渕上(ふちがみ)賢太郎博士 『モテモテアカデミー』及び『夢を叶えるアカデミー』主宰。数学、生命科学、行動経済学の博士号を持ち、人の心の動きを論理的に解明する。数々の恋愛相談の経験から恋の持つすさまじいパワーを理解している。 | 山田君 博士を慕う冴えない32歳。小さなIT企業に勤務する。博士の教えにより、彼女いない歴=年齢だったモテない人生に終止符を打った。お人好しなため嫌われ者から好かれることに悩む。 |
山田君 なぜ、人は恋をすると、バカになってしまうんでしょう?
博士 どうした?詩人みたいなことを言いはじめて。
山田君 いやいや、恋をするとみんなバカな選択をするなって思ったんです。たとえば、浜崎あゆみさんは、11月14日の夜にバックダンサー内山麿我(まろか)さんと揃ってブログで交際宣言してたんですけど、内山さんは既婚者だったんです。
さらに、この内山さん、11月16日の『日刊ゲンダイ』によれば、「(別の)不倫相手のモデルとの間に子供がいることも明らかになった。とんでもない女たらし」だそうです。
たしかに、11月20日に、内山さんは、双方で離婚に合意したとブログで、報告していたけど、そこまでは不倫だったわけですよね。
博士 そうか。
山田君 あと、美元さんもバカだなって思います。11月9日に高嶋さんとの離婚訴訟についに負けましたよね。1年8ヶ月にわたる離婚裁判ですよ!理解できません。高嶋さんがあんなに嫌がっているのに何で離婚してあげなかったんでしょう?
博士 美元が離婚したがらなかったのは、離婚が成立するまで毎月45万円が高嶋政伸から振り込まれるから、金目的と言っている人も少なくない。だが僕は、以前も話したとおり、高嶋政伸に高い価値を感じ、離れられなくなってしまったのだと予想している。
山田君 逗子でのストーカーによる殺人事件もそうです。なぜ、自分を好きじゃない相手のことをそこまで追いかけるのか。あげくの果てに相手を殺して自殺って…。恋愛って、本当に人をおかしくするんですね...。
博士 実際には恋愛そのものが人をおかしくするのではない。ある特定のことが起きると人はおかしくなるのだと僕は考えている。今回は、人がどういう時におかしくなるのかの1つの典型的な例を話そうと思う。
山田君 ぜひ、お願いします。
博士 人がおかしくなる1つの典型は、「これまで手に入っていた、本人にとって価値が高いと感じていたものを失った時」に起きる。しかも、それが本人にとって突然だとより確実だ。たとえば、家族を突発的な事故で失ったり、やっと手に入れた恋人に急に振られたり、仕事を思いがけず解雇されたりといった時だ。
山田君 確かに11月15日発売の『女性セブン』に、美元の離婚に関して、「2009年8月、妻は突然夫から別れを切り出された。寝耳に水の状態のまま進んでいく離婚調停」とあります。美元さんにとって、突然夫が去っていったように感じたんでしょうね。
博士 逗子のストーカー殺人事件の容疑者もそうだと思う。11 月10日のカナロコ(神奈川新聞社)によると、弁護士の話として「婚約を三好さんに破棄され、(小堤英統容疑者は)精神的におかしくなった」とある。
人は、「価値があると思ったものを失ったと感じた時」に、強く感情が動く。それは、のど元にナイフを突きつけられているような巨大な不安だ。失ったものを取り戻さないと、お前の人生はおしまいだ、絶望的だ!と強迫してくる。
山田君 なるほど。
博士 ストーカーになる人のほとんどは、この「これまで手に入っていた、本人にとって価値が高いと感じていたものを失った時」に起きると僕は考えている。それは、何も2人が付き合っている必要はない。たとえば、恋愛経験の少ない男性に対して女性が好意のあるそぶりを見せる。男はその女性と心がつながり、手に入ったと感じる。ところが、いざつき合おうと言うと「そんな気はない」と拒絶される。すると、急に裏切られたと思い、例の強い不安が襲う。そして、相手にしつこくつきまとう行動に出るわけだ。
山田君 ヤバいですね。そんなストーカーにあっちゃったらどうしたらいいですか?
博士 このような危険な状態は、次の2つの条件が作りだすと僕は考えている。
- 本人にとって価値が高いと感じていたものを失った時
- その失ったものが、努力次第で手に入ると信じ続けている時
まず、1に関して説明しよう。
ストーカーにあいやすい人は、相手に手に入ったと思わせておいて、突然去っていることが多い。
たとえば、自分がモテることを確認するために、手当り次第に女性を好きにさせる男性、あるいは、自分に女性としての価値を感じたくて、その気もない男性に人懐っこくアプローチする女性だな。彼らは本気ではないから、相手を本気にさせておいて、面倒になったら、適当にふる。
山田君 罪深いですね。
博士 そのような男女に限らず、人から嫌われるのがイヤな八方美人や、嫌われ者を放っておけないお人好しもこの状態を作り出しやすい。異性だけでなく、同性からしつこくつきまとわれる、ということもあるだろう。
山田君 それ、僕です。女性からストーカーされたことはないですけど、同性の面倒くさいヤツに好かれてつきまとわれることがよくあるんです。避け始めると、「裏切り者」とか言われて恨まれちゃうんです。
博士 それだよ、山田君。嫌われ者は、たいてい周りの人に冷たくされている。それが彼にとっては当たり前の世界だ。そこにお人好しの山田君のような人が現れる。するとその人は相手を救世主のように感じ、すがりつく。「僕にもようやく理解者が現れた、優しくしてくれる親友だ」なんて思ったりする。
他の誰も相手にしないものだから、嫌われ者はそのお人好しにべったりくっつくようになる。価値のあるものが手に入った状態だな。だが、お人好しは徐々にそれを鬱陶しく感じるようになる。結局のところ、そいつは周囲から嫌われている人間だ。愚痴などネガティブな発言を続けたり、会話が成立しないほどコミュニケーションスキルが低かったり、空気が読めず、相手の時間をいつまでも奪い続けるなど、一緒にいる相手をイライラさせるだろう。
お人好しはうんざりして、ついに嫌われ者と距離を置く。これで「手に入っていた価値のあるものが、突然去る」という構図が完成し、その結果、嫌われ者がおかしな精神状態になっていく。
山田君 で、僕が裏切り者って恨まれたりするわけですね。だけど、嫌われてる人って1人でポツンとしてるでしょ。かわいそうなんですよね。放っておけません。お昼くらい誘ってあげたくなるでしょう。いいことをしているつもりなんですけど。
博士 ばかやろう!
山田君 え?
博士 その中地半端な同情心がいけないんだ!まず言えるのは、安易な同情心から誰かに優しくしてあげようとか助けてあげようなどと思わないことだ。相手を助けるなら、最後まで責任を持ち、なおかつ自立させるまで面倒をみないといけない。
僕の知り合いの医者や弁護士は、みな安易に人を助けない。「助ける」ということがどういうことかを知っているからだ。助けるときはトコトン助けるが、それ以外の時は、相手に関わらない。彼らは、助けることの重みと怖さが分かってるんだ。
山田君 なるほど...。でも、別に助けようというつもりはないんですけどね。ただ、かわいそうだなと思って僕にできるだけのことをしてあげようって思うだけなんですけど。
博士 それが中途半端に助けるということなんだよ。そして今度は山田君が助けた相手を恨むことになる。いいことなしだ。
山田君 わかりました、今後、一切人を助けません。
博士 よろしい。
山田君 じゃあ、2の「失ったものが、努力次第で手に入ると信じ続けている時」について教えてください。
博士 人は手に入ったものには興味を失い、手に入らないもののことは、やはり諦めて、興味を失う。「手に入りそうで入らない状態」にあると、それを手に入れようと努力し続ける。
知人でストーカー被害にあっている女性がいるが、彼女はストーカーから毎日何10通とメールを受け取る。そして、そのうちの何回かに返信をしてしまう。これがダメなんだ。徹底的に無視をし続け、相手を諦めさせることが大事だ。10通に1通返信することが「手に入りそうで入らない」状態をつくる。すると、ストーカーは努力次第で手に入ると感じ、いつまでも引きつけられてしまう。
僕が受けてきた多くの恋愛相談の経験からわかったのは、人は「手に入らない」とわかったなら、だんだんシンプルでエネルギーコストの低い同じ手段しか取らなくなるということだ。手に入らないものに対してコストをかけるのは無駄だとわかるからだ。
よくあるのが、ずっと前に別れた彼なのに誕生日になるとメールを送ってくる、という状況だ。向こうも手に入らないと思っているから、労力をかけない。続けていることで「たまたまうまく行ったらいいな」くらいに考えている。
山田君 なるほど。
©2012 The Sankei Shimbun & Sankei Digital モデル、美元
博士 ところが、うまくいく可能性が高いと思えるようになると、途端に頑張りはじめる。たとえば、11月12日の弁護士ドットコムでは、美元の離婚判決を受けて、弁護士ドットコムに登録する弁護士67名にインタビューを行ったところ、「87%の弁護士が『控訴審になっても逆転はできない』と予想した」と書かれている。しかし、一方で「高嶋さんに有責性があるという認定は可能である。従来の判例は、有責配偶者からの離婚は例外的にしか認めていない」「別居期間も短く、現段階では『婚姻を継続しがたい重大な事由』があるとはいえないから」という理由で逆転が可能と考えている弁護士もいる。
もし、美元が、逆転が可能だと信じれば、努力次第で高嶋政伸との結婚生活を取り戻せると考え、控訴をしてくるだろう。
山田君 逗子のストーカー事件はどうなんですか?6年も前に別れてるし、結婚しちゃってるし、希望なんてどこにもないと思うんですけど。しつこく頑張り続けたみたいですよね。
博士 2011年に小堤容疑者が逮捕されたとき、警察が被害者の結婚後の苗字と住所の一部を読み上げただろう。これが容疑者にとっての希望となった可能性がある。
山田君 どういうことですか?
博士 どう努力すれば相手が手に入るのか、具体的な行動指針が警察によって示されてしまったということだ。それが「手に入りそうで入らない」状態を作った。
ストーカー犯は、相手をどうしても手に入れたい。だが、どうすれば手に入るかわからない。もやもやした状態なわけだ。そこに明確な道が示されると、しがみつく。
山田君 好きだけどどこで何しているかわからない人が、どこに住んでいるかわかったり、結婚後の苗字を知らされることで、彼女の存在が近づいてしまう、ということですか?
©2012 The Sankei Shimbun & Sankei Digital AKB48
博士 そうだ。AKB48なら、握手券が1つの彼女達に近づく手段だな。AKBファンたちは、秋元康によって示された、具体的な行動指針に従って、大人しく握手券を買い、応援し続けている。霧がかかってどうやって相手を取り戻すか分からない時に、1つの方向性が示されると、人はそこに飛びつく。僕はこの行動指針をガイドラインと呼んでいる。逗子ストーカー事件の場合、容疑者が何100件もヤフー知恵袋にさまざまな質問を書きこんでいた。そこで答えが得られたこともガイドラインになってしまったのだろう。
電車に飛び込み自殺をするのも、目の前に簡単に死ねるガイドラインが示されているからだ。練炭自殺もその詳細を報道すればするほど、漠然と死にたい人間にガイドラインを与えていることになる。11月18日に放送されたNHKスペシャル『がんワクチン~"夢の治療薬"への格闘~』では、これまでは絶望的だと言われていた末期がんの患者に、もしかしたら治るかもしれない夢の特効薬が示された。そのほとんどは、まだ治験の段階だが、あの放送は多くの患者に、ガイドラインを与えたに違いない。
山田君 なるほど。
博士 人に強いモチベーションを作らないためには、ガイドラインを示してはいけないということになる。ストーカーは、常に相手に近づく解決法を探し、その全てを試している状況にあると言える。そのうちの1つが恐ろしく沢山のメールを相手に送るというものだ。そして、僕の知人のように10通に1通くらい返信したりする。しかもそれは相手を脅す文句だったり、中傷する内容だったりする。それが怖くなったり、怒りを感じて反応すれば、それ自体が彼らのガイドラインになってしまうんだ。「こんな内容を送ると彼女から返信が来るのだ」と思い、エスカレートするということだ。
山田君 そういうことなんですね。
博士 この心の動きを利用して、別のガイドラインを与えてやるという方法もある。
山田君 別のガイドライン?たとえばどんなものですか?
博士 たとえば、借金取りは、相手が逃げたり、自暴自棄になったりしないように、担保をとり、実家の場所を押さえ、連帯保証人をつけたりする。「お金を返す以外、あなたの行くべき道はありません」とガイドラインを示すのだ。
山田君 なるほど。逗子のストーカー殺人の場合は、1ヵ月に1000回もメールが来てたらしいですからね。このエネルギーを他に向けさせればよかったってことですね。
博士 そういうことになる。
山田君 だけど、この場合、相手はすでに結婚しちゃってますし、どんな努力をしても手に入らないじゃないですか。どんなガイドラインを示したらよかったんですか?
博士 この事件を詳しく分析しないと何とも言えないが、たとえば、「あなたがきちんと働いて、安定したら、また2人で会おう」というガイドラインを示すことが考えられる。彼が働いて、安定することに対して、自分は100%応援し、それだけが私と唯一のつながれる手段だと道を示す。彼が頑張っていることを相手に示した時にしか反応しない。すると相手が、彼女に会うための方法が示されたことになる。
山田君 なるほど。
博士 この容疑者の場合、最愛の女性は結婚してしまい、自分はウツで無職、年齢は40歳。人生の全ての道を失った状態だった。何かこの苦しい状況から逃げ出す解決方法を探しまわっていたのだと思う。そんなとき、警察から被害者の住所の一部と名前を聞いたことがガイドラインとなり、「被害者を殺して自分も死ぬ」という解決法ができてしまったのだろう。被害者にとっても、加害者にとっても、運悪く、最悪のガイドラインが示されてしまったと思う。
山田君 なるほど。
博士 加害者を擁護する気は全くないが、今日僕が話した、価値あるものを突然失った時に起こる危険な状態が、最悪の形で完結したケースだと思う。
山田君 博士、もう1つ聞いていいですか?
博士 もう文字数がないぞ?
山田君 僕たちっていずれ死ぬじゃないですか?
博士 唐突だな。
山田君 これって、価値あるものを突然失う状態ですよね。
博士 そうだ。するどいな。それこそが、この心の本質で、それに関しては、
山田君 次回ですね。
博士 そうなるな。
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