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【社説】

人口減社会 女性たちが日本を救う

 夏のロンドン五輪では、初めて全参加国・地域から女子選手が参加した。日本選手団も女子選手数が男子を上回り、女性の活躍にわいた。だが、国際社会の日本を見る目は甘くない。

 「女性が労働力として参画していかない限り、日本がうまくやっていくことは難しい」

 十月に開催された国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会出席のために来日したラガルドIMF専務理事は、こう明快に述べた。

 世界経済フォーラムの今年の「男女格差報告」での順位も、女性が社会で十分に活躍できていない現状をはっきりと示した。

 百三十五カ国中百一位は先進国とは思えない低位だ。六十九位の中国にも水をあけられている。報告は女性の地位や社会参加の状況を経済、教育、政治、健康の四分野で分析している。

 日本の順位は近年“低空飛行”が続く。議員や企業幹部など経済・政治分野での活躍が少ない。

 働く数も現役世代の男性は八割超が働いているが、女性は約六割にとどまる。仕事を持たない女性は約千四百万人いる。

 人口が減る社会では、働く人も減り経済活動が停滞するのに、女性が力を発揮できていない。

 IMFが今回公表したリポート「女性は日本を救えるか」は、女性の就業率を二十年で先進七カ国並みにすれば、一人当たりの国内総生産は5%上がると指摘する。

 専業主婦で家族を支えたいという考えは尊重できるが、経済事情から働く女性は増えた。共働き世帯は半数を超えた。力を発揮したい女性はもっといるはずだ。

 先進国では働く女性が増えると出生率が上がる傾向にある。収入が増え、社会の子育て支援策も充実するからだ。

 活躍してもらうには女性に多い非正規の正社員化への取り組みは欠かせないが、一足飛びに増やせるわけではない。非正規の働き方を望む人もいる。

 IMFリポートは非正規雇用が多いオランダの取り組みを紹介している。時間給や福利厚生など待遇を正社員と同じにして働く魅力を高めた。日本の労働事情に合った提案で参考になる。

 実現には男性社員の長時間労働の是正もセットだ。政府や企業はその努力も続けるべきだ。

 ラガルド氏は女性の活躍には「家事の分かち合いが非常に大切」と男性の理解を求めた。女性の就業支援は男性の問題でもある。

 

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