「戻らない」45.6% 大熊町民、避難指示解除後 復興庁調査
復興庁は6日、東京電力福島第一原発事故に伴い警戒区域に指定されている大熊町の住民意向調査結果を公表した。避難指示解除後の町への帰還について、回答した世帯の45・6%が「現時点で戻らないと決めている」と答えた。町外コミュニティー(仮の町)での居住については「現時点で判断できない」とする答えが50・8%と半数を占めた。
調査結果の公表は葛尾村に次いで2番目で、仮の町構想を掲げる町としては初めて。調査は復興庁と県、町が共同で9月7日から24日まで、全5378世帯に郵送によるアンケート方式で実施。回答率は63・7%だった。
帰還について「戻りたい」は11・0%、「まだ判断がつかない」は41・9%だった。「戻らない」と答えた人を年代別で比較すると、10~30代は過半数の54・7%、60代以上は38・9%で、若い世代ほど帰還への意思が低い傾向がみられた。「戻らない理由」(複数回答)は「放射線量への不安」が最も多く、「原発の安全性への不安」「家が汚損、劣化し住めない」が続いた。
仮の町については「居住する」が22・8%、「居住しない」が24・2%とほぼ同じ。復興庁は、半数が「判断できない」とした理由を「仮の町の協議が始まったばかりで、判断に迷うのではないか」と分析した。
仮の町に「居住する」と答えた人のうち、望ましいコミュニティー単位としては「町単位」との回答が39・5%と最多で、「行政区単位」が37・7%、「世帯単位」が14・7%だった。居住先の住民構成では「大熊町民だけの移転が望ましい」が55・0%と最も多く、「他の町村との移転が望ましい」が5・8%、「どちらでもよい」が36・3%だった。
避難期間中の希望する居住形態では「災害公営住宅」は18・9%で、「持ち家」を望む人が54・2%に上った。避難期間中の生活場所として「現在の市町村外に引っ越したい」人は19・9%で、そのうち「いわき市」を選んだ人が60・7%だった。
住民意向調査は避難区域が設定された12市町村が対象。
■町内にニュータウン整備も コミュニティー維持対応で 復興相見解
大熊町の住民意向調査結果で、4割以上が「戻らない」と回答したことについて、平野達男復興相は6日の閣議後会見で、コミュニティー維持や住宅の劣化問題への対応として、「(町内に)ニュータウン整備を考えた方が早いかもしれない」との見方を示した。
平野氏はまた、「4割の『不在地主』が発生することになる」とし、市街地整備など復興に向けた土地利用で問題が生じる恐れを指摘した。平野氏は「戻ってもらえる対策を最優先で進めるが、戻らないという人も相当おり、新しい生活への支援に努める必要がある」と語った。
渡辺利綱町長は、帰還を望まない人が半数近いことについて「より多くの町民に帰還してもらいたいが、除染や区域再編などスピード感を持たないと、さらに増えるのではないか」との懸念を示した。
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