それからしばらくして、あの夢は見なくなる
あれはなんだったのだろう、夢の中で……まるで娼婦のような痴態で、
剣をふるって、そして血を舐めて
まるでそこらへんの古びた街の汚い大人が見るショーのような、剣士そのものだった。
それに抗うことなくただその気持ちよさにとらわれていた私
でも今の私は、弱い民衆のためにあえて剣をふるう剣士だ
夢のような私ではない、それは今でも強く思ってる。
だからあれは夢、夢のはず
現にあの時、夢で見た私と違うのは、何かが入り込んでくるそして……
でもそういったことはなかったし、そんなオカルトみたいなものもないし、変わらないはず、一つを除いては……
「この刀、本当に良いわ……妖刀とかと思ったけど……とんでもない、何も変わってることもないし、何より……」
妖刀ではあったけど、何もないし、何より、凄く馴染んでる、この刀が好きになっている……
いや私の一部となっている、剣士となってさまざまなものに巡り合ったがここまで、私と一つになったことはない、これなら
「足手まといの私も、足手まといにならないかもしれない、もっともっとこの剣と、一つになれるように頑張らないと」
正しきことに使う、それにこの妖刀と言われたものはもう一週間くらいたつのに
なんてことはなかった(夢のことはあれど)。だから私はもっともっと頑張らないと
「(でもこの刀も……次の戦争が終わったらいよいよ返却になってしまうのね……それが残念でたまらない……)
私はそれでも邁進し修行に励むそして、ある時から招集がかけられた
「いつもすまない、今日も頼むよ」
「いえ、今日こそは私頑張ります!」
そして戦場に出た時だった、ある変化が起こっている
「はああああ!!!!!」
グシャ!!!!!
「ぐはあああ!!!!」
致命傷を避け、何とかすんでのところでかわしたようだが、
ほぼ歩けないで虫の息、この軍はなるべく殺さず捕虜に出来るようならしていく方針であったが
「ふん、まだ息があるのね……薄汚い敵……」
ズバっ!!!!
「やめ……がは!!!!」
「(ああ、気持ちいい……快感……ん……だめよぅもっと抑えないと♪)」
そして敵軍が逃げたとき、主の側近が大変お怒りになった
「おい、どうした迷いを捨てろとは言ったが、何も重傷者まで殺すことなかろう!一体どうしたのだ???」
「えっ………あっ………」
そこには無残にも惨殺された敵兵の姿、その表情はまるで虐殺されたような感じ……
私がやったのは間違いない……でもなんだろう……この感じ何か……何かが……
「(な……なんでこんなことを、私何をやったの……)ど、どうかしてました………」
「う、うーむ……倒すなとは言わんがやりすぎるなよ……」
「はい………」
「まあまあ……そう言うな、よくやってくれたじゃないか殊勲賞者だったぞ今日の働きは」
「え……ええ……」
修行をしただから多少のことは分かるけど
いきなりこんなことをするなんて思えないし
何より私、あの時私が私じゃない感覚だった
私が私でなくなる感覚……何より
「(ああ、なんだろうこんなことしちゃあいけないのに、どうにもならなくなってくるこの気持ち。
駄目だこんなことしてたらおかしくなりそう……)」
「どうした????」
「あっ……いえ、別に………」
「いきなりで疲れたか、こんなに殊勲を上げて」
「いえ、そういうわけじゃあ……」
「ゆっくり体を落ち着けて考えるんだな、また力が必要な時までじっくりとな……」
「はい………」
何かがおかしい、夢のはずなのに……はずなのに……
それとは違う、何かが私が自分でやったのに私が私じゃない感覚
我に帰った時本当に青ざめた一体私に何が……考えてもしょうがない
言われた通りのことをするだけ、修行に邁進し今度は力だけじゃない、心も磨いていかないと
きっと今日のことは強くなりたい強くなりたいと思うあまりのこと。だから精進して心を強くしなければ
その一方で
「どう思いますか主」
「どうって言うと……?」
「彼女ですよ、強くはなりました、しかしあんな冷酷なことをする娘ではなかった、優しい瞳の持ち主だった」
「確かにね……戦争向きの子じゃない、仮にしょうがないと分かっても
そうは切りかえられる子じゃないと思う……」
「こんなことを言うのは何ですが、彼女の刀………ひょっとすれば」
「ま、まさか……おかしいだろう、妖刀と言われるものは持った瞬間
魅入られてと言われているはず」
「ええ、一般的には」
「一般的……例外があるというのか……」
「ええ、それは………」
・・・・・
「信じられない、それが本当とすれば」
「ええ……急がなければいけません」
そんなことが相談されてるとは夢にも思ってない私
「はぁぁぁ……なんか疲れちゃったわねホント……強くなるって難しいのね……」
難しい問題だ。剣士というのはそういうことが求められている、ハードルの高さを認識した
「疲れちゃったし今日は寝ないと……」
そして眠りについた時
「はぁはぁ………」
頭がぼんやりする……いや私が今、何をどうしているかもわからないくらい何も考えられない……
ふわふわしている感じ……
体が熱くなってくる、落ちつけようと思って呼吸をするとそれが帰って億劫になってくる。
何かを吸い込んでいるみたい……それが何か分からないのにどっかが、熱くなってくる
とにかく暑い……まるで私が消えそうなほど……来ているものが煩わしく私は服を脱いだ
それでも納まらず疼いてくる、全体がむずむずしてきた
とくにあそこが……少しだけ…………やってしまおう、少しだけ
「はぁはぁ……あぁぁん♪」
「ふふ、どうだ……」
この声聞いたことがある………
「この声、あなた夢で出た……いえ」
そう思いこもうとして………
「すっかりだらしなくなったな……それに戦場でのことすべて、見ていたぞ」
「ああ……あれはやっぱりあなただったのね……あん!」
「どうした、声に艶が出て疼いているのだろう……あの血が……」
血………まさか………あの妖刀って………
「ふふ、まあいい、あとで分かることだ」
「血がうずくってどういうこと………」
「それはあとで嫌になるほど分かる、そういう間にここもうずき出したのではないか」
ああ……何か分かんないけど、でも……うずいてるのは確かだった。私はそのままそれに抗うことなく
いや違う抗うなんて選択がなかった
「あん……あああ!!!!」
馴染んできた、あの戦場でたくさんたくさん、人の生血を吸った
それを察知されまいとしてきた、妖刀が牙をむく。
「よくもここまで我慢できたものだ……よほど堪らないようだな」
段々なじませるだけそれだけだったが、それだけでも普通の人間ならばこのようになるばかりか
発狂してしまうほどに行き狂うはずなのに
「ああ……我慢して良かったぁあ……気持ちいいぃ!!!逝く……逝くぅぅぅぅ!!!」
この馴染ませることがなにを意味し、何のためだったのか私はあとで知る
それからも私をむしばむものそれは私のあそこから、私は夜まで必死に耐える
もはや修行もそれをごまかすためのものにすり替わり、夜になると……
「あああん♪あはああ!!!!きもちぃぃ!!!!」
また行為を始める、することにより慰め自我を保てるようになって行ったが
段々慰めてもいけなくなり、生まれたままの姿でも保てなくなる、どうしていいかわからないのに体だけ疼いて熱い
助け船を出すかのように妖刀が語りかけてきた
「ああん、お願いなんでもいいの♪このうずきを血でも何でもいい、これじゃあ死んじゃいそう……」
「ふふ、いいだろう」
妖刀が怪しく光り、妖気が紅い妖気が私の中に入り込んでくる
「ひぎぅぃぃぃぃ!!!!これ、これよぅ!!!!!!」
「(さてと……)そろそろか……」
「ふぇ…………」
「気持ちいいだろう、お前が求めていたものだ、そのためにお前は血を求めていたにすぎない」
ああ、気持ちいいもの……私ずっとこれを………だからあんなことして、戦争なんかで気持ちよくなったんだ……
でも何でこんな気持ちに………
「(まあどうでもいいか、こんなにいいものなんだもの♪)」
妖刀の血により得られる快感にほほを染め埋もれる、剣士としての高潔な誇りは徐々にすり替わろうとしている
「だが、これもつかの間、これも慣れてしまえばこれすらも、どうでもなくなってしまうのだ」
「ああ、せっかくなのに………そんな……」
「だが、それ以上のものをすることができるとすればどうだ」
一筋の光を差し向けるかのごとく誘う、そして私自身も
「(ああ、そんなことができるならやりたい……)」
疼く体、そう願いだす思考
「考えても見るがいい、なぜそこがうずくようになったかをな……」
なんで???なぜ……急に……
「分からない……」
「分からないふりをしているだけだ思い出せ」
「何を………分からないわ……」
「まあいい」
胸に手を当て考えてみる、分かってるのは今もドクンドクンと脈打っていつまたさっきみたいになってもおかしくないというだけ
「分からぬか……まあいいそのうち分かる……そのうちな」
痛い胸があそこが
「ああああああ!!!!!」
ガバ!!!
「ゆ、夢………なの………」
夢だったのだろうか、何かが違う
「夢とは違う、でも、なんなんだろうあれは……」
おおよそ夢と思わなければ納得のいかない話
でも、頭の片隅でこれは夢じゃないと語りかけてくる、だとすれば今のはなんだったの……
警告してくる、もうこれ以上踏み込んではいけないと……
「と、とりあえず、無事なんだしどこも異常ないんだし、それにあの刀返さないと……
よかったもの、だけど、もうそろそろ時期だし……早く依頼主のところへ」
これ以上怖いというのに蓋をして、私が私じゃあなくなるような気がして、
私は準備を始め向かうことにした
「前はここで、盗賊に襲われて……」
今回は昼間、それの心配はない……だけど
「グルル!!」
「ま、魔物!!!!」
そのモンスターは私を見据えると集団で襲いかかってきた
「くっ!!」
何とか……かわす、しかし2手3手とモンスターが襲い来る
「はぁはぁ」
退けるが、次々とかわるがわる襲いかかり
「こ、このままじゃあ……これを使うしかないの」
使ったら怖いことになりそうでためらう……なんか起こりそうで……でもこのままじゃあ
そう考える間もなく襲ってきて………ついに
「つう!!!!」
モンスターからついに傷をつけられる、出血してる、怖いはずなのにそれを見た私は
「血だ………血よ………ああ……あははあ」
なんで……なんで……
「(血だ……血が出てるぅ……吸いたい……)」
血を見ただけでドキドキする、死の恐怖……違う……思いかえす
私は私は……
「なんだ……夢じゃない、今まで見たもの……殺したのも、血に飢えて、
いっぱいいっぱいやったのも全部私」
なんで………血がたまらなかった……だけ
そしてうずいてくる感覚それもまた堪らない
「それを発情だと勝手に勘違いしたり、こんなの私じゃないと夢だと思いこんで…………」
でもこの感じ私はそう、吸って快感が欲しい
「そんなことより血が欲しい……」
そう言うと妖刀が
「血なら前にあるであろう」
「あはは……そうね♪」
この瞬間、私の何かがパリンと割れた、私は絶え間なくわき上がるものに委ねる
ザワザワ
湧きたつものにあふれる妖気を吸いとり、私の体に包まれる
ユラ……
傷ついた体に鞭を打つようにゆっくりと立ち上がり……
「ふふふ、私、血が吸いたい……もう誰でも良い、吸わせてこの刀で……」
まだ傷つく体で刀を握り締め、そして魔物たちにきりかかった
ザシュ!!!!
「ガ…………ガアアアアア!!!」
常人離れした動きで切り伏せ鮮血が舞う、無表情で鮮血に塗れ刀を振るう
「おいしい♪次は誰かしら……」
そして次なる魔物を見やる
「ガアアアア!!!!」
仲間を殺された怒りで襲いかかる、しかし彼女は
「………」
「グ、グアアアア!」
無言のプレッシャー人間ならざる気配に気圧されるが、向かっていくそれを見て
「そう、そうよ!もっともっと私に血を!!!」
ドシュウ!!!!
「グアーーーー!!!!」
まるでその姿は死を踊る舞であった、それに魅入られ死ぬ魔物
踊りを舞う剣士がそこにはいた
「あああ……いい♪血が堪らない……もっともっと!」
欲望が際限なくあふれるいつの間にか変化が起こる、体のいたるところに青色の刺青がしみ出る
「気持ちいい……もっともっと私を変えて♪」
変わる快感、吸う快感、それが余計に魔物を死へと誘う、妖しい甘美な舞を与える
次々と切り伏せる、そしてそこからあふれる瘴気が噴きだし、妖刀が吸い私に与える
「ああ……これ……いい、魂があふれてたまらない」
妖刀がさらなる刺激を与える、体の変化により耐えられると判断され、魂までも吸い取り私の一部とした
「あふ……何ぃ、これぇええ、堪らないもっともっとぅ!!!」
魂を内側だけにとどめず、さらに本質の姿も変えようとする
「これが変わる感覚だ、いいだろう」
「いい……気持ちいい……もっと」
人の心を変え、高潔だった剣士から、強さのために魂を売るもの、魔剣士、人ならざる者に姿を変える
「ふふ……堪らない、血も魂もみんなたまらないみんなおいしい、もっと吸い付くしたい」
気持ちがよくなり噴き出る欲望
「もっと欲しい」
「ふふ、気持ちいいようだな、だが人間ではこれが限界だ、妖刀にふさわしい耐えられる姿にならなければ」
「変わりたい……もう人間じゃなくてもいい」
「いいのか、そなたあれほど拒んでいたではないか」
「だって気持ちいいし、それに快感がたまんないんだもん
それがもっと来ると思うと……あああ………」
「ふふ、すっかり気に入ってくれたようだなでは、要望にこたえよう」
服が纏うものがなくなる
「あひゃああ!!!!」
震えて痙攣し激しく私自身が踊る
ドクンドクン!
鼓動が強くなってくる、血が魂が私の中で暴れ狂ってる
「はあ……ああ……」
息が苦しい、呼吸ができない、でもなんだかすごく感じる、興奮しちゃう……
ああ、聞こえてくる私の声が……
「(斬り伏せて血を吸って魂を……)」
ゾクっとするほどの艶のある声、私はそれを受け入れる
私の声、私の知らない声、私がした快感の中での声
ドクンドクンドクン!!!
「はあああ……来る……来ちゃう!!!」
胸元を抑える、ドクンドクンと高鳴る鼓動に来たる狂気・快楽に身をかがめ、来たる快楽の時を待つ
刀からの快楽だけではない、体の隅々が私を締めつけてくるまるで私が潰されるかのように
ドクンドクンドクン!!!!
「うあああああ!!!!」
激しく体を左右に振り見だした。体全体もうどこが痛いかもわからないくらい暴れ狂っていた
狂う何もかもが……流れる血魂が刀が本性を現し、そして
「さあお別れの時間だ」
「うああああああああ!!!!!」
叫びが合図かのごとく体が変えられていく、背中から翼が生え、怪しく惑わす人間の殻を破る
死にいざなう悪魔の死者となる、肌が薄青いものに染まり、目からは怪しく光る瞳に染まる。
暗殺者の目となる
「吸いたい!吸いたい!吸いたい!!!」
どうしようもなく押し寄せる感情・快感、もう何も考えられない、いやもう我慢できない
「あはあああ……ふふ……イイ……いらっしゃい……もっと舞いましょう……
欲しい……欲しいの、戦いたいの……さあ殺しつくして上げるわ」
もはや心も剣士の掟はない、ただ快楽に身を委ねる人ならざる者へ
ただ、その欲望のためにこの地に生まれた悪魔がいた
クンッ!!!
妖しい笑みを浮かべ切りかかり宙を舞う、そして舞踊りダンスを踊る死の舞を
「ガっ!!!」
まるで魅入られたのごとく動かない
「あははは!ボーっとしてるんじゃないわよ♪つまらないでしょう♪」
バババ!!!!
「ぐあああああ!!!!」
目に見えぬ速度で切り伏せる、魅入られ何が起こったか分からない、
分かった時には、すでにこの世から生を失った瞬間
血と魂が刀を通して透き通っていく
ペロッ
「あああ……おいしい……そうこれよ、これなのよ私が求めたのは♪」
「ギ……ギャーーーー!!!!」
その寒気すら起こすような笑みに、一斉に逃げようとした、だが……
「ふふ、この舞台は、途中退場はできないの……」
ザシュ!!!
「ギャアーーーーー!!!!」
逃げようとした魔物を逃がさない
「逃がさないんだから、卑怯でしょう♪あなたたちだけ血を出させて逃げるなんて、
足りないの……もっとみんな……みんな、私を血と魂をささげなさい」
「グアーーーーー!!!!」
「おいしい……快感………♪」
いつの間にか夜、否、実際は瘴気に包まれていただけであるがそんなことはどうでもいいことだった
周りは鮮血、それを恍惚な表情で笑みを浮かべゾクリとする雰囲気を漂わす一人の元人間
完全な魔剣士、悪魔と化した死の舞を踊る、妖刀に魅せられた一人の人間が転生した
「ふぅ……おいしいわ……こんなことならもっともっと早くに気付くんだった♪」
大勢の躯を背景に、つぶやく、その躯となった魂を吸い、私の体になじむ
「馴染んでいく、イイ気持ちいい……」
強くなっていく、強くなる、もっと強くなって、そして気持ちよくなりたい……
「足りない……こんなのじゃあ満足できない……」
だけど答えは決まっている、いつしか妖刀の考えが私に直接流れ込んでくるかのように、すっきりとそしてはっきりと
「まずは……」
魔力を込める、すると妖気を放ち、巨大な目のようなものが浮き出て妖しくうごめく
「ふふ、上出来だ……やっとこれで真の力を解放できる」
これで私は何でもできる出来るはずなんだけど……私、まだ何か味わってないものが
どうしてだろう………血が入ってきた感覚・快感……ううんそれだけじゃない
血の味かしら………ううん………そうだわ……私…………
「悲鳴を味わってないじゃない」
ああそうよ私、偽善者が逃げ惑う悲鳴を快感にしてる、あははなんだ、だから私は
「人の悲鳴そして鮮血入ってくる感覚が堪らない………ああ、でも殺したら騒ぎに……なっちゃうかしら♪」
むしろなってほしいかのようにいたずらっぽく呟く
「なぜ悪いのだ、そなたはもう人じゃない」
「ああ……そういえばそれもそうねだったら♪」
「それにお主、言葉とは裏腹にどうだったのだ、お主の顔笑っているぞ
「なんだ分かってた♪の意地悪なんだから…」
剣先から覗き込む顔は笑みを浮かべる
「ああ………」
「その剣先を切った時どうだった……
そしてどんな感じだった」
「気持ちよかった………わ、流れ込んでくる感じが気持ち良かった
これが本当に悪いことだったのって……」
そうよ私は人じゃないもの、何をしたって良いじゃない。
それにやるのはクズだけ、血が悲鳴が入ってくるそれでみんな喜ぶんならいいわよねえ
「あはああ………さあ行くわ……」
それからはまさに地獄絵図、自分の切った感触がそのまま残り
妖刀は本来の力を発揮し血ぬられ、呪の刻印がミツキに示されていく
「ひいいいいい!!!!」
逃げ惑う人をしり目に、妖艶な顔つきで自信についた血を舐めて、妖艶な声で死に誘う
「ふふ、喜ばないの、すぐにそれが悲鳴に変わっちゃうからあ♪」
そして逃げ惑う人を恍惚とした笑みで、切って行く、
そして呪の妖刀は巨大な呪のオーラを放ち、その者の魂を吸いだし、使用者に注ぎ込む
「あはああああ!!!!!」
その魂がしみ込んでいくと同時に、変わって染め上げて行く感覚に変わって行く
「ふふ、いい……この姿もとってもいい、もっともっと気持ちよくならないと……」
「気に入ったようだな、このままでは元に戻れなくなる……どうだその気ならやめてもいいが」
もちろん返答は分かっていた
「冗談言わないで、こんなに気持ちいいのにもっともっと
この気持ちを味わいたい、もう誰だってなんだっていいのよ……ああ、早く血を魂を啜りたい……」
「随分変わったものだな。剣士としてどうするつもりなのか?」
剣士……ああそうね、こんな愉しくて気持ちいいことを縛り付けてた愚かしい時だった私
全くもって馬鹿らしい……こんな世の中ためらってどうするの、
クズどもを野放しにするだけなら私の中に生き続けるのが幸せというもの
「剣士そんなものいらないわ……愉しく血をすすり私のものにして魂を私のものにする。それが今の私
気持ちいいことの邪魔だもの今の私は、妖刀を操る魔剣士……さあ行くわよ」
妖刀を携え生まれ変わった魔剣士ミツキは、かつての主とその兵に戦いを挑む快楽のために
ふふ、ヴォルプトスさあ行くわよそして私をもっと楽しませて
・・・・・
「主様、またです。また盗賊ではありますが、無残な姿で散る姿が出ています」
「これで、何人目なんだ……」
「数えたくもないほどです……幸い、一般市民にはないようですが……それもいつまでか……」
「武器を持っているもの、そして襲うのは決まって」
「ええ、夜の森に現れるようです。しかしそれだけの凄腕のもの
戦力は多いほうがいいのですが」
「戦力……そういえば、彼女はあれから見つからないのか?」
「ええ、見つけようとはしているのですが、申し訳ありません」
「しょうがない、彼女が帰ってくるまでは我々がなんとかしなければ
それじゃあ準備を始めてくれ」
「ということは」
「ああ、出撃だ」
・・・・・
そして一向が目にしたのは予想以上の地獄だった
「騎士さまあ、助けてくれえ、死にたくねえよう、頼む……ぐあああああ!!!!!」
「ど、どうした、おい!!!!」
遠くから何かが来た……それの先には
「待ってましたよ、あなた方が来るのを、こうやってやればきっと戦ってくれるって」
「ミツキ……君なのか、なぜだ!なぜ!!!!」
「ふふ、そんなのこれが気持ちいいからに決まってるじゃないですかとってもいいんですよこれ♪
主も分かりますよ、私の中で生き続ければ、さあ踊りましょう、私戦いたい、もっと強い者の血を魂をね!」
知っているミツキなどいなかった、いるのは戦いの果てに快楽を見出した変わり果て転生した人ならざるものというだけ
「……主もう、彼女は……」
「戦うしかないのか……もっと早くに気づいていれば……」
「悲しむことはないんですよ、これから私の中にあなたたちの血と魂が私の中で生き続けるんですから
さあ踊りましょう!!!」
妖刀ヴォルプトス
その名のごとく妖艶に舞い、戦場にいるものを魅せ舞って
血の鮮血に刻んで、戦場のとりこにし、人ならざる者にするという呪われた妖刀
妖刀に魅入られしものが戦場を舞台に舞を踊り人を虜に虚ろにする