12月4日公示の衆院選で社民党が候補者擁立を断念した長崎4区で、社民の地元支持母体の佐世保地区労は、民主党前職の宮島大典氏(49)の推薦方針を決めた。民主支持の連合長崎佐世保地域協議会、同盟友愛連絡会北部支部との労働3団体が、2009年の前回衆院選に続き「反自民」で足並みをそろえる見通しで、自民党陣営は警戒感を強める。社民陣営は、自らの候補者擁立断念が労組の結集を促す皮肉な結果に複雑な思いを募らせる。
「これまで社会的に弱い立場の皆さんに光を当ててきた。過去の自民政権には到底考えられなかった」
21日夜、佐世保市で開かれた労組関係団体の定期大会で、3団体の労組員らを前に来賓の宮島氏は、自民批判を前面に出して支持を要請。一方、直後に登壇した社民党佐世保総支部の三浦正明副代表は「連帯を大事にしたい。ただ3年間の動きをみると、どうしても(宮島氏を)推薦しきれなかった」と難しい立場をうかがわせた。
4区では05年の前々回衆院選で民主、社民の両候補が並び立ち、共倒れした経緯がある。前回は両党が宮島氏に候補を一本化し、選挙区で自民に勝利。しかし、10年に福島瑞穂党首の閣僚罷免を受け、社民が民主などとの連立政権を離脱して以降、地元両党勢力の連携も途絶えていた。
社民は4区で候補者擁立を目指していたが、「急な解散で態勢確立が不十分」として今月16日に断念し、選挙区は自主投票の方針。佐世保地区労は22日の拡大執行委員会で「選挙区は宮島氏、比例は社民」との方針を固めた。豊里敬治議長は「比例票を伸ばす上でも選挙区(の推薦)は必要。反自民でやらざるを得ない」と話す。
これに自民前職、北村誠吾氏(65)の陣営幹部は「社民が出てくれた方がよかった。一層引き締めないといけない」、宮島氏の陣営幹部は「大所に立って反自民で一致してもらった。心強い」と受け止める。社民市議の一人は「消費税問題などで民主とは相いれず、本来なら選挙区は白紙でやるべきだが、そうはできなかった」と言葉にジレンマをにじませた。
長崎4区にはほかに「国民の生活が第一」新人の末次精一氏(49)、共産新人の石川悟氏(60)が立候補を予定している。