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【三重】

市街戦想定し訓練 陸自久居駐屯地隊員

市街地訓練でストライカー装甲車から飛び出してくる自衛隊員ら=滋賀県高島市のあいば野演習場で

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 陸上自衛隊久居駐屯地(津市)の第三十三普通科連隊の六百人が十月二十四日から十一月七日にかけて、米陸軍の歩兵師団と、滋賀県高島市今津町のあいば野演習場で合同訓練した。米軍の最新鋭軍事車両「ストライカー装甲車」も初めて持ち込まれた。報道関係者に公開された市街戦を想定した建物への突入訓練、実弾での射撃訓練などを取材した。

 ■戦場

 「ズダダダダダッ」との銃声と震動に、思わず目を閉じた。

 米軍による機関銃の射撃訓練。米兵が伏せた姿勢で機関銃を連射し続けていた。映画のような光景だったが、鼻を突く火薬のにおいが現実に引き戻す。後方に四十メートルほど離れているのに、爆音で空気がびりびりと震えて息がうまくできない。鳴りやまない十丁の機関銃に、戦場ってこういう所なのか、と思った。

 ■銃口の先

 今回派遣された米軍の歩兵師団は、ハワイ州スコフィールド・バラックスに駐屯する七百五十人。合同訓練は日米の連携を高めるため、毎年開かれている。

 市街地戦闘訓練ではストライカー装甲車が登場。隊員を運ぶための車で、車長七メートル、高さ二・六メートルで重さは一六・五トンほど。戦車より軽いため機動力が高く、空輸しやすいのが特徴という。

 訓練は建物が敵に制圧されたと想定。ストライカーから銃を構えた日米の隊員九人が飛び出し、建物に突入していった。

 鬼気迫る表情で銃を構える隊員に、肝が冷えた。誰を撃とうとしているのか。もし銃口がこっちを向いたらどうしよう…。実弾が入っていないと分かっているのに、カメラを構えた手の震えが止まらない。訓練が終わると、手にじっとり汗をかいていた。

 ■市民感覚

 公開されなかったが、日米の隊員がチームに分かれ、体にセンサーを付け、電波を発する銃などを使って撃ち合いをシミュレートする訓練もある。「自衛隊が圧勝することもあります」と自衛隊の広報担当者が語った。

 領土問題で中韓との関係が緊張する中で、米軍の最新鋭装甲車が送り込まれた訓練。担当者は「訓練の計画は米軍が年の初め、自衛隊は年度の初め。ストライカーの派遣はその時から決まっていたこと」と強調した。沖縄へのオスプレイ配備で米軍に対し、厳しい視線が注がれているが「地元から反発が出ているとは聞いていません」と語った。

 取材を終え、演習場からの帰り道、最寄りのJR近江今津駅では「音がすごかった。戦争みたい。いやだねぇ」と話すお年寄りがいた。

 国を守る任務に想定外は許されず「最悪の事態」を想定して訓練するのが筋だろうと理解はできる。それでも、取材を終えて違和感が残り続けている。

 (佐々木礼弥)

 

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