活断層の痕跡か 最新地形図で発見11月24日 21時24分
17年前の阪神・淡路大震災で被害が集中した神戸市などを最新の地形図を使って分析した結果、活断層の痕跡とみられる地形が新たに見つかりました。
専門家は、これまで知られていない活断層が地震を起こしていた可能性があると指摘しています。
平成7年の阪神・淡路大震災では、兵庫県の淡路島にある「野島断層」と呼ばれる活断層がずれ動いたことが知られていますが、神戸市などでは、どの活断層が動いたのか今も分かっていません。
活断層研究が専門の名古屋大学の鈴木康弘教授は、地上の建物や樹木などを取り除いて詳細な地形を見ることができる最新の地形図を使って、神戸市周辺の地形を詳しく調べました。
その結果、神戸市から西宮市にかけて東西およそ20キロの長さで幅およそ100メートル、高さおよそ1メートルから20メートルほど盛り上がった地形が新たに見つかりました。
この地域は、震度7の揺れで被害が特に集中した「震災の帯」と呼ばれる場所と一致し、鈴木教授は、盛り上がった地形は、地下で活断層がずれ動いて出来たとして、「震災の帯」の直下にこれまで知られていない活断層が見つかり、地震を起こしていたと指摘しています。
震災の帯を巡っては、六甲山地のふもとの別の活断層がずれ動いた可能性があると考えられてきましたが、鈴木教授は、別の活断層では最近地震が起こっていないため、今後起こる可能性を考慮すべきだとしています。
鈴木教授は「都市直下の活断層は神戸市に限らず、大阪や京都、東京などにもある。ただ恐れるのではなく、最新の地形図に基づいて詳しい調査をして備えることが重要だ」と話しています。
活断層と地形図
活断層は繰り返し地震を起こしている断層で、断層が地表に現れている場合、断層面から最近の活動を詳しく調べて特定します。
地下にある活断層は、地形図を使って活断層によって出来たとみられる地形を探して、その後掘削したり地下の構造を調べる特殊な装置を使ったりして調査してきました。
しかし、都市部などは山や丘を削る土地の造成工事が繰り返し行われたり、建物が多く建てられたりして、数メートル単位の地形の変化を調べるのが難しいのが実情です。
鈴木教授が今回の分析で利用した最新の地形図は、国土地理院が航空機に搭載した特殊なレーザーを使って製作したもので、5メートル四方の標高がおよそ10センチ単位で示され地上の建物や樹木などを取り除くことができます。
住宅が過密にある都市部の地形も詳細に把握できるため、これまで以上に活断層の手がかりが見つかる可能性があります。
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