'12/11/25
ゴランPKO撤収へ 現地治安が悪化
政府は、国連平和維持活動(PKO)の一環として、イスラエルとシリア国境ゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)に派遣している自衛隊部隊を、来年をめどに撤収する方向で検討に入った。政府関係者が25日明らかにした。1996年から約17年間と派遣が長期化しているのに加え、現地治安の悪化をきっかけに派遣見直し論が浮上していた。軍備増強が著しい中国をにらみ、海外への部隊派遣の負担を軽減し国内の防衛強化を図る狙いもある。
国際社会などから、日本が中東和平への関与に消極的だとの指摘が出る可能性も否定できない。野田佳彦首相はシリア情勢や来月の衆院選の結果を見極め最終判断する。年内に方針を決めても、部隊運用などの都合で実際の撤収は来年になる。
ゴラン高原では現在、陸上自衛隊の輸送隊44人と、UNDOFの司令部要員3人の計47人が活動中。ほぼ半年単位で、交代要員が派遣される。自衛隊による一地域のPKO活動としては最も長期間となっている。
UNDOFの活動地域では今年7月、シリア軍が反体制派攻撃のために非武装地帯に侵入、銃撃するなどして戦闘に発展したことが明らかになった。現地情勢に関し政府は、PKO協力法が定める参加5原則の「紛争当事者間の停戦合意」は維持されているとの立場だが、派遣の前提である「安全性の担保が崩れた」(防衛省筋)との見方もある。