非御知恵を拝借できれば。よろしくお願いいたします。

dj19dj19 2012/11/12 20:50
保守右派さん

そもそも強姦を含む性暴力は表に出にくいという大きな壁が存在する問題です。当時は強姦致死で処罰の対象とされ強姦だけでは処罰の対象にもなりませんでした。そして現在でも日本では性暴力の訴えは親告罪です。

そうしたことを念頭に以下述べていきますが。

>ベトナムにおいて韓国軍による、十万件規模以上の強姦が行われたことが明白です。しかし、日系中国人というのは然程数もおらず

まずこうした認識が疑問ですし安易に表に出た数字だけで比較できないと思います。ライタイハンについて私は詳しく調べたことはないし「明白」とする根拠も知りませんが、そのライタイハンが問題化され表に出たのはおそらく事件から数十年の時を経て90年代前後の女性の人権意識が高まった時期ではないかと思います。

一方、当時の日本の軍人の強姦についてはまともな調査らしい調査がされてこなかったのが現状で、日本人が現地に入り聞き取り調査を開始したのもずっと後のことになります。

このエントリで紹介している『黄土の村の性暴力−大娘たちの戦争は終わらない』(創土社 、2004年)は、50年近く前に起きた日本軍人による性暴力の被害者証言(口述資料)を丁寧に聞き取ったもので、口述資料と、どう向き合い扱えばいいかなど考えを深めさせてくれる良書だと思いますのでおすすめします。

ここで初めて証言されている女性たちは、戦後、50年近く敵である軍人の子を産んだ村・共同体の恥とされ、被害にあった事実すら声に出来ないままずっと沈黙してきた女性たちです。

もっとも、保守右派さんのような方だと読み進めるのは難しいかもしれません。

性暴力と軍隊の関係でしたら、ここでコメントするより、その分野の学術論文なり論文集、研究書など書籍化されたものを読まれるのが一番いい勉強になると思いますよ。

また、秦郁彦氏の慰安婦に関する言及で問題があるのは、被害者女性の証言を丁寧に見ること無く、そうやって「証言が二転三転して一定せず、といったものをそぎ落としてい」く雑な切り捨てが目立つからであり、じつは証言の一部に矛盾があっても何度も聞き取り調査を行なうことで問題のほとんどはクリアーできることだったりします。もちろん相当に大変な作業になりますが。

そして秦氏の聞き取りの手法の問題でいえば、恥になるようなことは外に出さない傾向の強い保守的な戦友会を通じ元将兵を探し出し、強姦などの被害を名乗りでた慰安婦のことを聞けば、そりゃ否定するだろなと思います。

秦氏のような被害側の証言を軽視あるいは無視し、加害側だけの証言や史料だけを重視して結論を導くなら実態は見えてこないと考えます。

それと、吉見教授は強制連行に誘拐拉致も含むと定義されており、誘拐され慰安所に連れて来られた慰安婦を目撃した日本軍将兵の手記ならいくつもあります。

そして強制連行を否定する秦氏もじつは著書「慰安婦と戦場の性」を注意深く読むと暴力的な連行を強制連行の定義に含めて書いていたりします。こうした日本軍・官憲による強制連行(暴力的な連行)なら白馬事件などがあります。

D_AmonD_Amon 2012/11/13 10:00 >他国の、といえば、ライタイハンなどは、その数からみても、受精に至る確率を係数としてかけるだに、ベトナムにおいて韓国軍による、十万件規模以上の強姦が行われたことが明白です。

保守右派さんはライタイハンの誕生と性暴力の因果関係についてどのような資料に依拠されているのでしょうか。
是非、示してください。
確かにベトナムにはベトナム戦争時代の米韓軍との混血児であるライミーやライタイハンがいますし、ベトナム戦争において米韓軍が強姦を含む数々の戦争犯罪を行ったのも事実です。
しかし、私が読んだ近代史関連の本ではそれら混血児は米韓軍が南ベトナムを撤退するときに置き去りにした現地妻との子としています。
http://www.asian-nation.org/amerasians.shtml
によると1989年に履行されたアメラジアン(この場合はベトナム戦争におけるアメリカ人とベトナム人の混血児)帰還法により25000人のベトナム系アメラジアンがアメリカに渡っています。
あなたはそういうベトナム系アメラジアンを強姦の結果だと思うのでしょうか。
オハイオ州立大学の調査によるとベトナム系アメラジアンの人数は77000人に達しますが、あなたの計算ではどのくらいの数の米軍による強姦が行われたことになるのでしょうか。
そして、それを考えた上でご自分の主張を現実的と思うのでしょうか。
それらの混血児は置き去りにされた現地妻との子という記述は、強姦による子の存在を否定するものではありませんが、あなたは自説の根拠として少なくともどのくらいの数の混血児が強姦による子なのかを示す資料を示さねばなりません。

ei-jiei-ji 2012/11/13 17:41 >ベトナムにおいて韓国軍による、十万件規模以上の強姦が行われたことが明白です
自分たちが責められる場合は広義あの狭義だの振り回して疑わしいと言うのが大好きなのに
いざ責める場合は嬉々として「明白」と断言できるのが中央に近い偏り少なめな人なのか。
ほかにもいろいろ興味深い部分があるけれども。

ApemanApeman 2012/11/14 09:40 >自分たちが責められる場合は広義あの狭義だの振り回して疑わしいと言うのが大好きなのに
>いざ責める場合は嬉々として「明白」と断言できる

これ、歴史修正主義者の得意技ですよね。

rawan60rawan60 2012/11/14 14:46 「女性を強姦することがないようにするためのいわば人道的な制度です。」

こんなことを言う人には、ぜひ自分の妻や姉妹や娘を「女性を強姦することがないよう」に寄与しているらしい人身売買ネットワークに差し出して貢献してもらいたいものです。

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