［ライフ］【赤ペン記者つれづれ】桜井翔さんと澤穂希選手の意外な関係＋（2/2ページ）（2012.11.25 14:00）

旧陸軍が決めた？「沢」の字体

　「沢」と「澤」の表記について、「新しい常用漢字と人名用漢字」（安岡孝一著）で面白い話を見つけました。前述のように、当用漢字表で「沢」の字体が決まりましたが、それより６年前の同１５年に、旧陸軍が兵器に使える漢字を１２３５字に制限した「兵器名称用制限漢字表」を作成しました。兵器に難しい漢字が使われ、新兵が読み書きできないという問題を解消するための漢字表ですが、その中で「澤」が「沢」に変えられたというのです。つまり、「沢」は国民のための漢字というより、兵士のための漢字だった、というわけ。

３年後に「櫻」に変更

　ずいぶんと前ですが小学女児から問い合わせがありました。「（ジャニーズの）嵐の櫻井翔さんの名前を、なぜ桜井翔と違う漢字で書くのですか」という内容でした。もちろん「桜」「櫻」は「沢」「澤」と同じように新字体と旧字体の関係にあります。しかし、この女児は「櫻」と「桜」はまったく別の字だと理解、「間違いではないか」と指摘したのです。

　子供に対して新聞社側の論理や字体の歴史を説明しても分からないでしょう。「難しい字か簡単な字かの違いで、同じ字です」と回答しましたが、納得してもらえたかどうかは自信がありません。

　なお、桜井さんは平成１１年のデビューのときは「桜」を使っていましたが、１４年以降は本名の「櫻」を使っているようです。（杉）