沈黙の侵略 第1話 【はじまりの日】
皆様お待たせいたしました。
ようやくコードダークの最新シリーズの開幕です。
構想約半年、企画が動き出して3ヶ月程度。
参考までに見始めたはずの魔砲少女やスト魔女にドハマリし、
完成直前にキーボードがダメになるアクシデントを乗り越えつつ、
何とかここに開幕を迎えることが出来ました。
例のごとく、あちらこちらにネタが振ってあります。
大元の話が分かる人ならクスッと笑えるような・・・。
そして登場人物の多さに自分ですら頭が混乱しそうになるのですが、
まあ、何とかなるでしょう。
敢えて時間が進めてありますが、
今後時空が乱れて壁が取り払われてしまうことがあるかもしれません。
そのときは向こうの世界から来るゲストは、
歳をとっていないこともあるので要注意。
まあ、もう少し先の話ですがね・・・。
さあ、前置きが長くなりましたが、
まずは本編をどうぞー!
魔法と科学、二つが融合し始めた世界。
そんな世界に訪れた2つの悲劇、『ブラスネカの喪失』と『リンケインの落日』。
世界はこの日を境に、緊迫した空気に包まれた。
過去に例が無い、宇宙からの脅威。
その脅威に怯え慄きながら、対応策が練られることになる。
物理的な攻撃が通用しないことは、唯一の生存者の証言で裏付けられた。
魔法文化の定着が遅れていた合衆国において、魔法の有用性は確認されないままだった。
その合衆国は建国後初の滅亡の危機に瀕し、体制再建が優先されていた。
欧州では魔法と科学、両面での対応策が急ピッチで進められていた。
幻想国家や魔界では、防衛のための軍備増強が始められた。
そして神州・日本。
防衛計画の見直しが進む中、次代を担う少女たちが覚醒のときを迎えようとしていた。
「来る・・・」
ビルの屋上で1人の少女が空を見上げ呟いた、そんな春のある日・・・。
コードダークⅢ ~沈黙の侵略~
第1話 【はじまりの日】
「マスター!起きてください、マスター!マスターってば!!」
とある学生寮の一室で、小さな声が響く。
「ん、んんん・・・もう少し・・・。あと五分・・・。」
その声に答えたのは、布団に潜る1人の少女。
「ダメなのです!マスター!!起きてくださいなのです!!」
小さな声の主は、必死に少女を起こそうとしていた。
「・・・お願ぁい、もうちょっと・・・」
だが少女は寝返りを打ち、目を覚ます様子は無い。
「もぉおおおお!起きろ、ますたぁあああああ!!!」
直後飛んできた、目覚まし時計。
「・・・おわぁああ?!」
少女が慌てて飛び起き、飛んできた凶器をかわす。
「な、ななな・・・何すんの?!危ないじゃんよ!」
「マスターがいつまでも起きないから、実力行使なのです!」
「ホムラ、やっていいことと悪いことがあるでしょ?死んじゃったらどうするの!」
「なかなか起きないマスターが悪いのです!」
私とホムラの言い争いは、部屋を出るまで続いた。
「ちょっと、フラムも何か言って!」
《・・・寝坊したマスターに問題が。》
「うぐっ・・・」
首から下がるペンダントから声がする。
「・・・フラムって、炎の剣モチーフのわりにクールだよね・・・。」
《そんなことはありませんよ。》
私の名前は、城戸 朱音。
星凛学園高等部、一年生。
戦乙女型武装神姫ホムラと、インテリジェントデバイスのフランベルジュが相棒。
夢と魔法に一所懸命な、15歳。
「むぅ・・・ま、いいか。さあ、行こうか。」
「はい、マスター!」
私たちは部屋を出る。
全寮制の相部屋。もう1人は既に外出していた。
「今日は部活も休みだし、たまにはお洋服でも見に行こうか?」
「あ、楽しみなのです~。」
ホムラを肩に乗せ、私は街に出ることにする。
そこで待っている運命なんて、知るはずがなかった。
◇◇◇
「アレから3ヶ月・・・。今のところ音沙汰無しね・・・」
「でも、気は抜けないわ。例の宇宙船は見つかっていないわけだし・・・。」
数多くのモニターが並ぶ一室で、二人の女性が話していた。1人は仕立てのいいスーツを身にまとい、もう1人は白衣を着ている。
「それにしても・・・このレポート、信じていいのかしら?」
「ああ・・・彼女は一応軍人だし。極限状態だったことを差し引いても、発言に責任を持ってはいるだろう。信じるには値すると思うけど。」
合衆国から提供された、とある生存者の報告書。
そこに書かれていた内容は、かすかな希望を見出せるものではあった。
「だからって、謹慎中の彼女を呼び寄せることは・・・」
「彼女の部隊は壊滅、再編中・・・。現状の彼女に出来ることは少ない。それに、逃げ帰ったとはいえ、交戦経験がある指揮官は必要よ。」
「そうかもしれないけど・・・」
白衣の女の懸念は別のところにあるのか、そっと視線をそらす。
「さて、時間よ。ウルスラ=コルデロート技術主任、定例の対策会議への同行をお願いします。」
「ふぅ・・・。分かりました、三門 聖長官。」
そうして、2人は立ち上がる。
そこは新たな脅威に対抗するために用意された、今は2人だけの作戦司令室。
全てはまだ、これから・・・。
明堂市の市役所、第一会議室。
そこに集まったのは、各公共機関の代表者と名だたる研究者たち。
その中には、この都市の医療を担う明堂記念病院の代表者も含まれていた。
「防衛システムの配備は80%程度。魔法と科学の複合、多重防衛システム・・・。ここまでする必要あるのかしら・・・?」
数人の科学者が疑問を呈する中、聖はその報告を吟味している。
視線を移すと、同様に報告書を刺すような視線で見つめる女性の姿が。
(アレは確か・・・北里医師の付き添いの、南さん・・・だったかしら?)
隣の北里医師も、真剣な眼差しでやり取りを聞いている。
2人の会話を聞くことは出来ないが、聖はどこか自分たちと似ているように思った。
「ウルスラ、どう思う?この配備計画・・・」
「海岸ブロックが甘めね。あと・・・迎撃に重点が置かれすぎていて、防衛面には不安があるわね。」
「同感ね。分かってさえいれば、カバーできるとは思うけど・・・」
未知の脅威に対する会議であるためか、どこか緊張感に欠ける印象は拭えない。
(仕方ないわね・・・。誰も、この街が狙われるとは思ってないようだし・・・)
ひたすら意見を言い合うだけの会議は、意味もなく長く続いた・・・。
◆◇◆
(あの二人は確か、学園関係者よね・・・?)
聖とウルスラ、2人の会話を聞いている人間が居た。
病院側の代表者として参加した、コードダークの司令官・キヨカ。
常人の数倍の聴力を持つキヨカの耳は、彼女たちの会話を拾っていた。
(学園の人間が話す内容じゃないわね・・・)
2人の肩書きはあくまで、学園の理事長と教授に過ぎない。
(人のこと言えた義理じゃないけど、探っておく必要はありそうね。)
視線だけは報告書と会議の様子に向けながら、2人の会話に耳を傾けていた。
「ね、ね、キヨカ・・・。これ、ちょっとやばいような気がするんだけど・・・」
隣に座るコードダークの首領、メイが話しかけてくる。
「ええ、そうですね・・・。これは後から修正するよう指示しておきましょう。」
この2人の緊迫感もまた、会議室の空気とは一線を画すものであった。
「あの生存者の情報は信用に値するし、臨戦態勢は整えてきた。あとは状況に応じて、臨機応変に対処するだけね・・・。」
「うん。防衛に主眼を置いたシステムの更新と、攻撃面の強化は済んでる。あとは当たって砕けるだけね♪」
「砕けちゃダメでしょ・・・」
病院の屋上で空を見上げていた少女が、小さく呟いたそのとき。
空のかなたでかすかに輝いた光。
「そう、やっぱりなのね・・・」
少女の言葉に抑揚は感じられない。
「逢魔の書・・・。頼めるかしら・・・?」
少女は隣に浮かぶ黒い匣に語りかける。
《心得た・・・。》
「お姉さまたちに緊急連絡・・・。標的の襲来を確認・・・。」
《承知・・・。》
逢魔の書と呼ばれた黒い匣が、小さな駆動音を響かせながらメッセージを発信する。
「ジーク、問題ない?」
「うん、任せてマスター。」
肩に乗る神姫、戦乙女型武装神姫・ジークに声をかける。
「じゃ、行きましょう・・・逢魔の書、私の剣と甲冑を。」
《了解した。起動、原初の剣。》
「来たれ、ウーアシュプルング・・・」
そして少女は光に包まれる。
◇◇◇
ヴィー!ヴィー!ヴィー!
けたたましく警報が鳴り響く。
「え・・・嘘でしょ!」
朱音は静まり返る周囲の人々をよそに、空を仰ぎ見る。
「マスター!敵が来たのです?!」
「そうみたい・・・。分かってると思うけど、訓練どおりに・・・ね?」
「了解なのです!!」
周囲の人々も、慌てる様子は無い。
魔法を使えない人や小さな子供たちがシェルターへと急ぎ、その他大勢の人々は迎撃体制に入っている。
この3ヶ月、何度も繰り返されてきた避難訓練と実戦講習。
街の住人は、自分たちの生活と命を、自ら守ることを選択したのだった。
「私たちは最前線でぶつかって、敵を叩き落すよ!」
「頑張るのです!マスター!」
走りながら、状況を確認する。
「フラム!状況確認!」
《・・・敵影、上空1万メートルから降下中。接敵まで5分・・・》
オープンチャンネルで送られてくる情報に目を通し、開けた場所で立ち止まる。
「オッケー!準備はいい?」
「大丈夫なのです!」
《いつでもどうぞ。》
首から下げているデバイスを外し、口付けて空に掲げる。
「行くよ、フランベルジュ!ブレイズ、アーップ!!」
足元に展開する、紅い魔法陣。
吹き上がる、炎の柱。
「はあああああぁぁぁぁぁ!!」
炎の柱から現れた、真っ赤なクリスタルを回し蹴りで粉砕する。
着ていた服が炎の魔力で解け、全身を炎が包みバトルジャケットに変化していく。
黒地に橙でラインの入ったセパレートのアンダーウェア。
白地に赤で彩られた、セーラー服のようなジャケットとスカート。
紅いクリスタルが埋め込まれたグローブと篭手。
紅いレッグアーマーと膝当ては、燃え盛る炎を連想させる。
額には鉢巻が巻かれ、腰には紅いリボンが飾られる。
黒髪が紅い炎の色に変化する。
その瞳には、情熱の炎が燃えていた。
「好きには、させないんだから!!」
全身に炎を纏いながら、私は敵が来るであろう上空を睨みつける。
「焔の戦乙女、アルトレーネ・ブレイズ・・・ホムラ、推参なのです!!」
ホムラもまた、白と赤を基調とした武装に身を包んでいた。
焔の戦乙女の名が示すように、赤く輝く大剣を携えるホムラ。
朱音がカスタムしたホムラだけの専用武装、フェニアブレード。
日常生活だけでなく、戦場でもパートナーとして活躍できるようにカスタムされた、まさに武装神姫として開発された特別仕様。
「さ、行くよ!でやあああぁぁぁぁぁ!!!」
「やってやるのです!!」
《行きましょう!!マイマスター!!》
そして空へと飛び出す。決戦の空へ。
◇◆◇
「愛染、ならびに航空魔導部隊、エンゲージ。迎撃戦闘を開始しました。」
「地上の結界、展開完了。安定稼動域に入りました。」
「天空都市、ならびに海上都市からの迎撃開始。魔導師による各個戦闘、開始・・・」
会議室に送られてくる、司令室からの映像。
状況報告をするオペレーターの声は、機械的な印象を受ける。
それを見ながら、会議は続いていた。
そこから消えた、2組4名を除いて。
「こういうときに限って、事態は動くものよね・・・。」
「あの穴をどう埋めるか・・・。学生たちに指示を出す?」
学園地下に用意された作戦司令室で戦況を見つめながら、聖とウルスラは分析を続ける。
「下手に指揮系統を混乱させるべきじゃないわね・・・。ひとまず様子見と行きましょう。」
「そう・・・?」
彼女たちが動くには、まだ人が足りないのだ。
まして現状では、防衛部隊の指揮権があるわけではない。
勝手な指示で現場を混乱させるのは、望むところではない。
「今はただ、現場が柔軟に判断できることを祈りましょう。」
メイとキヨカもまた、コードダーク基地のオペレーションルームに戻っていた。
「状況を確認しながら、同時に分析を。戦闘要員は海岸部を重点的にカバーして。目立たないようにするのは難しいかもしれないけど、最終防衛ラインを死守してね。」
キヨカは次々と指示を出す。
十分な人材と入念な準備がなされていたコードダークにとって、これくらいは朝飯前ではあった。
「やっぱり・・・。魔力ダメージでノックアウトできれば、再生は無さそう。物理と魔法の同時攻撃なら、確実にいけるかなー。」
その場に集う幹部たちは、それぞれの視点で分析を続ける。
「出来れば、破片が欲しいかな・・・」
「破片の回収は直接接触を避けて、完全封印してからにして。無理は禁物よ!」
メイの言葉を聞いて、キヨカが注意事項とともに指示を送る。
『・・・了解!!』
あちこちに散っているコードダークの戦闘メンバーも、すぐに理解して応答する。
かつて正義の味方だったものたちによって構成された戦闘部隊。
経験豊富な彼女たちにとって、どんな状況でも油断することはなかった。
「彼女は、と・・・?」
キヨカの目が、1人の少女が映ったモニターを見つめる。
「・・・ライトニング。」
迫り来る敵に、雷撃が落ちる。
「・・・ジーク。」
「おっけー、マスター。ギリオーヌカノン!」
黒と青に彩られた武装を身に纏うジークが、両手に携える大型ライフルから砲撃を行う。
2人は遠目からの攻撃を中心に、次々と敵を落としていく。
機械のように精確な、躊躇の欠片も無い攻撃。
前後左右、上下を問わない攻撃を、全く見ることも無く行う。
周囲から見ても、異質の存在となっていた。
「きりが無いね。一気にドーン!って出来ればいいのにー。」
「・・・あまり目立つな、って言われてるもの。」
そんなことを話しながらも、攻撃の手は緩まない。
「ねぇ、マスター。あそこ、やばくない?」
「・・・うん。行こうか。」
そうして見つめた先には、海上から飛来する敵の影。
まるで防衛網の穴に気付いたように、敵がそこへと向きを変えつつあった。
◇◇◇
「おりゃああああ!!炎襲脚っ!!」
「やああぁぁぁぁ!フェニアブレード、オーバーストライク・・・なのです!!」
炎を纏った蹴りと斬撃が、敵を次々と粉砕していく。
「・・・いつの間にか、こんなところまで来ちゃったねぇ。」
眼下には、白い砂浜が広がっていた。
「でも、ここからが本番なのです!いっぱい、敵が来るのです!!」
上空からは次々と敵が飛来してくる。
「このままじゃ・・・ううん!負けない!やぁってやるぜぇ!!」
朱音は気合を入れなおす。
「やぁってやるのですっ!!」
ホムラも顔を引き締める。
「先手必勝っ!!炎竜砲!!」
流れるように身体をひねり後ろ回し蹴りを決めると、魔法陣が発動し炎の竜が敵に向かっていく。
「フェニアスラッシュ・・・なのです!!」
ホムラも紅い大剣を横に薙ぎ、炎の斬撃を飛ばす。
敵の群れを飲み込み、薙ぎ払っていく二人の攻撃。
「・・・マスター!あそこに逃げ遅れた人がいるのです!!」
ホムラが気付き指差した先には、1人の少女がうずくまっていた。
その少女に気付いたのか、敵がそこに向かおうとする。
「え?!・・・ホントだ。助けなきゃ!」
朱音とホムラは、少女の下へと急ぐ。
「いやぁああああ?!」
周りの状況について行けない少女は、半狂乱で泣き崩れていた。
迫り来る敵の影に気付くことなく。
「・・・炎烈蹴!・・・フレアシールド!!」
その先頭の敵を炎の蹴りで撃墜し、防御シールドを張る。
間一髪、朱音とホムラが間に割って入った。
「もう大丈夫なのです!」
ホムラが声をかけると、驚いたように見つめる。
そして、瞳に涙を浮かべながら朱音を見上げる。
「お姉ちゃん・・・うあわぁああああん!!」
さらに大きな声で泣き出してしまう。
「あうあう・・・。もう泣かないでいいのです・・・。」
戸惑ったようなホムラの声が、朱音の耳にも届く。
「まずい!今の泣き声で、敵がこっちに・・・」
引き寄せられるように、敵の群れがこっちに向かってきていた。
「防御は得意じゃないのに・・・!」
押し寄せる敵の群れに、思わず弱音が出てしまう。
そして、限界がやってくる。
「やばっ!?シールドがもう、保たないっ?!」
「・・・サンダーブレイク。」
シールドが崩壊する寸前、上空から降り注ぐ雷撃。
「・・・え?」
見上げるとそこには、1人の魔法少女が神姫を伴い浮かんでいた。
「・・・助けたわけじゃ、無いから。」
そのまま、飛び去ってしまう。
「あ、あの・・・」
そこへ、地上の避難担当がやってきて、少女を連れてシェルターへ走っていく。
「ホムラ。もう一度、飛ぶよ。借りを返さないと。」
「了解なのです!」
2人はそれを見届け、再び空に飛び立つ。
(あの子にお礼も言ってないし!)
コードダークⅢ ~沈黙の侵略~
第1話 【はじまりの日】 完。
次回予告。
少女が向かうは混戦の只中。
2人の邂逅は、危機迫る戦いの中だった。
運命が絡み合い、大きく音を立てながら回り始めた。
続く激戦の只中で、少女は戦いの意味を知る。
手にしたもの。そして・・・失ったもの。
涙を拭う暇もなく、慟哭の戦いに身を投じていく。
コードダークⅢ ~沈黙の侵略~
第2話 【戦いの中で】
その運命は過酷に、ただ廻り続ける・・・。
いかがでしたか?
まあ、最初だけに説明臭いところはご勘弁を。
今後は主人公・朱音の視点をメインに進めていこうかとは思いますが、
意外と一人称だけだと難しいもので・・・。
あっちこっちに視点が飛ぶときは区切りを入れたり、
分かるように努力して読みやすいようにしたいところ。
次回以降、さらに話が進むわけですが、
朱音が敵を相手に本気で戦う理由が大事。
正義とか街を守るためとかそんなぼんやりとした理由では、
なかなか1人の高校生には難しいですからね。
それなりの演出を考えつつ、
第二話のプロットを組んでいこうと思います。
それでは今回はこの辺で。
次回更新でまたお会いしましょう。
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ようやくコードダークの最新シリーズの開幕です。
構想約半年、企画が動き出して3ヶ月程度。
参考までに見始めたはずの魔砲少女やスト魔女にドハマリし、
完成直前にキーボードがダメになるアクシデントを乗り越えつつ、
何とかここに開幕を迎えることが出来ました。
例のごとく、あちらこちらにネタが振ってあります。
大元の話が分かる人ならクスッと笑えるような・・・。
そして登場人物の多さに自分ですら頭が混乱しそうになるのですが、
まあ、何とかなるでしょう。
敢えて時間が進めてありますが、
今後時空が乱れて壁が取り払われてしまうことがあるかもしれません。
そのときは向こうの世界から来るゲストは、
歳をとっていないこともあるので要注意。
まあ、もう少し先の話ですがね・・・。
さあ、前置きが長くなりましたが、
まずは本編をどうぞー!
魔法と科学、二つが融合し始めた世界。
そんな世界に訪れた2つの悲劇、『ブラスネカの喪失』と『リンケインの落日』。
世界はこの日を境に、緊迫した空気に包まれた。
過去に例が無い、宇宙からの脅威。
その脅威に怯え慄きながら、対応策が練られることになる。
物理的な攻撃が通用しないことは、唯一の生存者の証言で裏付けられた。
魔法文化の定着が遅れていた合衆国において、魔法の有用性は確認されないままだった。
その合衆国は建国後初の滅亡の危機に瀕し、体制再建が優先されていた。
欧州では魔法と科学、両面での対応策が急ピッチで進められていた。
幻想国家や魔界では、防衛のための軍備増強が始められた。
そして神州・日本。
防衛計画の見直しが進む中、次代を担う少女たちが覚醒のときを迎えようとしていた。
「来る・・・」
ビルの屋上で1人の少女が空を見上げ呟いた、そんな春のある日・・・。
コードダークⅢ ~沈黙の侵略~
第1話 【はじまりの日】
「マスター!起きてください、マスター!マスターってば!!」
とある学生寮の一室で、小さな声が響く。
「ん、んんん・・・もう少し・・・。あと五分・・・。」
その声に答えたのは、布団に潜る1人の少女。
「ダメなのです!マスター!!起きてくださいなのです!!」
小さな声の主は、必死に少女を起こそうとしていた。
「・・・お願ぁい、もうちょっと・・・」
だが少女は寝返りを打ち、目を覚ます様子は無い。
「もぉおおおお!起きろ、ますたぁあああああ!!!」
直後飛んできた、目覚まし時計。
「・・・おわぁああ?!」
少女が慌てて飛び起き、飛んできた凶器をかわす。
「な、ななな・・・何すんの?!危ないじゃんよ!」
「マスターがいつまでも起きないから、実力行使なのです!」
「ホムラ、やっていいことと悪いことがあるでしょ?死んじゃったらどうするの!」
「なかなか起きないマスターが悪いのです!」
私とホムラの言い争いは、部屋を出るまで続いた。
「ちょっと、フラムも何か言って!」
《・・・寝坊したマスターに問題が。》
「うぐっ・・・」
首から下がるペンダントから声がする。
「・・・フラムって、炎の剣モチーフのわりにクールだよね・・・。」
《そんなことはありませんよ。》
私の名前は、城戸 朱音。
星凛学園高等部、一年生。
戦乙女型武装神姫ホムラと、インテリジェントデバイスのフランベルジュが相棒。
夢と魔法に一所懸命な、15歳。
「むぅ・・・ま、いいか。さあ、行こうか。」
「はい、マスター!」
私たちは部屋を出る。
全寮制の相部屋。もう1人は既に外出していた。
「今日は部活も休みだし、たまにはお洋服でも見に行こうか?」
「あ、楽しみなのです~。」
ホムラを肩に乗せ、私は街に出ることにする。
そこで待っている運命なんて、知るはずがなかった。
◇◇◇
「アレから3ヶ月・・・。今のところ音沙汰無しね・・・」
「でも、気は抜けないわ。例の宇宙船は見つかっていないわけだし・・・。」
数多くのモニターが並ぶ一室で、二人の女性が話していた。1人は仕立てのいいスーツを身にまとい、もう1人は白衣を着ている。
「それにしても・・・このレポート、信じていいのかしら?」
「ああ・・・彼女は一応軍人だし。極限状態だったことを差し引いても、発言に責任を持ってはいるだろう。信じるには値すると思うけど。」
合衆国から提供された、とある生存者の報告書。
そこに書かれていた内容は、かすかな希望を見出せるものではあった。
「だからって、謹慎中の彼女を呼び寄せることは・・・」
「彼女の部隊は壊滅、再編中・・・。現状の彼女に出来ることは少ない。それに、逃げ帰ったとはいえ、交戦経験がある指揮官は必要よ。」
「そうかもしれないけど・・・」
白衣の女の懸念は別のところにあるのか、そっと視線をそらす。
「さて、時間よ。ウルスラ=コルデロート技術主任、定例の対策会議への同行をお願いします。」
「ふぅ・・・。分かりました、三門 聖長官。」
そうして、2人は立ち上がる。
そこは新たな脅威に対抗するために用意された、今は2人だけの作戦司令室。
全てはまだ、これから・・・。
明堂市の市役所、第一会議室。
そこに集まったのは、各公共機関の代表者と名だたる研究者たち。
その中には、この都市の医療を担う明堂記念病院の代表者も含まれていた。
「防衛システムの配備は80%程度。魔法と科学の複合、多重防衛システム・・・。ここまでする必要あるのかしら・・・?」
数人の科学者が疑問を呈する中、聖はその報告を吟味している。
視線を移すと、同様に報告書を刺すような視線で見つめる女性の姿が。
(アレは確か・・・北里医師の付き添いの、南さん・・・だったかしら?)
隣の北里医師も、真剣な眼差しでやり取りを聞いている。
2人の会話を聞くことは出来ないが、聖はどこか自分たちと似ているように思った。
「ウルスラ、どう思う?この配備計画・・・」
「海岸ブロックが甘めね。あと・・・迎撃に重点が置かれすぎていて、防衛面には不安があるわね。」
「同感ね。分かってさえいれば、カバーできるとは思うけど・・・」
未知の脅威に対する会議であるためか、どこか緊張感に欠ける印象は拭えない。
(仕方ないわね・・・。誰も、この街が狙われるとは思ってないようだし・・・)
ひたすら意見を言い合うだけの会議は、意味もなく長く続いた・・・。
◆◇◆
(あの二人は確か、学園関係者よね・・・?)
聖とウルスラ、2人の会話を聞いている人間が居た。
病院側の代表者として参加した、コードダークの司令官・キヨカ。
常人の数倍の聴力を持つキヨカの耳は、彼女たちの会話を拾っていた。
(学園の人間が話す内容じゃないわね・・・)
2人の肩書きはあくまで、学園の理事長と教授に過ぎない。
(人のこと言えた義理じゃないけど、探っておく必要はありそうね。)
視線だけは報告書と会議の様子に向けながら、2人の会話に耳を傾けていた。
「ね、ね、キヨカ・・・。これ、ちょっとやばいような気がするんだけど・・・」
隣に座るコードダークの首領、メイが話しかけてくる。
「ええ、そうですね・・・。これは後から修正するよう指示しておきましょう。」
この2人の緊迫感もまた、会議室の空気とは一線を画すものであった。
「あの生存者の情報は信用に値するし、臨戦態勢は整えてきた。あとは状況に応じて、臨機応変に対処するだけね・・・。」
「うん。防衛に主眼を置いたシステムの更新と、攻撃面の強化は済んでる。あとは当たって砕けるだけね♪」
「砕けちゃダメでしょ・・・」
病院の屋上で空を見上げていた少女が、小さく呟いたそのとき。
空のかなたでかすかに輝いた光。
「そう、やっぱりなのね・・・」
少女の言葉に抑揚は感じられない。
「逢魔の書・・・。頼めるかしら・・・?」
少女は隣に浮かぶ黒い匣に語りかける。
《心得た・・・。》
「お姉さまたちに緊急連絡・・・。標的の襲来を確認・・・。」
《承知・・・。》
逢魔の書と呼ばれた黒い匣が、小さな駆動音を響かせながらメッセージを発信する。
「ジーク、問題ない?」
「うん、任せてマスター。」
肩に乗る神姫、戦乙女型武装神姫・ジークに声をかける。
「じゃ、行きましょう・・・逢魔の書、私の剣と甲冑を。」
《了解した。起動、原初の剣。》
「来たれ、ウーアシュプルング・・・」
そして少女は光に包まれる。
◇◇◇
ヴィー!ヴィー!ヴィー!
けたたましく警報が鳴り響く。
「え・・・嘘でしょ!」
朱音は静まり返る周囲の人々をよそに、空を仰ぎ見る。
「マスター!敵が来たのです?!」
「そうみたい・・・。分かってると思うけど、訓練どおりに・・・ね?」
「了解なのです!!」
周囲の人々も、慌てる様子は無い。
魔法を使えない人や小さな子供たちがシェルターへと急ぎ、その他大勢の人々は迎撃体制に入っている。
この3ヶ月、何度も繰り返されてきた避難訓練と実戦講習。
街の住人は、自分たちの生活と命を、自ら守ることを選択したのだった。
「私たちは最前線でぶつかって、敵を叩き落すよ!」
「頑張るのです!マスター!」
走りながら、状況を確認する。
「フラム!状況確認!」
《・・・敵影、上空1万メートルから降下中。接敵まで5分・・・》
オープンチャンネルで送られてくる情報に目を通し、開けた場所で立ち止まる。
「オッケー!準備はいい?」
「大丈夫なのです!」
《いつでもどうぞ。》
首から下げているデバイスを外し、口付けて空に掲げる。
「行くよ、フランベルジュ!ブレイズ、アーップ!!」
足元に展開する、紅い魔法陣。
吹き上がる、炎の柱。
「はあああああぁぁぁぁぁ!!」
炎の柱から現れた、真っ赤なクリスタルを回し蹴りで粉砕する。
着ていた服が炎の魔力で解け、全身を炎が包みバトルジャケットに変化していく。
黒地に橙でラインの入ったセパレートのアンダーウェア。
白地に赤で彩られた、セーラー服のようなジャケットとスカート。
紅いクリスタルが埋め込まれたグローブと篭手。
紅いレッグアーマーと膝当ては、燃え盛る炎を連想させる。
額には鉢巻が巻かれ、腰には紅いリボンが飾られる。
黒髪が紅い炎の色に変化する。
その瞳には、情熱の炎が燃えていた。
「好きには、させないんだから!!」
全身に炎を纏いながら、私は敵が来るであろう上空を睨みつける。
「焔の戦乙女、アルトレーネ・ブレイズ・・・ホムラ、推参なのです!!」
ホムラもまた、白と赤を基調とした武装に身を包んでいた。
焔の戦乙女の名が示すように、赤く輝く大剣を携えるホムラ。
朱音がカスタムしたホムラだけの専用武装、フェニアブレード。
日常生活だけでなく、戦場でもパートナーとして活躍できるようにカスタムされた、まさに武装神姫として開発された特別仕様。
「さ、行くよ!でやあああぁぁぁぁぁ!!!」
「やってやるのです!!」
《行きましょう!!マイマスター!!》
そして空へと飛び出す。決戦の空へ。
◇◆◇
「愛染、ならびに航空魔導部隊、エンゲージ。迎撃戦闘を開始しました。」
「地上の結界、展開完了。安定稼動域に入りました。」
「天空都市、ならびに海上都市からの迎撃開始。魔導師による各個戦闘、開始・・・」
会議室に送られてくる、司令室からの映像。
状況報告をするオペレーターの声は、機械的な印象を受ける。
それを見ながら、会議は続いていた。
そこから消えた、2組4名を除いて。
「こういうときに限って、事態は動くものよね・・・。」
「あの穴をどう埋めるか・・・。学生たちに指示を出す?」
学園地下に用意された作戦司令室で戦況を見つめながら、聖とウルスラは分析を続ける。
「下手に指揮系統を混乱させるべきじゃないわね・・・。ひとまず様子見と行きましょう。」
「そう・・・?」
彼女たちが動くには、まだ人が足りないのだ。
まして現状では、防衛部隊の指揮権があるわけではない。
勝手な指示で現場を混乱させるのは、望むところではない。
「今はただ、現場が柔軟に判断できることを祈りましょう。」
メイとキヨカもまた、コードダーク基地のオペレーションルームに戻っていた。
「状況を確認しながら、同時に分析を。戦闘要員は海岸部を重点的にカバーして。目立たないようにするのは難しいかもしれないけど、最終防衛ラインを死守してね。」
キヨカは次々と指示を出す。
十分な人材と入念な準備がなされていたコードダークにとって、これくらいは朝飯前ではあった。
「やっぱり・・・。魔力ダメージでノックアウトできれば、再生は無さそう。物理と魔法の同時攻撃なら、確実にいけるかなー。」
その場に集う幹部たちは、それぞれの視点で分析を続ける。
「出来れば、破片が欲しいかな・・・」
「破片の回収は直接接触を避けて、完全封印してからにして。無理は禁物よ!」
メイの言葉を聞いて、キヨカが注意事項とともに指示を送る。
『・・・了解!!』
あちこちに散っているコードダークの戦闘メンバーも、すぐに理解して応答する。
かつて正義の味方だったものたちによって構成された戦闘部隊。
経験豊富な彼女たちにとって、どんな状況でも油断することはなかった。
「彼女は、と・・・?」
キヨカの目が、1人の少女が映ったモニターを見つめる。
「・・・ライトニング。」
迫り来る敵に、雷撃が落ちる。
「・・・ジーク。」
「おっけー、マスター。ギリオーヌカノン!」
黒と青に彩られた武装を身に纏うジークが、両手に携える大型ライフルから砲撃を行う。
2人は遠目からの攻撃を中心に、次々と敵を落としていく。
機械のように精確な、躊躇の欠片も無い攻撃。
前後左右、上下を問わない攻撃を、全く見ることも無く行う。
周囲から見ても、異質の存在となっていた。
「きりが無いね。一気にドーン!って出来ればいいのにー。」
「・・・あまり目立つな、って言われてるもの。」
そんなことを話しながらも、攻撃の手は緩まない。
「ねぇ、マスター。あそこ、やばくない?」
「・・・うん。行こうか。」
そうして見つめた先には、海上から飛来する敵の影。
まるで防衛網の穴に気付いたように、敵がそこへと向きを変えつつあった。
◇◇◇
「おりゃああああ!!炎襲脚っ!!」
「やああぁぁぁぁ!フェニアブレード、オーバーストライク・・・なのです!!」
炎を纏った蹴りと斬撃が、敵を次々と粉砕していく。
「・・・いつの間にか、こんなところまで来ちゃったねぇ。」
眼下には、白い砂浜が広がっていた。
「でも、ここからが本番なのです!いっぱい、敵が来るのです!!」
上空からは次々と敵が飛来してくる。
「このままじゃ・・・ううん!負けない!やぁってやるぜぇ!!」
朱音は気合を入れなおす。
「やぁってやるのですっ!!」
ホムラも顔を引き締める。
「先手必勝っ!!炎竜砲!!」
流れるように身体をひねり後ろ回し蹴りを決めると、魔法陣が発動し炎の竜が敵に向かっていく。
「フェニアスラッシュ・・・なのです!!」
ホムラも紅い大剣を横に薙ぎ、炎の斬撃を飛ばす。
敵の群れを飲み込み、薙ぎ払っていく二人の攻撃。
「・・・マスター!あそこに逃げ遅れた人がいるのです!!」
ホムラが気付き指差した先には、1人の少女がうずくまっていた。
その少女に気付いたのか、敵がそこに向かおうとする。
「え?!・・・ホントだ。助けなきゃ!」
朱音とホムラは、少女の下へと急ぐ。
「いやぁああああ?!」
周りの状況について行けない少女は、半狂乱で泣き崩れていた。
迫り来る敵の影に気付くことなく。
「・・・炎烈蹴!・・・フレアシールド!!」
その先頭の敵を炎の蹴りで撃墜し、防御シールドを張る。
間一髪、朱音とホムラが間に割って入った。
「もう大丈夫なのです!」
ホムラが声をかけると、驚いたように見つめる。
そして、瞳に涙を浮かべながら朱音を見上げる。
「お姉ちゃん・・・うあわぁああああん!!」
さらに大きな声で泣き出してしまう。
「あうあう・・・。もう泣かないでいいのです・・・。」
戸惑ったようなホムラの声が、朱音の耳にも届く。
「まずい!今の泣き声で、敵がこっちに・・・」
引き寄せられるように、敵の群れがこっちに向かってきていた。
「防御は得意じゃないのに・・・!」
押し寄せる敵の群れに、思わず弱音が出てしまう。
そして、限界がやってくる。
「やばっ!?シールドがもう、保たないっ?!」
「・・・サンダーブレイク。」
シールドが崩壊する寸前、上空から降り注ぐ雷撃。
「・・・え?」
見上げるとそこには、1人の魔法少女が神姫を伴い浮かんでいた。
「・・・助けたわけじゃ、無いから。」
そのまま、飛び去ってしまう。
「あ、あの・・・」
そこへ、地上の避難担当がやってきて、少女を連れてシェルターへ走っていく。
「ホムラ。もう一度、飛ぶよ。借りを返さないと。」
「了解なのです!」
2人はそれを見届け、再び空に飛び立つ。
(あの子にお礼も言ってないし!)
コードダークⅢ ~沈黙の侵略~
第1話 【はじまりの日】 完。
次回予告。
少女が向かうは混戦の只中。
2人の邂逅は、危機迫る戦いの中だった。
運命が絡み合い、大きく音を立てながら回り始めた。
続く激戦の只中で、少女は戦いの意味を知る。
手にしたもの。そして・・・失ったもの。
涙を拭う暇もなく、慟哭の戦いに身を投じていく。
コードダークⅢ ~沈黙の侵略~
第2話 【戦いの中で】
その運命は過酷に、ただ廻り続ける・・・。
いかがでしたか?
まあ、最初だけに説明臭いところはご勘弁を。
今後は主人公・朱音の視点をメインに進めていこうかとは思いますが、
意外と一人称だけだと難しいもので・・・。
あっちこっちに視点が飛ぶときは区切りを入れたり、
分かるように努力して読みやすいようにしたいところ。
次回以降、さらに話が進むわけですが、
朱音が敵を相手に本気で戦う理由が大事。
正義とか街を守るためとかそんなぼんやりとした理由では、
なかなか1人の高校生には難しいですからね。
それなりの演出を考えつつ、
第二話のプロットを組んでいこうと思います。
それでは今回はこの辺で。
次回更新でまたお会いしましょう。