法務局不手際:国籍不正取得者の戸籍、3年間抹消せず放置

毎日新聞 2012年11月22日 02時35分

 中国残留孤児の息子だと偽って日本国籍を不正に取得したとして有罪判決が確定した大阪府枚方市内の男(52)の戸籍が約3年間、抹消されずに放置されていたことが、捜査関係者への取材で分かった。男が先月、執行猶予中に別の事件で大阪府警に逮捕され、日本国籍のまま国内にとどまっていたことが判明した。大阪法務局などは「重大な問題と認識している。申し訳ない」と謝罪し、法務省は早期の抹消を指示した。

 捜査関係者などによると、男は日本国籍を持つ女性と中国で結婚した。90年に来日後、国籍ブローカーの女から、中国で死亡して宮城県大崎市(旧松山町)に本籍が置かれたままの残留孤児の男性の戸籍を紹介され、04年4月、この男性の長男だとする虚偽の書類を枚方市に提出し、約2カ月後に日本国籍を取得した。

 府警は09年3月、国籍を不正取得した電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で男を逮捕し、同10月に懲役2年(執行猶予4年)の大阪高裁判決が確定した。大阪高検は大崎市や、その後に本籍が移された枚方市に戸籍の抹消を求め、両市は仙台、大阪両法務局の指示を待っていたという。

 法務省によると、国籍を不正取得した場合、検察庁が関係自治体に戸籍の抹消を求め、法務局の指示を受けた自治体が対処する決まりだ。不正取得で戸籍を抹消されれば、原則として国外退去処分になる。しかし、約3年たっても男の戸籍は抹消されず、執行猶予中の先月、無許可で廃棄物処理業を営んだとして再び逮捕されたことから問題が発覚した。

 男には日本国籍を持つ子がおり、仙台法務局の奈良康憲・戸籍課係長は取材に「子供などの身分関係に重大な影響を及ぼすので、検討に時間がかかっていた」と釈明した。大阪法務局の菅原操・戸籍課長は「仙台法務局や自治体と協議し、速やかに対処したい」と話した。大崎、枚方両市は「個別の案件は答えられない」としている。【近藤大介】

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