資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴され、一・二審で無罪となった元民主党代表で「国民の生活が第一」代表の小沢一郎被告(70)について、検察官役の指定弁護士は19日、最高裁に上告する権利(上訴権)を放棄した。上告期限の26日を待たずに小沢代表の無罪が確定した。
2009年5月に改正検察審査会法が施行されて以降、検察審の起訴議決に基づき強制起訴された被告の無罪が確定したのは初めて。
小沢代表は同日夕に記者会見を開き「やましいことはないと言い続けてきたが、主張が裏付けられた。(無罪確定まで)本当に忍耐の毎日だった」と述べた。検察の捜査については「何らかの特定の思惑を持った人たちには、国民の裁きが下る」と語気を強めた。
今月12日の東京高裁判決は、石川知裕・前衆院議員(39)=同罪で一審有罪、控訴中=ら元秘書が作成した収支報告書の内容を虚偽と認めたうえで、記載内容について元秘書から代表が報告を受け了承していたことを認定した。
一方で、元秘書らの犯意の一部を否定。元秘書から代表への報告内容が不正確だった疑いにも触れ「代表が記載を適法だったと認識していた可能性を否定できない」として無罪を言い渡した。
判決を受け、指定弁護士の3人は14日と19日の2日間、上告の可否について協議。判決内容に刑事訴訟法が上告理由として定める憲法・判例違反や重大な事実誤認があるかを検討した。指定弁護士は判決後に「承服できない点もある」としていたが、協議の結果、上告理由を見いだせないと判断した。
指定弁護士は「長く(代表を)被告の地位にとどめておくべきでない」との考えから、19日午前、上訴権放棄の申立書を東京高裁に提出。同高裁が受理し、代表の無罪が確定した。
小沢一郎、石川知裕
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