飯舘26年3月で合意 避難指示解除前倒し
東京電力福島第一原発事故で全村避難する飯舘村の避難指示解除時期をめぐり、村と村議会は19日、福島市の村飯野出張所で政府原子力災害現地対策本部と協議し、1年半後の平成26年3月に村中央部などの16行政区を解除する方針で合意した。解除時期が決まったのは県内では初めて。
村によると、帰還困難区域の長泥行政区の解除時期は4年半後の29年3月、比較的放射線量の高い居住制限区域の比曽、前田八和木、蕨平の3行政区は3年半後の28年3月とした。除染が終わらない場合、解除時期は延長される。
当初、村と村議会は国直轄除染が遅れる可能性を考慮し、中央部など16行政区の解除時期を2年半後の27年3月にすることを申し合わせた。しかし政府は除染を計画通りに完了させることを主張したため、1年半後の解除に前倒しした。
解除時期が決まったことで村民の賠償額が確定し、生活再建への一助になると期待される。住宅や宅地の不動産は帰還困難区域の長泥行政区が全損となり、比曽行政区などの3行政区は6分の5、その他の16行政区は6分の3(半分)の割合で賠償される。精神的損害については、解除時期まで支払われる。
菅野典雄村長と現地対策本部の熊谷敬(たかし)副本部長は村飯野出張所で会見し合意内容を示した。国は平成25年度、1日当たり約4300人の作業員を投入し、予定通り生活環境周辺の除染を終えるとしている。
■農地や森林着実な除染課題
飯舘村の避難指示解除が村と国の合意通りに進むかは、今後の除染に懸かっている。
9月に始まった除染は、平成26年3月末までに生活環境周辺を終える予定だが、農地や森林除染は26年以降になる見通し。森林などの除染が進まないまま、生活環境の放射線量が低減するかは不透明だ。さらに、除染による廃棄物を保管する村内の仮置き場の収容量が足りないことが判明。環境省は仮置き場に搬入するまで一時保管する新たな廃棄物置き場の設置を各行政区に求めているが、難航しているという。
26年3月に解除見込みの村内大倉行政区の山下忠区長(63)は、解除時期が原発事故から4年後とした村の案より1年早まった点を警戒する。帰還には農地や森林の除染が不可欠と考えるためだ。「農地が汚染されたままで帰還宣言されても、生活できないのでは」と疑問を口にした。
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